表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/105

田崎と奈緒。

【田崎と奈緒】


「彊兵先輩、お姉ちゃん帰ってくるの遅くないですか?」

奈緒ちゃんが少し不安そうな顔をしている。

「彊兵先輩、お姉ちゃん探しに行きませんか?」

奈緒ちゃんは膝から起き上がると、フラつきながら立ち上がる。

「無理しない方がいいよ!肩に掴まって!」

「肩は……負担が掛かっちゃいます!……その、手を繋いでもいいですか……?」

奈緒ちゃんがおずおずと手を差し出してくる。

「いいよ!でも、無理しちゃ駄目だからね!何かあったら直ぐに俺に言う事!!」

俺は無理をして付いてきそうな奈緒ちゃんに釘をさす。

「わ、わかりました!」

俺はギュッと奈緒ちゃんの手を握った。

(何でも無理しそうなんだもんな、この子は……。)

「彊兵先輩、私、フルーツ食べたいです。」

確かに、ビタミンとかミネラル沢山含んでそうだからな!

「よし、買おう!」

俺と奈緒ちゃんはフルーツコーナーでフルーツ盛り合わせを手に取り、持ってきたカゴに入れる。

「他は……これなんかどう?」

「こっちも美味しそうですよ!」

完全に俺達の欲しいもの探しに目的が切り替わっていた。


「何かしなきゃいけなかった気がするんだけど………なんだろう?」

俺は何か頭の片隅に引っ掛かっている目的があった様な気がしたのだが、思い出せなかった。

「ま、いっか。」

「彊兵先輩!先輩って、豚肉好きでしたよね?買っていきませんか!?」

「いいね、ロース肉買おうよ!」

完全に見た目恋人同士のソレだが、最早気にしていなかった。


そんな時だった。

プルルルルルルルルル………!

奈緒ちゃんのスマホの着信音が鳴る。


「あ、すっかり忘れてた!お姉ちゃんだ!」

そっか、頭の片隅にこびり付いていた目的はこれだったんだ!

『もしもし、あなた達今どこにいるの?戻ってもいないし!』

耳元でなくても聞こえてくる湯川姉の声。

「こっちこそ、お姉ちゃんが帰ってくるの遅いから心配して見に来たんだからね!」

奈緒ちゃんの反撃も中々鋭い。

『ごめんね。、奈緒ちゃん!お姉ちゃん、買いたい物が沢山出来て、買い物余分にしちゃってた……。』

湯川姉、多分母さんに大目玉食らうな、きっと。

「奈緒ちゃん、ちょっとスマホ借りてもいい? もしもし田崎です。湯川さん、今どこにいますか? 僕達も買い物してるので、さっきのベンチにいてもらえませんか? 直ぐに向かいます!」

『彊兵君ですか、わかりました!じゃあ先程の場所で待ってます!では!』

湯川姉との通話が切れる。

「ありがと、奈緒ちゃん!」

さっき奈緒ちゃんから借りた、スマホを返す。


「勿体無くて、スマホ拭きたくないーーー!」

「?」

なんでスマホを拭きたくないのか、よく分からないが、俺達は買い物を済ませ、湯川姉のいる場所まで戻ることになった。


ーーーーーー。


「いたいた!お姉ちゃーーーん!」

奈緒ちゃんは湯川さんを見つけるなり、走り出す。

「奈緒ちゃん、いきなり走ったりしたら危ないよ!」

俺も奈緒ちゃんのすぐ後ろを付いていく。

「うわっ!?」

奈緒ちゃんの靴が地面の段差に引っ掛かりつまづく。

「奈緒ちゃん!!」

俺は咄嗟に奈緒ちゃんを抱えるが、後頭部に鈍い痛みが走る。


ーーーそれからは意識がなくなった彊兵だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ