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大型トラックが俺の目の前に迫っている。死ぬ間際ってスローモーションに見えるって本当なんだな。俺はそう呑気に思った。


俺、有栖川真央は、普通の男子高校生だ。趣味はゲーム、アニメ鑑賞、読書ラノベという生粋のオタク。友達も普通にいるが、彼女はいない。性格が〜とかいう奴もいるが、高校生の恋愛なんて80%は顔だ。俺は、可もなく不可もなく…と言いたいところだが、顔がよくないのは自覚がある。俺に青い春なんて高校生活ではまずありえないだろう。

まともに胸を張って言える趣味なんて料理ぐらいだが、しかしその理由も、親が俺の幼い頃に離婚したため、家は小さなアパートに父さんと二人暮らし。父さんは、朝遅く起きて夜遅くに帰ってくる為、必然的に俺は何か食事を作らなければいけなかったのだった。死活問題であったため上手くなるのも当然である。


そんな俺にとっては普通の日々を送っていたある日。俺のこの地球での生活は突然終了した。

幼稚園から何だかんだの腐れ縁で、仲の良い友達である坂原諒太とたわいもない話をしながら下校していた時だった。信号のない広めの交差点の向こう側にある公園で、小学2年生の坂原の妹が友達と集団でボールで遊んでいた。相手の男の子がボールを投げ過ぎてしまったのか、公園の敷地内を抜け、ちょうど俺たちの前の道路の真ん中でボールは止まった。坂原の妹がボールを追いかけ公園を出ると、反対側にいる俺たちに気づいて大きく手を振って、ボールを取りに行くために道路へ飛び出した。しかし大型のトラックが坂原の妹目掛けて突っ込んできたのだ。スマホを片手にいじりながらの運転だった。このままでは間に合わないと感じた俺は、考えるよりも先に足が動いた。坂原が叫ぶ中、危機一髪のところで俺は坂原の妹を思いっきり突き飛ばした。多少の怪我は許してほしい。そんなこんなで冒頭に戻る。


近くを通っていた歩行者の悲鳴と共に、突き飛ばされた感覚が全身を駆け巡る。身体が空中をまい道路に投げ出された。痛い。強く頭を打ったようだ。意識が朦朧としている。坂原が妹をそっちのけで俺に駆け寄ってきた。真剣な顔で涙を流し、何かを俺に訴えてくるが、もう俺には外界の音が聞こえなかった。せっかく妹を助けてやったんだから感謝しろ、そう言いたいが声も出ない。そうこう考えている間も身体から血が流れ出ているのが感覚でわかる。目の前の坂原がスマホで119番をかけているが、もう間に合わないのがわかる。とうとう目が見えなくなってきた。俺はここで死ぬのだろう。まだ15歳の若さで。あー、どうせ死ぬなら来週発売のゲーム、やってから死にたかったな…。

そんなことを考えながら俺は意識を落とした。

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