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のんほいランド作戦。

湯川姉の運転でやってきた『のんほいランド』地元民に人気なスポットだが、前回は色々と失敗したからな。

今日はちょっと気温も低めだから、虎もライオンも外に出てるだろう。


「彊兵君、ちょっと聞きたいんだけど……。」

湯川さんが聞きにくそうに、口ごもりながら尋ねてくる。

「あの、私はいつから運転手になったのでしょうか……。文句とかではないですよ!?むしろ、彊兵君と同じ空気を吸えるなんてご褒美……………ハッ!」

ルームミラーから、凄まじい形相のマリアを見たのだろう……。

ガクガク震えながら黙って運転手に徹していた。


ーーーのんほいランド到着。


「湯川さん、運転ありがとうございます! 彊兵、行こう!」

「じゃあ私は植物園近くの喫茶店にいますね。」

「わかりました、行ってきます!」

喫茶店に行くと言う湯川さんと離れ、二人で動物園を回る。


「今日はいるね!ライオンもトラも!」

「そうだね、前は見れなかったからね。」

楽しそうで何よりだ。

それにしても、今日のマリアはいつにも増して可愛い!

白いチュールスカートに、グレーのオフショルトップスには、首元あたりに大きめのリボンが付いている。

可愛い過ぎて死ぬかも知れん………。

用心せねばならん……………。


「ま、マリア!」

「は、はい!!」

「きょ、今日の格好似合ってるよ!可愛い!!」

言えたーーーーーー!!

「あ、ありがとう………ございます! 実はお母様と湯川さんが、彊兵は絶対にこういう格好好きだからって……。」

マリアがモジモジしながら言ってくる。

モジモジするマリアが可愛いし、俺自身は策にハマって恥ずかしいし!


でも、今日は絶対に失敗出来ない秘策があるのだ!

と、前を見ると猿コーナーに見覚えある人物が…………。


「なんだ、この猿野郎が!掛かってこいよ!どうせ、そのケージからは出れないんでしょ! キーキー喚きやがって!バナナでも喰ってろ!」

相変わらず口の悪い女性(?)の刈谷がいた。


「あれー!?マリア!と……キョウ君……。」

ん?俺を見た瞬間に元気がなくなった……。

「どうした、刈谷……?」

「あー、いやー、何でもないよー! あー、私、サイ見に行かないと!じゃね!」

刈谷は走ってその場を去っていった、


「マリア、なんか事情知ってる?」

「うん。だけど、言えない。また、彊兵いなくなっちゃうから。」

俺が、居なくなる?どういう事だ?


「取りあえず、動物園回るか。どこかで会うだろ。」

そう言って歩き出した俺だが、マリアは付いて来ない。

「どうして、詩穂の事をそんなに気に掛けるの!?私だけを見てよ!!!」

今まで聞いたこと無い心の内からの叫び声だった。今までの叫びとは違い、心の芯に響いた。


そうだった。俺は周りばかりを気にして、マリアだけを見てなかった……。

「ごめんなさい……マリア。俺はこれからはマリアだけを見る。絶対に離さない!」

「私こそごめんなさい……彊兵しかいないのに………。本当にごめんなさい……。」

俺達は無言で手を繋いで歩いた。

近くに移動販売車のクレープ屋さんがあったからクレープをそれぞれ頼む。

近くのベンチに座り、クレープを堪能する。

「彊兵は何頼んだの?」

「オーソドックスなバナナカスタード!」

「えぇ、それ、オーソドックスですかぁ?(笑)」

何気ないこの会話も楽しかった。

「あ、クリームついてるぞ、マリア!」 「え、どこで………。」

俺はマリアが言い終わる前にクリームを舐め取った。

「ーーーーーーーーーーーー!!??」

仰け反りパニック状態に陥るマリア。

「さっきのお詫び。」 

悲しませてしまったからな。


「さ、キリン見に行こう!マリアが一番見たがってたやつ!!」

「行きます行きます!!」

ハイテンションなマリアと手を繋いでキリンのいる広場にやって来た。

「目の前にいる!! やったな、マリア!」

「可愛いーーー!!」

マリアはキリンの頭を撫でる。

「意外とザラザラしてる……。でも、可愛い!」

楽しめたようで良かった!


「なぁ、マリア。観覧車、乗らないか?」

俺の言葉に「へっ?」となるマリア。

「嫌ならいいんだけど………。」

「乗ります、乗ります!!」


ここからが俺の秘策が発動する!もうこうなりゃ、当たって砕けろだ!


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