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読んでくださり、ありがとうございます。処女作のため、足りないところだらけですが、楽しんでもらえると幸いです。
目を開けると、上からソフィアさんが覗き込んでいるのが薄っすらとわかった。そう、薄っすらと…。
「有栖川真央様、無事異世界に来ることができたようなんです、できたようなんですが…」
ソフィアさんが周りを見渡しながら頰に手を当てて、困惑した表情を見せる。何をやっても美少女は絵になるな。
そんな場違いなことを考えながら、俺は体を起こし周りを見渡す。しかしわかることといえば、足元に広がる赤茶けた草の生えていない大地だけ。あとは紫がかった霧のようなもので覆われており、せいぜいはっきり見える範囲は3メートルほどぐらいだろうか。
「転移する前、レティアラ様が突然目の前に人が現れたら、大ごとになるだろうと思い、人里のないところへ転移してくれるとおっしゃってくださいました。私もそれはそうかと思い、承諾しました。でもまさか、ここだとは思いませんでした…。てっきり森の奥地とかだと…」
ソフィアさんも遠い目をしてため息をついている。どうやらここへの転移はソフィアさんも予想外だったらしい。ロクでもない最後のギフトをくれたな、こりゃ。あの緩い命神様ならやりかねん。転移に失敗したのか、それとも意図的か…。うん、どっちもあり得る。
でもまずは目の前の状況に集中しなければ。とりあえずこれからどうしよう。まずは一定範囲だけでもこの霧を晴らさないことにはどうしようもないな…。動くことすら危険だ。向こう側に何があるかさえわからないのに、この世界にはモンスターも存在するのだ。下手をすると一瞬で詰みだ。まずは情報が大切だな。
ん、そうだ、とりあえずスマホを起動してみるか。何かわかるかもしれない。始終不思議そうに、時々驚いた顔をしたりと、俺のスマホを覗き込みながら、コロコロ表情を変えるソフィアさんを横目で見ながら俺は色々なことを試す。
武具の召喚や魔法の展開は、タップ1つで簡単にできそうだ。しかし、元日本人のサガだろうか。武器を取り出すのが多少気がひける。後で試そう。
マジックバッグのアイコンをタップすると、収納上限がないこと、時間が止まった状態で収納出来る事がわかった。有難い。何か見つけたら適当に放り込んどけば良いだろう。入れたものはリストから選びタップしたら取り出せるらしいが…。取り出したものが、空からふってきたりとかしたら超カンベンだ。最悪それで死んでしまう。死因それって恥以外のなんでもないな。後世に残ったらたまったもんじゃない。
所持金のとこには2,00000メルと示されていた。メルはこの世界のお金の単位だろうか。この世界のお金の価値はわからないが、命神様からの餞別。ありがたく頂こう。
ネットも俺が思ったよりも簡単につながった。回線はないだろうから心配してたんだが。そんな心配は命神様の前では関係ないか。俺自ら地球への干渉はできないが、俺が地球で何が起きてるかは確認ができる。見ていたらホームシックになりそうだったのですぐに閉じる。
一番すごいのはネット注文だろうか?食品から家具まで、地球のものが簡単に変えてしまう。しかも今持っているメルで、だ。電気製品は電気がないからこれからも買う意味ないだろうと思ったら、なんとこれも魔力を流せば稼働するらしい。異世界版ネット注文。これさえあれば、商品を横流しで設けれそうな気がしてきた…。元金で大商人を目指すのも一理あるかもしれない。
逆に自分が思っていた方向で、役立たなかったのがマップだ。少しマップを動かしたものの、見渡す限り何もない。ここはだだっ広い広野らしい。建物らしきものが見つからない。そのかわり登録した人が、どこにいるかわかる機能が付いているらしい。GPSを他人にもつけることができる、というわけだ。とりあえずソフィアさんを登録したので、迷子にはならないはずだ。
そしてもう1つ、俺が頼んでいない不思議な機能が付いていたことを発覚した。防犯用だろうか。ソフィアさんが触ってみたいというので貸したところ、一瞬でソフィアさんの手から消え、俺の手の中に帰ってきた。ソフィアさんはがっかりしていたが、これから危険なこともあるだろうし、この機能は助かる。これが無くなったら大変なんてものじゃなさそうだしな。だって俺の財産すべてこの中だし。
とりあえずざっと見てこんなところだろうか。結局ここがどこか、とかは分からずじまいだ。やはり、この地のことが少しでもわかれば考えやすいのだが…。ってあれ?そういえばソフィアさん、この地のこと知ってる感じじゃなかったか?まさかここだとは…的な感じで言ってたような。とりあえず聞いてみるか。杖を両手で握りしめているソフィアさんに、俺は声をかけた。
「ソフィアさん、もしかして、この地のこと知ってる?何か知ってるなら包み隠さず教えてほしい。これからまずどうすれば良いか目星をつけたいんだ。」
「あ、えっと、わかりました…。でもその前に、そんな他人行儀な態度、お辞めになりませんか?貴方は私の命の恩人なのですから。私のことはソフィアとお呼びください。有栖川真央様。」
綺麗なお辞儀をしながら話すソフィアさんを見て俺は思う。それは自分に跳ね返ってくる言葉じゃないか?と。俺の呼び名、未だフルネームだし…。まぁ、こう呼べとも言ってないから仕方ないのかもしれないが。何か壁作られてるように感じるのは俺だけなんだろうか。
「うん、わかったよ。ソフィアだね。でも俺のこともマオって呼んでくれ。名字は異世界に来たからいらないだろ?だからマオでいい。これからよろしくな。」
俺は笑顔で手を差し伸べる。そこにふと手を取ってくれなかったらどうしようという悪い考えが浮かぶ。握手は行き過ぎだっただろうか。前世?では女性の扱いなんて全くわからない、残念な男だったのだ。ましてや目の前にいるのは100人が100人振り向くであろう、超がつく美少女。神であろうとも多少は色々な男を知っているだろう。無意識に空回りすると、変な男と認識されそうだ。流石の俺でも凹む。慌てて手を引っ込めようとすると、そんな必要はなかったのか、それどころかソフィアは、パッと顔を輝かせ、そして顔を赤らめて嬉しそうに俺の手を握った。
「はい、マオ様!どうぞよろしくお願いします!」
緊張もほぐれてきて、少しは気持ち的に近くなれただろうか。これから一緒にやってくんだ。ソフィアも俺に慣れてほしい。敬語は変わらないが…。多分、いつかもっと仲良く慣れたら敬語は外れるのだろう。これからのことだ。急がなくてもいい。
俺は腰を下ろし、ソフィアも足元に座った。そして俺は本題に入った。
「じゃ、教えてくれるか?この世界のこと、大陸のこと。モンスターのこと。なんでもいい、小さなことから大きいことまで、手がかりが欲しいんだ。」