第三十六話 戦隊物に限らず特撮系の敵が倒されないと話は続編なのは常識だよね(偏見)
第9回ネット小説大賞、一次選考通過しました!
ずきずきと痛む後頭部を摩りながら僕は鞄を抱え直す。
はあ~~とため息が出た。
いや本当に。
「あ~~痛かった」
後頭部の痛みの原因は家での夫婦営みの所為です。
興奮した嫁が変身して暴走しました。
いや何でだと言いたい。
押し倒されたのは良いが後頭部を激しく打ちました。
幸い病院に掛かるほどの傷ではないが大きな瘤が出来たのは御愛嬌だろう。
痛かったけど。
嫁が手加減出来なかった事が原因だ。
でもまあ~~許す。
可愛いからな。
来年で十九歳と言っていたな。
未だに子供が出来ないが仕方ないと思う。
元々怪人は子供が出来にくい体質だし。
其処等へんは仕方ない。
実は妊娠しにくいのはナノマシンの所為で有る。
戦闘力を高める代わりに生殖能力が低くなる欠点が有るんだ。
あのナノマシンは。
まあ~~数をこなせば出来ると仕事先で聞いたので心配がない。
後は危険日を狙ってやれば良いと言ってたな。
嫁も子供が欲しいと言ってたし教えてくれるだろう。
でも興奮して怪人化するのは止めて欲しい。
いや本当に。
「季節的に暑く成り始めたな」
季節は春から夏。
暑くなってきた。
空を見上げる。
時間的に言えば深夜。
見渡す限りの満天の夜空に僕は感嘆の息をつく。
四十代後半。
此れから子供が出来たとして成人したら僕は六十代。
最早老人です。
普通なら子供に肩身の狭い思いをさせる。
父親が御爺さんだし。
嫁にも同じ思いをさせる事だろう。
普通は。
そう普通は。
今の僕は外見は三十代見える。
何故か?
ナノマシンの所為である。
組織に使えてる特権である。
だから三十代と今の年齢を偽装してる。
組織以外で。
後は戸籍を偽造してもらえば大丈夫だろう。
組織に。
しかも国が経営してるなんて最高である。
両親は既に九十代後半。
何時お迎えが来ても可笑しくない。
おかしくないんだが……。
最近其れは揺らぎつつ有る。
母親は家族に魔法少女だという事がバレた。
ばらしたのは僕だけど。
その為か開き直って変身ばかりしてる。
魔法少女に。
見た目は完全な少女。
其れを嫁にしてる御父さんは警察案件だと思う。
でもまあ~~一般人は気が付かれてないから警察行きは無いと思う。
そして御父さんは組織の事を完全に家族に教えた。
自分が首領だという事も。
その結果吹っ切れたのかナノマシンによる力で少年の姿に成りました。
せめて御母さんと同じ年齢なら何とでも言い訳が効くと思っての事だろう。
だけど組織からはロリコンの称号を貰った。
組織の人間から。
組織ではママチャリライダーではなく首領として君臨してるからだ。
ロリコン首領と言われてるらしい。
実年齢知ってるからね組織の皆。
その癖御母さんの実年齢を信じないからそうなりました。
いや良いけど。
威厳が無いな。
僕の父親。
何で組織で自分の妻だと宣言したんだろう?
首領として。
意味が分からない。
ロリコン首領と言われると分かってなかったんだろうか?
そうだろうな。
うん?
「ここら辺ソープランドなかったか?」
「あれじゃね?」
「あそこだよ」
何処か着なれないスーツを着た青年たちが歩いていた。
一冊の本を片手に。
ハアハア言ってます。
此れは風俗関係の本ですね。
全員前かがみです。
ふう~~。
昔は羨ましいと思ったけど……。
今はそうでも無いな。
若い嫁さんを貰った所為かな。
寧ろ微笑ましく思える。
そんな時だった。
其れが現れたのは。
「「「ハイルッ!」」」
奇声を上げ現れる全身黒ずくめの男たち。
顔まで黒い布で覆われた其れは異常者と呼ぶに相応しかった。
異常者にして異常な者たち。
そう呼ぶ理由も有る。
全身を覆う布はごく一部を除き目しか外気に晒して無かった。
手には棒のような武器を持っている。
異常者にして異常な者たち。
耳がデカい其れも途轍もなく。
頭部と同じ大きさだ。
人ではない。
人にしては異常。
うん。
見た事ありますね。
ええ。
あれ~~。
また出た~~。
死んでないし。
あの後時間が経ってるから兄さん達が倒したと思ったんだが……。
というかひき殺してたよね?
生きてるし。
いや本当に。
「ひいいいいいっ!!」
「やめろおおおおっ!」
「御助けええええっ!」
それらは青年三人を殴る。
「泣けっ! 叫べっ! 貴様らは我等【コロン】の生贄に選ばれたのだからな」
その言葉と共に暗闇から現れた異形の物。
そう。
其れは異形と言って良い。
顔は青白い蛸みたいであり胴体から八本の触手人を持つ異形。
異形。
そう明らかに異形の者だった。
異形……明らかに其れは異星人と呼ぶに相応しい姿の者だ。
というかまた出た。
生きてるし。
死んでないの?
等と言いたい。
「なんなんだよ御前らっ!」
「やめろっ! 誰か自衛隊を呼べっ!」
「いや此処は正義のヒーローを呼べっ!」
錯乱する三人。
「「正義のヒーロー何ていねえええええええよっ!」」
「あはい」
ツッコミ有難う。
ああ~~うん。
微妙に似てる。
前回と似てる。
シチュエーションが。
何か呪われてるのかな~~僕。
本当に。
どうするか~~。
一般人に変身した姿をあまり見られたくないんだが……。
まあ~~魔法で記憶を消せばいいか。
「ぎやあああああああああああっ!」
真っ青な顔をして悲鳴を上げる男たち。
だけどそれ迄だった。
「ひいいいいっ!」
「いやああああっ!」
「触手があああっ!」
悲鳴が上がる。
いや良いんだが……。
何で青年の口に触手を入れてる。
見ている僕の精神ダメージが酷いんだが?
しかも何故尻を撫でる?
「……うん?」
にいい~~と醜悪な笑みを浮かべて一般人を虐待する異星人。
というか蛸ですね。
見覚えのある。
蛸型の異星人はふと此方の方に目を向ける。
何故かしらないが。
多分何かの勘だろう。
「貴様はあの時のっ!」
「ご無沙汰しております」
驚愕の声を上げる蛸型の異星人に頭を下げる僕。
「うむ久しぶりだな」
「ええ」
思わず挨拶をしていた。
「其れはそうと」
「はい?」
「この前も思ったが何て怯えない?」
首を傾げる異星人。
「見慣れてますので」
「はあ?」
異星人は首を傾げる。
仕方ないな~~。
変身するか。
というかデジャヴが酷い。
時間がループしてない?
気のせいかな?
さて。
変身して蹴散らすか。
「変……」
「「まてええええええっ!」」
そんな時だった。
その声が聞こえたのは。
またか。
またなのか。
そう言いたい。




