湯川さんとお風呂。
「…………………誰。」
目の前にいる白衣を着た男性に俺は呟く。
「篠宮だよ。流石にそれは思い出してくれ。」
篠宮……以前の病院の担当医か。小さな頃一緒に遊んでいたらしいけど、記憶に無いな。
「わざわざここまで来てくれたんですか?」
「彊兵が、錯乱して倒れたと聞いてな。」
「そうか、それはすまなかった……。」
「気にするな。それよりも、記憶は少しは戻ったのか?」
篠宮の言うように少しは記憶が戻っている。だが、あくまで断片的にだ。
「少しづつだけどね………大丈夫、ありがとう。」
「無理はするなよ、脳に余計な負担が掛かる。 じゃあ湯川さん、後は宜しくお願いします。」
「ありがとうございます!」
そのまま、無言で篠宮先生は去っていった。
篠宮先生は夜にも関わらず、わざわざ自家用車で来てくれたのか。
「あ、お風呂入れてあるから彊兵君、入ってきたら?」
湯川姉がお風呂を勧めてくるが、ここはどう考えても、女性優先でしょ。
「湯川さん、先に入って来て下さい。僕は後から入ります。」
「駄目ですよ、またさっきみたいになったらどうするんですか!? あ、じゃあこうしましょう!」
ーーーーーー。
「彊兵君、お湯熱くないですか?」
シャンプーで紙の毛を丁寧に洗う湯川さんが眼前にいる。
俺と湯川さんは一緒に風呂に入っていた。
どうしてこうなった………。
でも、湯川さんてこうみると、やっぱり美人だし、スタイルいいし、胸が……大きい!!
普段、何故かずっとスーツだから分かりにくいけど、胸がとにかく大きい!
そう言えば、海水浴の時、パーカー着てたから分からなかったんだよなぁ。
肌も白くてキレイだし………って、さっきから俺は何をジロジロ見てるんだ!
失礼にも程がある!!
ーーーーーー。
「じゃあ次、彊兵君洗っていいよ!」
「俺が先に入ったから、湯船汚いですよ?」
「そんな事気にしないで下さい!寧ろごほう………なんでもありません!」
俺は謎に照れている湯川さんを尻目に湯船から立ち上がる。
「「あ。」」
二人同時に声を上げる。
湯川さんの眼の前には立派なゾウさんのお鼻がありましたとさ。
「ーーーーーー!洗って、洗って来て下さい!駄目になるから!」
駄目になるからって、何が? 俺は不思議に思いながらも、体や髪の毛を洗っていく。
今日一日の疲れと汚れが一気に排水口に吸い込まれていく。
「気持ちいい………!」
「お背中、流しましょうか?………それとも、ゾウさんを大人しくしましょうか?」
湯川さん、何言ってんのーーー!!
これ以上はR18に設定変えないといけないから駄目ですよー!!
「背中でお願いします!」
欲望には忠実な男だった。
もし、ゾウさんの方だったら、何が起きていたんだろうか。ちょっと惜しいことをした気分になる。
「最低だな、俺は。」




