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マリアの深い愛。

「覚悟って何?!一生添い遂げる覚悟が必要って、何なの? それが私じゃ無理って訳!? それがマリアちゃんじゃないといけない理由でもあるの!?」

堰を切ったかのように、奈緒ちゃんが聞き始める。


「彼は二度記憶を失っている。それは時に大きなリスクにもなりうるわ。」

マリアの言葉にいろんな病名が浮かんだのか、黙り込んでしまう奈緒ちゃん。


「私は、彊兵がどうなっても、例え私の事を忘れてしまっても、彼といます。彼に何かあったら全力で護ります。 それが私の彼女としての定義です。」

湯川姉妹はその芯の強さからか、黙り込んでしまった。

「刈谷さんも、早い段階で私の気持ちを察して身を引いて下さいました。刈谷さんは『その程度の想い』だから身を引いたわけじゃなく、『彊兵の事を想っているから』です。」


「私の両親は医師です。父は脳神経外科医。母は内科の医師です。私も医師の道を目指していましたが、彊兵といる為に、その道は捨てました。」

「マリア、なんで?!」

「いいんです、彊兵。貴方と一緒にいる。それが私にとっての幸せですから。」

マリアは、俺の為に自らの希望の光を捨てたと言うのか………。

俺一人なんかの為に……。


「そんなの、私にだって……!」

奈緒ちゃんの言葉を湯川さんが手で制す。

「貴方が本気なのが伝わりました。彊兵君は昔から無茶ばかりします。めちゃくちゃで、やる事も後先考えません。 でも、彊兵君の事、宜しくお願いします。私、お母さんじゃないですけどね(笑)」

湯川さんは涙を流していた。でも、凄くすっきりしたような笑顔だった。 


「そっか………。じゃあ夏休みの対決も、するまでも無く決まっちゃったね、勝敗。」

奈緒ちゃんは悲しそうな顔をしていた。

こんな時、俺はどんな声をかけてあげれば良いのだろうか……。


ーーーーーー。


それぞれがロッジに戻り、荷物の整理を始める。

海水浴も終わりか。

今日でまた自宅暮らしが待っている……。

「彊兵、明日のんほいランドに行きませんか?」

マリアがバッグに荷物を詰めながら、聞いてくる。


ーーーのんほいランド。

確か、動物園と植物園と遊園地が混ざったトコだよな。

「わかった。湯川さんに聞いてみようか。」 

俺は湯川さん姉妹のロッジに向かおうとするが、マリアに止められる。


「いえ、今回は二人で行きたいんです。駄目ですか…………?」

上目遣いで訴えてくるマリア。

「駄目じゃないー!」

俺はマリアの手を引き、ベッドに押し倒す。

「彊兵……なんか、積極的になりましたね………。女慣れしてきましたか………んっ!」

ジト目で睨みつけて怪しんでくるマリアの口をキスで塞ぐ。

「んんっ………! 彊兵!彊兵!」

スイッチが入ったかのようにマリアが俺を求めだす。

俺達は出発まで、まだ残っている時間をイチャイチャに使用する事にしたのだ。

マリアの体の暖かさを感じ、お互いの愛を確かめ合った。


「あ、あの……………彊兵君、マリアちゃん……………。」

湯川さんが顔を真っ赤にしながら俺達の『行為』を見ていた。


「「変態!!」」

俺達の息ぴったりの声に

「どっちがですか!そもそも、未成年者の性行為は……補導の対象となり……。」


「え?してないですよ、俺達。お互い抱き締め合ってただけですけど………。」

俺の言葉に、顔を手で覆い隠すと湯川さんは無言で出ていった。

何をしに来たんだ、あの人は……。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっとマリアちゃんで落ち着きましたね。 しかし湯川姉はそそっかしい。(笑) ノックしたのかな?
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