捜索総力戦。
彊兵が三ヶ日にある蜂蜜ショップを抜けた頃。
「彊兵?……なんで?」
すれ違う車が一台、彊兵を発見する。
「坊っちゃん、どうかしましたか?」
「いや……今から電話する。お前は聞かなかったことにしろ。」
「わ、わかりました。」
運転手の男は坊っちゃんと呼ばれたその男の言う通り、運転手に徹する。
「…………繋がらないか。母親に電話してみるか。」
プルルルルル……。
「はい、田崎です!東栄君?」
「そうです。ご無沙汰しております。夜分遅く申し訳ありません。……彊兵君はいますか?」
「それが……行方不明になっていて、捜索願は出して探している所です!」
母親の言葉に、彊兵の同級生の東栄はすれ違った人物が彊兵だったと確信する。 あそこで声を掛けていれば……!!
「探しているという事は、湯川さんの車に乗っていますね!? 今すぐ国道301号線を南下し、三ヶ日に向かって下さい! 蜂蜜ショップを過ぎた辺りで彊兵らしき人物が自転車に乗っているのを見かけました。 声を掛けれず、申し訳ありません! 今すぐ我々も捜索に向かいます! Uターンだ!」
東栄の乗る車も途中で折り返す。
だが、この先浜名湖南西に向かう国道301号線と東に向かう県道310号線とに別れている。
どっちに向かうのか…………。
「湯川さんの車は国道301号線をそのまま南下してください。僕達は県道を走ります。では、また後ほど!」
彊兵君、何があった!何故君が家出なんて事を……。




