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次にお金の単位。もう知っている通り、この世界ではメルというお金を使う。ただこの国は紙のお金がなく、硬貨という形でお金のやり取りをしている。詳しくまとめるとこのような感じらしい。
青銅貨 1枚 1メル
青銅貨10枚=青銅版1枚 10メル
青銅版10枚=銅貨1枚 100メル
銅貨10枚=銅板1枚 1000メル
銅版10枚 =銀貨1枚 1万メル
銀貨10枚=銀版1枚 10万メル
銀版10枚=金貨1枚 100万メル
金貨10枚=金版1枚 1000万メル
金版10枚=白銀貨1枚 1億メル
白銀貨10枚=白銀版 10億メル
スマホからお金を一万メル取り出すと銀貨が1枚出てきたので確実性が持てる。スマホの中で両替も可能なようだ。ただ、庶民や農民などはせいぜい銀版までしか使わない。その上は大商人や貴族の買い物、白銀版に関しては国の予算などでしか使われていない。白銀貨どころか、金貨を見ないで死んでいくものの方が多いというわけだ。
お金の価値は銅貨10枚ほどあれば一日の食事はなんとかなるらしい。手慣れた中級魔法使いが、頑張れば1人で狩れるオーク一匹で、銀貨2枚分になるらしいのだから、冒険者はよっぽど儲かるのだろう。
そして次に、ソフィアは貴族階級について話した。俺ら冒険者には関係ないんじゃ、と聞いてみたところ、最低限のことを知っていないと、何も知らない村の辺境の新米冒険者が無礼を働き、その場で騎士に切り捨てられたり、牢獄に入れられたりしているらしい。それによって天国の門を叩く、新米冒険者が後を絶たなかったとソフィアは話した。
貴族の階級は上から、王族、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士爵の8段階に分けられており、王族を含めた子爵までの階級は国に住み、政治を動かしたり、パーティーを開いたりしている典型的な皆が考える貴族。男爵、準男爵は地方の町を治めており、国へ行くのは年に一回挨拶へ行く程度。騎士爵は代々騎士を務めている家系に形として送られるものだ。
騎士爵は別だが、準男爵以上の貴族が目の前を通る時、通路を開け、片膝をついて座り、下を向かなければいけない。これが最低限の礼儀。それを一行が通り過ぎるまでやり続けなくてはならないそうだ。なんてめんどくさい。
よっぽどのことがない限り、大抵貴族は騎士やメイドや執事を従えているので、一般人との差はわかるのだが、困った時は、左胸に付いている魔法陣型のバッジが目印だ。何処の国でもこのバッジだけは共通で、色分けがされている。王族は金、公爵は銀、侯爵は銅、伯爵は赤、子爵は青、男爵は黄、準男爵は緑、騎士爵は白だ。とりあえず思ったことを言うと。近くを通らない限りあまり関わらないようにしよう。
最後に、この地、暗黒大陸についてだ。紫がかった霧が年中覆いつかしているこの大陸は、太陽が昇っている時は気温20度ぐらいだが、夜になるとマイナス30度の極寒の地に変化する。雨も降らず、水もない。もちろん草木は生えず、ただただ赤茶けた土地が広がっている。何千年も昔、ここは聖地だったと書物に記されているらしいのだが、今はその気配すらない。それを信じて何百年も昔に暗黒大陸に乗り込んでいった時代があったらしいのだが、その国や冒険者はことごとく命を落とすか、大怪我を負っていった。それもそのはず、超強い魔物だけでなく、大型の竜までもがそこに住み着いているらしい。
それを聞いた瞬間俺は慌てて周りを見渡してしまった。そんな俺を見たソフィアはクスクスと笑い、大丈夫ですよ、と声をかけてきた。どうやら魔法を使って俺たちの周りに結界を張っているらしい。結界の強さは使った人の強さに比例するのでソフィアの結界を破れるものがいるはずがない。しかもなんとソフィアの結界は中の温度を一定に保てるらしい。この結界を出たら外はもうマイナスの世界だ。ソフィアが心強すぎる…。
では暗黒大陸の話に戻す。そしてそのうち人が干渉することはなくなり、今ではここ100年ほど足を踏み入れたものはおらず、なんと巷では、魔王が住んでいるだとかそんな話になっているらしい。ソフィアに聞いてみるとここには、いないらしい。というかこの世界の魔王とソフィアは友達なので俺たちとの敵対はないとのこと。魔王と友達って…ソフィアの友人関係はどうなっているんだ…。ただ、すごく面白い子らしいからいつかあったら話してみたい。
ソフィアが話し終える頃には太陽が落ちてきたのか、だんだんと周りが暗くなってきた。お腹も空いてきたし、ご飯にするか。そう思ってソフィアに声をかけようとすると、ちょうどソフィアが魔法でサッカーボールぐらいの大きさのライトボールを作り三箇所に飛ばすところだった。一気に周りが明るくなる。やっぱ魔法って便利だな。俺も使ってみたい。
「ソフィア、光ありがとな。こんな使い方もできるのか。俺にも可能か?」
「いえいえ、暗くなってきたなーと思ったので。マオ様にもできますよ。1つの玉だけだったら中級持ちでも扱えるので。イメージすれば簡単にできますから。」
というので、俺も試しにスマホを左手に持ってイメージする。光の玉…光の玉…、イメージすると身体の中から何かが出てく感触があった。これが俺の魔力が流れた証拠だろう。スマホの上に魔法陣が生まれ、魔法が展開される。成功だ。俺にもできた!ただ、だ。目を開けようとすると眩しすぎて目を開けられない。かろうじて目の隙間から見えたのは、直径2mの超巨大光の玉だった。しかも発光度が半端じゃない。ソフィアも手で目を覆っている。イメージがダメだったのか、ショックを受けた俺はこの玉を消そうと思った。あれ?俺そういえば消し方知らない…。
「ソフィア!これどうやって消すの!?」
「光の玉に手を掲げて消えろと願えば消えると思います!言葉に出すのが簡単でしょうか。」
「よしわかった。消えろ!」
ソフィアに言われた通りにすると、あの馬鹿でかい光の玉が消えた。助かった。何処が悪かったんだろう。俺がぼーっと考えているとソフィアがそんな俺をみて笑った。
「魔法を使うには、イメージとコントロールが大事です。他の大陸に行く前に、明日からここで練習しましょうか。」
それもそうか、国に入って魔法事故とか犯したくないもんな。
「うん、そうする。ありがとう。明日から頑張るよ。じゃ、夕ご飯にしようか。」
「はい!お手伝いします!」
そうして異世界に来て初めての食事が始まった。