第二十五話 戦隊物の敵側の雑魚って日曜定番の他のヒーロー物の悪役の下っ端に似てない?
ずきずきと痛む後頭部を摩りながら僕は鞄を抱え直す。
はあ~~とため息が出た。
いや本当に。
「あ~~痛かった」
後頭部の痛みの原因は家での夫婦喧嘩が結果だ。
幸い病院に掛かるほどの傷ではないが大きな瘤が出来たのは御愛嬌だろう。
妻が手加減出来なかった事が原因だ。
でもまあ~~許す。
可愛いからな。
今年で十八歳と言っていたな。
まさか若い嫁が出来るとは思わんかった。
新しい職場から帰宅したは良いが遅くなったのは嫌になる。
最終電車を乗り損ねなかったのは運が良いと思う。
「季節的に暖かくなり始めたな」
季節は冬から春。
暖かくなってきた。
空を見上げる。
時間的に言えば深夜。
見渡す限りの満天の夜空に僕は感嘆の息をつく。
四十代後半。
最早結婚は無理だろうと諦めてたのにまさか結婚できるとは。
両親は既に七十代後半。
何時お迎えが来ても可笑しくない。
兄弟は兄と姉が一人ずつ。
自分が末っ子だ。
残りの家族と言えば猫ぐらいだろう。
兄と姉は既に結婚しており子供もいる。
僕も遂に子供が出来るのか~~。
嬉しいな~~。
まあ~~捕らぬ狸の皮算用だけど。
まさか僕が結婚できるとは思わなかった。
まさしく何処にでもいるモブのような人生だ。
何も無く普通の人生を送ると思ってたが……。
人生とは驚きの展開である。
僕はニコニコと笑う。。
「え~~次何処の店に行きます課長?」
「君~~分かってるくせに」
「やはり此処はスナック明美ですね」
「「えへへ~~」」
何処かのサラリーマン二人が千鳥足で歩いていた。
飲み屋を梯子しているみたいだ。
陽気に笑ってるね~~。
うん?
ううん?
おかしい。
何かデジャヴ?
まさか一度ある事は二度あるし。
しかし二度あったからって三度目は無いだろう。
うん。
気にしたら負けだ。
そんな時だった。
其れが現れたのは。
「「「ハイルッ!」」」
奇声を上げ現れる全身黒ずくめの男たち。
顔まで黒い布で覆われた其れは異常者と呼ぶに相応しかった。
異常者にして異常な者たち。
そう呼ぶ理由も有る。
全身を覆う布はごく一部を除き目しか外気に晒して無かった。
手には棒のような武器を持っている。
異常者にして異常な者たちというにも理由が有る。
耳がデカい其れも途轍もなく。
頭部と同じ大きさって意味あるのか言いたい。
人ではない。
人にしては異常。
うん。
何か微妙に新しい職場の職員に似てる。
いや本当に。
「ひっ!」
「やめろおおおおっ!」
それらは酔っ払い二人を殴る。
「泣けっ! 叫べっ! 貴様らは我等【コロン】の生贄に選ばれたのだからな」
その言葉と共に暗闇から現れた異形の物。
そう。
其れは異形と言って良い。
顔は青白い蛸みたいであり胴体から八本の触手人を持つ異形。
異形。
そう明らかに異形の者だった。
異形……明らかに其れは異星人と呼ぶに相応しい姿の者だ。
「なんなんだよ御前らっ!」
「やめろっ! 誰か警察を……自衛隊を呼べっ!」
ああ~~うん。
微妙に似てる。
本当に。
どうするか~~。
一般人に変身した姿をあまり見られたくないんだが……。
「ぎやあああああああああああっ!」
真っ青な顔をして悲鳴を上げる男たち。
だけどそれ迄だった。
「ひいいいいっ!」
「いやああああっ!」
悲鳴が上がる。
切られたのだ。
どうすっかな~~。
「見せしめに一人ぐらい殺しとくか……うん?」
にいい~~と醜悪な笑みを浮かべる異星人。
其れはあまりにも非現実的な光景だった。
昔なら。
今は見慣れてます。
最近ずっと。
「貴様……」
「はい?」
其の時だった。
何故か異星人は今初めて気が付いたと言わんばかりに僕を見る。
あ……目が合った。
どうしよ。
「何故我の姿を見て怯えない?」
「見慣れてますので」
「はあ?」
異星人は首を傾げる。
仕方ないな~~。
変身するか。
一応魔法を使えば記憶を消せるから許可を貰ったし。
さて。
「変……」
「「まてええええええっ!」」
そんな時だった。
その声が聞こえたのは。
あれ~~変身しようとしたら聞きなれた声がする。
何か嫌な予感がする。




