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第二話 新魔法少女爆誕っ! (白目)

 ガツガツと実家で御飯を食べてた時の事だ。

 あの後タマが美味そうに御飯を食べていたのを見たら食いたくなったのだ。

 だから仕方ない。

 おかずは昨日のかぼちゃの煮物。

 鯵の塩焼き。

 ポテトサラダ。

 豆腐の味噌汁です。

 

 むう~~ん美味い。

 ふと疑問に思った。 


 魔法少女は見た目はアレだが超常の存在だ。

 だが中身は人間だ。

 戦い続ければ疲れるし傷つく。


 大変だよな~~。


 其れで思い出したことが有る。

 というか気が付いた。

 大事なことに。

 

「そういえば御母さん?」

「なあにマー君?」

「御父さんは御母さんが魔法少女だという事を知ってるの?」

「知らないわよ」

「ですよね~~」


 まあ~~当然だろう。

 魔法少女とはいえ人間。

 その正体を知ってるものは居る。

 特に年単位で戦ってたんだ。

 知っている筈だ。

 うん。

 というか魔法少女という事を受け入れたのか……。

 

「……って知らないのかいっ!」

「何が真央君?」

「母さんが魔法少女だという事をっ!」

「まあ~~ねえ~~」


 僕の言葉に此方を見るタマ。

 シーハーと右手の肉球で爪楊枝を持ち歯に詰まった魚の骨を取る。

 此奴猫じゃねえ~~。

 化け猫のたぐいだ。

 あ……。思念獣だから当たり前か。


「御父さん長年夫婦をしていて何でしらないのさっ!」

「「ゑ?」」


 何故か一匹と一人に変な顔をされた。

 何言ってんだ此奴という顔だ。


「何?」

「あ~~真央君……普通はストレス獣とか見えないんだよ」

「はあ?」


タマの言葉に僕は、はあ? と間抜けな顔をする。

 シーハーと爪楊枝でニラを取りながら溜息を付く。


「それどころか魔法少女の姿もね」

「はあ? 何で?」

「認識力断絶現象さ」

「認識力断絶現象?」


 タマの言葉に僕は、む~~と眉を顰める。


「これまで培ってきた知識や経験に常識に沿わない物を見た時に君はどうする?」

「其れは……例えばどんな状況だ?」


 タマの言葉に首をかしげる。


「例えば人の言葉を喋る僕さ」


 何処からか手鏡を取り出し毛繕いをし始めるタマ。

 櫛で抜け毛を取っていく。


「タマはタマだろう?」

「そう其処」

「はい?」


 クイッと櫛で僕を指すタマ。


「話が長くなりそうだから御風呂に入るね」


 ふう~~とため息を付き御母さんは風呂場に直行する。


「「逃げたな」」


 ジト目で僕とタマは御母さんの後姿を見送った。

 僕とタマの言葉が重なりながらヤレヤレと首を振る。

 


「あ~~猫の僕に説明させないで欲しいんだけど」

「仕方ないだろう御母さん頭を使うことが苦手なんだから」

「大の大人が猫に頼るなよ……」

「思念獣だろ」

「……まあ説明するよ」


 色々と説明してくれたのだが今一つ分からなかった。

 だが暫く聞いてると段々理解できてきた。


 要するに普通の人は超常の存在を知覚し認識できないのだ。

 此れまでの常識が邪魔をして。


 超常の存在が何かしたとする。


 其れは普通は精々気のせいと言うレベルに落ち着く。

 若しくは其れを不自然と思わない。


 そうなると最早他人事になってしまう。


 それも致命的(・・・)なレベルに。

 

 例えば今日の話をしよう。

 僕が何時もの調子で歩いてたら巨人と遭遇し殺されるとする。

 母さんたちは僕が巨人に殺されたと認識する。

 但し普通の人の場合は僕は車に引かれたと思うのだ。

 認識の齟齬。

 というか認識した非現実が自分の常識に沿った常識に置き換わるのだ。

 無意識に。


 そんな訳で普通の人は認識出来ないのだ超常の存在は。


 出来ても自分の都合の良いように記憶してしまうのだ。

 

 此れが認識の断裂現象。

 正しく事実を認識出来ないのが普通の人間らしい。


「となると御母さんは……」

「生まれつき認識できていた」

「あ~~でも僕は巨人とかは今日初めて見たんだけど……」

「う~~ん……多分だけどマー君さあ~~頭を打たなかった?」

「打ったけど?」

「それだよっ!」


 爪楊枝を此方に向けるタマ。


「へ?」

「詳しくは省くけど其れで急に認識出来る様になったんだ」


 うんうんと、頷くタマ。


「……」


 話について行けません……。


「となると困ったぞ此のままではマー君は殺されるかもしれないぞ」

「誰に何でさっ!?」

「普通は因果律とか事象及び必然の関係で世界意思が……」

「全然意味が分からんもう少しかみ砕いて」

「猫に期待するなっ!」

「思念獣だろ」

「……つまり物凄く簡単に言うと正しく認識出来る者は世界その物が自衛の手段を持たせてくれるんだよ」

「其れが御母さんの場合タマと?」

「より正確に言えば魔法少女に変身する機会を得るという事だ」


 相変わらず説明が分からん。

 思念獣はここら辺が限界かも。


「僕はタマと契約できないという事?」

「出来ると思うタカコと二人分」

「それじゃあ何で?」

「正式には契約できないと思う」

「正式に?」

「試しにやってみる?」

「まあ」


 僕とタマは立ち上がる。


「僕に手を合わせてマー君」

「良いけど」


 ピタッと手の平を合わせる。

 肉球がプニプニしてて気持ちい~~。

 うん?

 何かが流れ込んでくる。


「「変身」」


 此の言葉と共に僕の体は光り輝く。

 肉体を蝕む激痛。

 骨が変形する苦痛。

 其れが僕を苛む。

 そして光が晴れた時僕は宣言する。


「魔法少女マオ爆誕っ!」


 デブン。

 ボヨン。


 ピチピチ。


 何かおかしい。

 いつもと違う。


 うん?


 フリフリ?

 うん?


 隣の鏡台に行く。

 鏡を見た瞬間僕は石になった。


 ゴスロリ服です。

 沢山のフリルとレースが付いた服です。

 御母さんよりも服の面積が多いです。

 ローティーンの少女に似合う服装だ。

 パッと見てフランス人形みたいです。


 女性なら。


 脂ぎった顔。

 薄っすらと生える髭。

 でっぷりと大きい腹。

 短い脚。


 服は何故か横に引き伸ばされていた。




 そのまま僕は意識を飛ばしました。

 

 ……見覚えのあるオッサンが居た。


 僕だ。


 ゴスロリ風の服を着た僕だ。


「あ~~ヤッパリ変身はこうなるか~~」


 タマの言葉に正気を取り戻す。


「正式な契約でないとこんな風に変な形で契約してしまうのさ」

 


 四十代後半で脂ぎったデブ。

 つまりゴスロリを着た僕が誕生したのだ。 



 ……誰得?


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