第三十一話 世間は狭いよね。
その日夕飯は豚汁に炊き込む御飯。
其れに里芋の煮物にトンカツである。
折角何でという事で兄さんと姉さんを夕飯に誘った。
「美味いっ! え? 此の年齢で料理上手って凄いっ!」
「そうだね~~姉さんより美味いでしょ」
「煩いぞ愚弟」
「はっはっは~~悔しいなら丼と鍋もの以外で料理を作れるようになろうな~~」
「きいいいいっ!」
僕の挑発に悔しそうな声を出す。
此れで僕より一つ上何で信じられないよな。
「良い嫁さんが出来たな~~くれない?」
「あげません」
「なら俺の女房と交換でどうだ?」
「明日香~~義姉さんに兄さんが不倫を持ちかけられたと訴えても良いぞ」
「はい」
「いや御免勘弁してまだ死にたくない」
御飯を食べながら土下座する兄さん。
長男の威厳が台無しである。
言わなければいいのに……。
「其れはそうと……旦那様」
明日香が僕の差し出した茶碗に御飯を盛る。
「有難う~~何?」
僕は茶碗を明日香から受け取り首を捻る。
「旦那様のお姉さんと御兄さあ~~」
「うんうん」
御飯をモリモリ食べながら適当に相槌を打つ。
「兄弟戦隊シマイだよね?」
「「「ぶうううううううっ!」」」
明日香の発言に僕達三人は噴出した。
な……何を……。
「何にを根拠に?」
「以前見た事あるし」
「二人とも街中で痛々しいコスプレしてヒーローゴッコをしてるけど普通に人だよ」
僕は全力で惚ける。
でないとメンドイ目に合う。
主に僕が。
「誰が痛々しいコスプレよ」
「もうすぐ五十代なのにコスプレしてる人は誰かな?」
「くう~~」
僕の言葉に悔しそうな顔をする姉さん。
良し。
此れで誤魔化せる。
「思い出したワニ型怪人の中の人か」
「お久しぶりです」
「げぼおおおおおおおっ!」
兄さんの言葉に頭を下げる明日香。
その態度に僕はまた吐いた。
御飯が勿体無い。
「兄さんたちに面識が有ったの?」
「はい変身越しですが」
「声で分かったな」
「そうですね」
なんてこった~~。
まさかこんな所に伏兵が居たとは……。
仕方ない。
「マー君や此の後お風呂入るにしてもワザワザ汗をかかなくても良いと思うぞ」
「そうそう掻くならお嫁さんと掻きなよ」
姉さんの言葉に赤面して俯く明日香。
「良し黙ろうかそうでなければ少しばかり記憶を飛ばすから」
「「すみませんでした」」
家の中でバットを振り回せないのが口惜しいと言っとく。




