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天ヶ瀬と俺。

俺と天ケ瀬は、俺の部屋にいた。

「ごめんね、ウチの母親騒がしくて……。」

「いえ、そんな、とんでもない!楽しいお母様ですね!」

「そ、そう?なら良かった!!」


「…………。」

「…………。」


会話が続かない。場が持たない!

てか、そもそも俺の部屋に案内するとか、どうかしてるぞ、俺!

密室に二人きりとか、絶対に会話なんかもつわけないじゃねぇか!!


俺の部屋は二階にある。階段を、一段一段手を引いて登るときも、めちゃくちゃドキドキしたのに、学園一の美少女とも言われていた天ヶ瀬が、今、俺の部屋にいる!

緊張しないわけがない。


しばらくの無言が続いた後……。 


何やら一階から話し声がする。

おかしい、今の時間は母親だけの筈なのに……。

床に耳を当て、ジッと耳を凝らす。

『〜〜君が、〜〜で!』

まさか、この声………。


「どうしましたか、先輩?」

おずおずと尋ねてくる天ヶ瀬に、顔を上げて俺は言った。

「一階に刈谷がいる。」

「ーーー!!!」

今にも飛び掛かっていきそうな天ヶ瀬を俺は必死で止めた。

俺の部屋はちょうど、リビングの真上に位置している。だから一階の声や音がかすかに聞こえる時があるのだ。


「一階で刈谷が何を言っているのかはわからない。だけど、ここで天ヶ瀬が出て行ったらハチャメチャになる。 俺との交際も下手したら破棄になるかもしれない。いいのか?!」

「ーーー!!………。」

天ヶ瀬が必死で怒りを抑え込んでいるのが分かる。 

でも、それでいいんだ。


「刈谷はそれが狙いなのかもしれない。 きっと家の玄関で天ヶ瀬の靴を見ているはずだ。 だからここに天ヶ瀬がいるのを知っている。」

「刈谷さんと先輩のお母様とはお知り合いなのですか?」

「まぁな。幼馴染だし……家もすぐ近くだからな………。よく遊びに来てたよ。 一時、刈谷は親父さんと仕事の関係上引っ越したが、元々、刈谷家は、親父さんとお母さんとは仲が悪かったらしくて、お母さんは元の家に残ってたんだ。」

「それで、仕事の件が落ち着いて、元の家に戻ってきたと……。」

「そういう事だ。」

刈谷が何を企んでいるのか分からないが、今は一階に行かない方が良さそうだ。


トントントントン……………。

階段を登る音。

母親の階段を登るドスドスした重い音とは違う軽い音。


「多分、刈谷だ!」

俺は小さな声で天ヶ瀬の耳で囁く。

「ひゃうん!!」

………何そのエロい声…………。

「先輩、耳は!」

「それどころじゃない、隠れるぞ!」

「……先輩?!」

俺は天ヶ瀬の手を引き、ウォークインクローゼットの中に身を潜めた。

『先輩、何故隠れる必要があるんですか? ここは先輩の部屋なんですから、堂々としていれば……。』

『確かにマリアの言うとおりだが、ついなんとなく……。』

確かに天ヶ瀬の言う通り、堂々としてりゃ良かった……。


『先輩?』

『何。』

『さっき、私の事……。』

『しっ!』

俺は咄嗟に手で天ヶ瀬の口を抑え込む。

『ーーーーーー!!』

暴れそうになる天ヶ瀬の体を抱き寄せる。

『ーーーーーーーーーーーー!!??』


ガチャ!

部屋の扉が開けられる。

「キョウ君」

部屋に入ってきたのはやはり刈谷だった。

「いないの?」

俺と天ヶ瀬はある意味最大のピンチを迎えていた。

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