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俺と天ヶ瀬さんと釣り。

「大好きですよ!先輩!!」

天ヶ瀬さんからの、突然の言葉だった。

俺は記憶喪失になってからは初めて告白された事になる。

「あ、ああありがとうございます!!」

突然の告白にテンパる俺は緊張してカミカミ状態だった。


「早く記憶が戻るといいんだけど、難しそうだな……。」

「そうですね。でも、諦めたらいけませんよ!きっと治りますから!」

天ヶ瀬さんは俺の手を握り、必死で励ましてくれる。 記憶がある時もこんな感じだったんだろうか……。 なのに、俺は……。



手を繋いだまま俺達は砂浜を歩く。賑やかな海水浴客達を避けながら。

どこまでも続く白い砂浜と、青い海。

俺は雑踏を掻き分け、歩きながら天ヶ瀬さんに声を掛けた。

「天ヶ瀬さん、今からもう一度釣りやりませんか?」

「………はい!」


湯川姉の車まで戻ると、俺は釣り竿とタックルボックスを取り出す。

「良かった、餌は無事だ。」

クーラーボックスの中に入れていた為、餌はまだ元気だった。


「あの堤防に行こうか!」

俺が指差したのは広く足場の良いファミリー向きの堤防だ。 先端には柵が設置されている為安全性はバッチリだ!

念の為、二人共、腰に巻くタイプの救命胴衣を装着する。


「よし、行こうか!」

俺達は手を繋いで堤防まで向かう。

雑踏を再度掻き分けた先には……堤防の前に湯川姉妹が待っていた。


申し訳なさそうにする湯川姉と、仁王立ちでまさに鬼の形相の奈緒ちゃん。

「彊兵先輩、何でマリアちゃんと手を繋いでいるんですか?」

「それは………。」

俺が言うよりも早く天ヶ瀬さんが代わりに答えていた。

「彼女が私だからですよ、奈緒さん。」

天ヶ瀬さんは不敵な笑みを浮かべながら、奈緒ちゃんに近づいていく。

奈緒ちゃんの胸を人差し指で突くと、天ヶ瀬さんが釘をさす。

「私の彼氏に手を出したら、いくら奈緒さんでも、容赦しませんから。」

「天ヶ瀬さんこそ、私の今の彼氏は彊兵先輩です。勝手に連れ回さないで下さい。」

お互いに火花を散らす。まさに一触即発。

「まあまあ、奈緒ちゃんも天ヶ瀬さんも喧嘩しないで、楽しくしましょうよ!」

湯川姉が二人の間に入り込む。

「お姉ちゃん(湯川さん)には関係ありません!!」

「…………はい。」

二人の息の合った(?)鬼気迫る言葉に黙る姉。なんの役にも立たない………。


取り敢えず俺は無視し、釣りをしに天ヶ瀬さんの手を引き、堤防に向かって歩いていく。


「くっ…………!天ヶ瀬さん……!!」

奈緒は怒りに打ち震えていた。

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