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天ヶ瀬さんと海の家。

「天ヶ瀬さん、今更なんだけど………ごめんなさい! 俺は間違った事をしてる。天ヶ瀬さんがいながら、他の人と……。」

俺は頭の中が罪悪感でいっぱいだった。自分が良ければそれでいい。と自分勝手になっていた。

きっと、記憶喪失になった事を後ろ盾にして………。


「先輩の行動は周りからしたらおかしいと思うかもしれませんが、私はそうは思いません。 私は確かに貴方を護ると言いながら、護り切れなかった。 これは私の罪なんです。ですから、私は全力でこの罪を贖います。」

天ヶ瀬さん………それは違うんだ……。

それもこれも、全て俺の罪なんだ……。


その思いを少しでも言葉にして、何で天ヶ瀬さんに伝えられない自分がとても憎かった……。


俺達はそのまま、無言でタピオカミルクティーをすすり、只々無駄に時間を浪費していった。


ーーーーーー!?


何だ、この既視感………。

俺は天ヶ瀬さんの後ろに座る5人の男達を見た途端に凄まじい既視感と嫌悪感を覚えた。

『天ヶ瀬さん、後ろの奴ら、何か見覚えあるんですが、誰でしたっけ?』

天ヶ瀬さんに耳打ちすると天ヶ瀬さんがふと振り向く。

「後ろって……………!!」

そう言うと、口を押さえて、途端に振り向くのをやめた。


『誰でしたか?』

『先輩は忘れてても当然ですが、以前の事件の時にいた取り巻き達ですよ。』

話は入院中に聞いていたが、まさかコイツラが絡んでいたのか…………。

『先輩、駄目ですよ、ここは公共の場です。それにもう、あの事件は刑事さん達に任せてあります。 もう私達の出る幕はありません!』

確かに天ヶ瀬さんの言う通りだ。しかも、今は向こうからは何もしてきてないじゃないか。

また、自らイザコザを起こすような事はしなくてもいい筈だ。

『そうだな。わざわざ、産業廃棄物を相手にするような事はしなくていいか。その内バチが当たって、勝手にくたばってくれるか。』

『先輩って時々、凄まじく辛辣な事言いますよね……。』

俺達はタピオカミルクティーをズビズビと飲み干し、海の家を後にする。


「細かいことまでは聞いてないけど、今までの俺はどんな奴だったんだ?」

砂浜を天ヶ瀬さんと歩きながら、今まで気になっていた事を聞いてみた。

「とにかく人の為に一生懸命な人でしたよ。それが災いしてか、大怪我ばかりしてましたけどね(笑)」

天ヶ瀬さんはクスクス笑いながら、手を繋いでくる。

「あ、ああ天ヶ瀬さんの手が……!!」

「二年前の出来事がなければ、先輩と出会う事も無かったでしょうし、それに助けてもらう事が無ければ、今の私はいなかったでしょう…………。」

「……………。」

「ですから、ありがとうございます!!」

天ヶ瀬さんは、パッと繋いでいた手を話すと、俺の前に回り込むと微笑みながらお礼を言ってくる。

「大好きですよ!先輩!!」


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