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俺の決意。

俺は一旦自分の部屋に戻ると、スマホを手に取る。そして、とある人物に電話を掛ける。

「朝早くからすまない。前の件、どうなってる?」

『天ヶ瀬さんの件ですか。』

電話の相手は他でもない、東栄だ。

『こういう捜査内容は本来ならば教える事は出来ないんだけど……。』

「いいから話せ!この豚野郎!!」

俺は煮え切らない東栄を罵倒する。彼は極度のドMなので、この方が効果的なのだ。


『ブヒィ!!話しますぅ! 天ヶ瀬さんの件ですが、今、家宅捜索を行っております。やはりこの手の犯罪に多い、性的暴行を録画したDVDを発見しましたので、その解析をしているところです。勿論、女性警官にさせております。』

「早いな。やはり、お前の効果か。恩に着る。」


物的証拠も今回は揃いに揃っている訳か。

石原の様な巧妙さは微塵もないな。

『相手も天ヶ瀬さんの性的暴行を日常的に行っていた事を認めています。』

東栄の言葉に胸がズキッと痛む。


『くれぐれも実況見分時に来ないように。彊兵は絶対に天ヶ瀬さんの義理の父親に殴りかかるだろうからね。』

東栄に釘を刺されてしまった。

確かに今の俺なら殴りかかるだろう。そんな事をしたら、これからのマリアとの生活が台無しになってしまう所だった……。


電話を切ると、いつの間にかマリアが部屋にいた。 

「彊兵、ありがとう……本当に。」

涙ぐんだその顔がとても切なかった。

「俺は何もしてないよ。」

「彊兵が電話をして確認してくれたのが嬉しくて……。」


ーーーその夜。


リビングで皆で食事を摂った後、二階に向かおうとする俺に、マリアが声を掛けてくる。

「彊兵、コンビニに行かない……?」

「何か買う物あった?」

「そういう訳ではないんだけど……。」

あぁ、なるほど……。そういうところがまだまだだな、俺は。

「そうだね、俺も実はコンビニ行きたくてさ!一緒に行こうか!」

「うん!」


俺とマリアは夜道を照らす外灯を頼りに、コンビニに向かって歩いていく。

「彊兵、私は………本当に貴方に助けられました。ありがとうございます。」

「どうしたんだよ、改まって。」

しばらくの間、俯き加減で無口だったマリアはやがて口を開く。

「私、彊兵達の家から出ていこうかと思っています。」

突然だった。あまりにも突然過ぎて、しばらく何を言っているのか、理解出来なかった。

「な、何で…………。」

「私はさっきも言いましたけど、彊兵に沢山助けられました。彊兵だけでなく、他の皆さんにも…………。だから、これ以上あそこにいたらまた迷惑をかけてしまう!だから………!」


ギュッ……。


俺は気が付いたらマリアを抱き締めていた。

「そんな悲しい事言わないでくれ……。俺も、皆も誰も迷惑だなんて思ってない!! 大切な人を守るのに、迷惑な訳ねぇじゃねぇか!!」

「でも、私の体はもう……!」

「そんなの関係ない!!俺にはマリアがいなきゃ駄目なんだ!マリアが汚れたんなら、前にも言ったように俺が綺麗にしてやる!俺だけしか考えられない様にしてやる!」

俺は抱きしめていた手で、マリアの両肩を軽く、そしてしっかりと掴むと、真っ直ぐマリアの目を見つめる。


「マリア、俺と結婚して下さい!」

「えっ……。」

「本当なら、タイミングとかあるかも知れないけど、思いつかないし、我慢できなくて。 それに結婚指輪とか、何か色々要るのかもしれないけど、金欠でさ(笑)」

「勿論、高校卒業してからになるけど。……どうかな……?」


しばらくポカンとしていたマリアは、ふと我に返ると

「……喜んで!こんな私で良ければ、宜しくお願いします!」

マリアは涙で濡れた笑顔でそう答えてくれた。


「ヤッターーー!!」

すっげぇ近所迷惑だと後で気付いたが、俺は嬉しくて大声で叫んでいた。

「彊兵!愛してる!」

「マリア!愛してる!」

「出ていかないよな?」

「はい!」

「でも、心配だから今日からは俺の部屋で寝る事!」

「はい、わかりました!彊兵!」

俺達は街灯の下、お互いにキスを交わした。

今までで一番長く、濃厚なキスだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] プロポーズしたよ… これは予想出来なかった…
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