天ヶ瀬戦 休戦
「田崎は一週間の謹慎、天ヶ瀬、刈谷は一週間の校内清掃をする事、以上!」
愕然とする一同。
「石原先生、その処罰はおかしいです!元々喧嘩を仕掛けたのは私です。確かにこの害獣と喧嘩していましたので、害獣と同等の処罰は納得しますが。田崎先輩の処罰はあんまりです!」
天ヶ瀬はチラッと刈谷を見ながらそう言った。
「何ですって?余りにも小さな声で全く聞こえませんでしたが、とにかく、キョ……田崎先輩の処罰はおかしいです!」
刈谷も同じく俺を庇う。
確かにおかしい処罰かもしれないが、元はと言えば、俺がもっと早く天ヶ瀬について対応していたら、こうはならなかったはずだ。
「二人共!これは決定事項だ!異議があるならば、処罰を更に重くする!」
石原の怒声が生徒指導室に響き渡る。
「わかりました。謹慎致します。」
俺は深々と頭を下げるとその場を後にしようとする。
「それまでにお前の席が残っているといいがな。」
石原はニタリと笑って席を立ち、俺の肩を叩いて出ていった。
「何なの、アイツ!いつもあんな感じなの?!」
刈谷が怒りをあらわにする。
「いえ、私達は特に。恐らく田崎先輩に対してのイジメ行為でしょう。」
天ヶ瀬の言うとおり、俺は事あるごとに目を付けられていた。
以前は田原達に殴られている所を見ていながら、目の前を通り過ぎて行った程だ。
「私があの方、消してきましょうか?」
サラッと言うなよ……。
「だからそういうのは無しだ!」
「わかりました。」
天ヶ瀬はそういうと教室へと戻っていった。
「彼女の割に、イヤにあっさりしてるわね。もしかして、本当は嫌われてるんじゃない? 私に乗り換えてもいいのよ?」
んー、確かに天ヶ瀬にしてはアッサリしてたな。
いつものアイツならボコボコに相手を叩きのめしそうなのに。
「キョウ君?」
顔を覗き込んでくる刈谷。
「あ、いや。何でもない。とにかく俺は一週間の謹慎だ。」
俺はそういうと教室へと足を進めた。
「ちょ、キョウ君!キョウ君!?」
刈谷の言葉も俺の耳には入ってこなかった。
「これがイジメかよ………。」
俺は悔しくて悔しくて唇を噛み締めた。




