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彼女の目的1

保健室まで来た俺と天ヶ瀬。


歩いていく天ヶ瀬。

一番奥のベッドのカーテンをおもむろにシャッと開けた。


そこには、田原が後頭部を両手に乗せて、不貞腐れたように寝転がっていた。


「うぁお!な、何だ、いきなり!」

いきなりカーテンを開けられて余程驚いたのだろう。

ベッドから落ちそうに仰け反った。


「あ!お前!さっきはよくもやってくれたな!」

天ヶ瀬を指差してそう言った。


「はぁ。確かに私が蹴りましたね。」

しれっと言う天ヶ瀬。 あれはやはり蹴りだったのか。速すぎて見えなかった。


「何の用だよ!謝罪なら土下座しろ、土下座ァ!」

「…………。」 

天ヶ瀬は何も言わない。


「おい、何とか言ったらどうなんだ!?」

田原の勢いは止まらない。

と、その時だった。


「用ですか。土下座ではありませんが、用はありますよ?」

天ヶ瀬が俯いて呟いた。


「貴方に」

「トドメを刺しに来ました。」

天ヶ瀬の後ろにいるから表情までは分からないが、それでも……凄まじい殺意と悪寒を感じた。


「ひっ………!!」

田原が恐怖からか、悲鳴にも似た声を上げて、後退る。


「あ、天ヶ瀬!何を言ってるんだ!」

「だって、私の先輩を虐めてたんです……よ?」


ーーーーーん?


私の、先輩?

いくらさっき付き合う事になったとはいえ、何という大胆な発言……じゃなくて!


「あ、あああ天ヶ瀬!いいくら、そのつつつ付き合う事になったとはいえ、トドメを刺すってのは…やり過ぎだぞ?」

冷静を装いながら、しどろもどろになる俺。


「先輩がそう仰るなら、止めます。ですが、次また先輩に何かあったら……分かってますよね、田原先輩?」

天ヶ瀬が静かな怒りのオーラを纏いながら田原を睨みつける。


「わ、わかり……ました。」

流石に田原もあの殺気を感じて、身の危険を憶えていたんだな。


取り敢えず、田原に釘を刺す事には成功したようだ。

怯える田原を尻目に、俺達は保健室を後にした。


「なぁ、天ヶ瀬。」

「はい、なんでしょう?」

ニコニコしている。

さっきの猛烈な殺気を放っていた天ヶ瀬とはまるで別人のようだ。


「あのな、さっきみたいにトドメを刺しに来たとか、軽く言っちゃ駄目だ!」

「…………。」

天ヶ瀬はキョトンとしている。


「……天ヶ瀬?」

気を悪くしたかな。 でも、こういう事はハッキリさせといた方がいいからな。


「……わかりました。先輩がそう言われるのでしたら、殺すのは止めておきますね。」


うわーーーーーーーーーーーーー!!!

一番聞きたくなかった言葉をサラリとこの人はーーーーーー!!!


「はは、そうしてくれると助かるよ……。」

俺はとんでもない人と付き合ってしまったのかもしれない……。

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