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天ヶ瀬、怒り爆発!

【マリアルート】


私は先輩の付けたカメラから流れてくる映像を、空き部屋から眺めていた。


「んじゃ、今から部屋入りますねー。」

ガチャ……。

先輩の声とドアノブを回す映像が流れる。


先輩は特に何も言葉を発することなく、部屋を見渡していた。

と、机の上に置かれた手紙のような紙と、大きな箱がモニターに映し出される。 

「なんだ、この箱は……。」

古橋さんが身を乗り出す。


「今まで、すまなかった。せめてもの気持ちだ。受け取ってくれ。」

先輩が紙に書かれた文章を読み上げる。


先輩は大きな箱の蓋に手を伸ばす。

と、同時に古橋さんは立ち上がって部屋から飛び出していた。


「田崎さん、駄目だーーー!」

古橋さんは大声で叫ぶが、全ては遅かった。


ドガアァァァァァァァン!!!


爆発音と共にモニターの画像は暗転する。

「う、嘘でしょ、先輩!」

「田崎君!」「キョウ君!」「彊兵さん!」

全員、ほぼ同時に部屋を飛び出していた。


先輩の部屋のドアは通路の反対側まで吹き飛ばされ、壁は完全に崩れ落ちていた。

火は燃え上がり、煙が立ち込めていた。


「キョウちゃん!何があったの!?」

お母様が階段を駆け上がってくる。

バラバラに崩れ落ちた壁を見て、泣き崩れる。

「湯川!救急!田崎を探すぞ!」

「救急呼びました!しかし、今この状態では危険です!」

「馬鹿野郎!俺達の責任でこうなったんだぞ!」

古橋警部はバラバラに崩れ落ちた部屋の中に入っていく。


「こんなの、あんまりじゃない……!!」

詩穂が泣きながら唇を噛み締める。

東栄君は無言のまま、崩れた部屋を眺めて涙を流していた。


「見つけたぞ!湯川、手伝え!」

古橋警部の言葉に湯川さんも部屋に入っていく。

「救急隊が来るまでは無闇に動かせません!消火器はありませんか!?」

お母様は放心状態。私達が探すしかない!

それぞれが散らばり、家中をくまなく探す。


「二本か……。」

「無いよりマシよ!!」

東栄君と詩穂は消火器を持ち、部屋に入っていく。


「脱出経路を作りたい!このままだと床は抜け落ちるから、床を重点的に消火して!」

「崩れた壁以外の壁や柱、天井は火が移って無いから一先ずは安心ね。」

湯川さんは的確に指示を出していく。

「警部、この爆弾は……。」

「簡易的な爆弾だな。蓋を外すと爆発する簡単な仕組みだが、爆弾に関する知識がないと、そう簡単に作れるとは……。」


「皆、聞いてくれ!田崎君は意識を失っているが、咄嗟に机の下に逃げ込んだのだろう!無事だ!」

「皆さんは念の為避難を!後は私が消火器をやります!」

湯川さんが消火器を手に取ったその時、消防と救急のサイレンが近づいてきた。


「キョウちゃんは無事なの!?マリアちゃん!」

「警察の話では無事らしいですよ。お母様、今から救急が来ます。私達のいる場所は救急隊の救助の妨げになります。先輩なら大丈夫ですよ、外に避難しましょう。」

なるべくお母様を落ち着かせるように外に誘導する。


「そうね、そうよね!キョウちゃんは無事!無事!」

自分を奮い立たせるように一歩一歩、階段を降りていく一同。


外で待っていると、呼吸器を付けた先輩が担架で運ばれて、救急車に乗せられていく。

「誰か、付き添いの方はいらっしゃいませんか?」

「こういう時、一番安心できるのはお母様です。行ってください。」

「マリアちゃん、ありがとうございます!」

「私だけでは何も……皆さんのおかげです。さ、早く!」

私はお母様を促し、救急車を見届ける。

消防隊は消火活動に追われていた。


「詩穂、東栄君。今から私、やる事があるから、さっきの警察の人が来たら、適当に誤魔化しておいて。」

事を察したのか、二人は頷くと

「気を付けて……。」

と手を握ってきてくれた。二人の手はとても、冷たく、震えていた。


今度は奴等を許さない………絶対に!!!

私は固い決意の元、その場を後にした。

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