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天ケ瀬。

しかし、待てよ……。


「田原が俺を呼びに来た時、刈谷は廊下にいたよな。」

俺の問いかけに田原も思い出したようだ。

「あー。確かに……。」

「それも計算のうちだよ。 二人にはしっかりその場にいる事を印象付けて、二人を見送ったあと、より近い反対側の昇降口を使い、体育倉庫の裏側のドアを使って入ったんだよ。俺も後を追っていった。」

東栄クソブタ野郎英二はどうやら刈谷を追って裏側のドアから入ったようだ。


てか、裏のドア、あったの?!


「そういう事だったのか。刈谷の奴、とんでもない伏兵だな。」

しかし、石原が戻ってきてしまった以上、自由に動く事は出来ない。


「これからはここで何かあったら話そう。どこに伏兵がいるか分からない。」

俺の言葉に全員が頷く。

「あとは、ここに来るまでの間、後をつけられないように気を付けて。とにかく、東栄クソブタ野郎英二のスマホの修理が終わるまでは大人しくしつつ、他の生徒の会話を聞いたりしながら、情報を集めましょう。」

「いつから僕の名前、東栄クソブタ野郎英二になったの?! 逆に呼びにくくない?!」

なんだろ、モヤモヤする。

「静かにしなさい、ブタ野郎!」

「あだだだだ!でも、いい匂い!」

ーーーチクッ

ーーチクチクッ


「ねぇ、天ヶ瀬。」

「どうしました、先輩?」

俯く俺の顔を覗き込んでくる天ヶ瀬。

「天ヶ瀬は俺の……か、彼女だよな?」

「…………?当たり前じゃないですか。今更、何言ってるんですか、先輩。」


天ヶ瀬の言うとおりなんだが、何だかチクチクすんだよなぁ。


「先輩…………?」

「……………大丈夫。じゃあ、俺用事あるからこれで。また話そう。」

俺はそう言うと視聴覚室を後にした。

勿論、気づかれないように気を遣いながら。


「何なんだよ、これ。」

俺にはこのモヤモヤの原因が分からなかった。


下駄箱に辿り着いた頃、後ろから呼びかける声がする。

「先輩!」

「………天ヶ瀬。」

息を切らしながら天ヶ瀬が追ってきた。

「どうしたんですか?おかしいですよ?」

「おかしいよ、どうせ俺は! これが何なのか分からない! 何でこんなにモヤモヤイライラしなきゃいけないのかわからない!」

「…………先輩。」

一呼吸おき

「それは、私が誰かと話しているときに起きますか? 誰かとくっついている時に起きますか?」

天ケ瀬は手を後ろに組んでニヤリと笑いながら覗き込んでくる。

「そ、そうだよ!! だから何?!」

「おかしくないですよ、先輩は。正常です。」

「だって……。」


「それが恋ですから!」


ーーーそうか。


天ケ瀬の一言でモヤモヤ、イライラ、チクチクの原因が分かった。

俺は嫉妬していたんだ、東栄に。


「恋人なんですから、相手が異性と話したり仲良くしてたらイライラするし、モヤモヤして当然です。」

天ケ瀬は

「それが恋です。恋人なんです。」

俺よりも大人だった。

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