第十二話 改造人間の愛機は相棒にして武器。
ママチャリライダー。
その代名詞とも言うべきママチャリ。
暁太郎は其の愛機と共に激戦を潜り抜けてきた。
有るときは不死の王とも言うべきファラオ怪人と対決した時。
或いは此の世界のあらゆる毒物を操るドクターラビ怪人と戦い。
魔道を極めた怪人と勝負した。
愛機にして武器。
武器にして相棒。
「其れが此の愛機なんだ」
「うん分かったからママチャリを下ろそうか御父さん」
「きゅう~~」
持ち上げていたママチャリを下すように促す僕。
御父さんの足元には気絶した怪人が寝込んでいた。
うん。
カオスだ。
あの後庭でママチャリを点検していた時の事だ。
家に怪人が襲撃してきました。
普通お約束では家に襲撃しないんだが……。
襲撃してきたから仕方がない。
うん。
仕方ないのは分かる。
分かるんだけど。
「御父さん」
「うん?」
「ママチャリを鈍器代わりにして怪人を撃退しないでください」
「ゑ?」
「何で予想外の言葉に驚いた顔をしてるんですか?」
「いやそんなツッコミが来るとは思わなかったから」
「いや言いますよ」
有ろうことか御父さんは怪人を変身せずに撃退しました。
ママチャリを振り回して。
愛機はどうした?
等と言いたい。
先程の事を再現してみます。
『たりらリラーン』
『御父さんもう三回ワックスがけしてますよ』
『愛機だからね』
『そうですか』
この時庭にワニ顔の怪人が現れる。
『ママチャリライダー覚悟おおおおっ!』
『ていっ!』
ゴスッ!
『ぎやあああああああああああっ!』
ママチャリを振り回しタイヤが怪人の側頭部に当たる。
『必殺ママチャリ撲殺っ!』
ゴンゴン。
『まてっ! ヒーローなら変身しろ』
『必殺ママチャリブレスッ!』
ドン。
タイヤを持ってママチャリのハンドルで怪人の頭をどつく。
『まっ!』
手で頭を覆う怪人。
『必殺ママチャリ鈍器っ!』
『ぎっ!』
ドン。
渾身の力で殴り倒す。
怪人は此れで気絶した。
其れを僕は遠い目で見てましたよ。
ええ。
変身ヒーローて一体……。
「ヒーローなら変身してください常識です」
「いや面倒だし」
「面倒で愛機を乱暴に扱わないでください」
「え~~」
「本当に変身ヒーローなんですか」
「そうだよ」
「……」
変身しないヒーロー。
変身する意味あるの?
「其れはそうと何で此の家の場所が分かったんだろう?」
「ああ~~其れ御父さんの所為だ」
「え?」
「以前悪の組織に所属してた時履歴書を書いてたから」
「履歴書いるんかいっ! 悪の組織っ!?」
「当たり前だろ? 常識だぞ」
「え~~」
何だ其の嫌な常識は。




