全員無事?
8話目です。
少し間が開いてしまいました。すみません。
「うわっ!」
俺はベッドから跳ね起きた。その拍子にベッドがギシッと音をたてる。
「はあ……はあ……」
体中が熱っぽい。頭もクラクラする。なんだか変な感じだ……。何か夢を見ていたような……。
それよりも喉が渇いたな……水でも飲もう……。
そう思って、俺は初めて周りの景色を見渡した。景色と言っても、ただ薄茶色のカーテンが周りに掛かっているだけだが。……いや、カーテン……?
「っ!?」
な、何だここは? 俺の部屋じゃない!?
あまりにも予想外のことに、頭がついていかない。
おかしい……俺は今まで何を……? ……そうだ、確か友達と一緒に遊んで居たんだ……記憶が曖昧だが、誰かの家に集まっていたような……。
「うっ……」
突然、頭痛がした。頭がぼーっとしてくる……。そういやここは何処だ……? なんだか……病院のベッド……みたいだな……。
(ボソボソ……)
ん? 今何か……聞こえたような……。誰か居るのか?
「おい……誰か居るのか……?」
取り敢えず呼びかけてみる。声は隣の方から聞こえたような……。
「ん……? この声は……タクヤ?」
俺の名前を知っている……? しかもこの聞き覚えのある声は……!
「お前は……シュウか!?」
「そうだよ! 良かった、タクヤも目が覚めたんだね」
そう言いながら、俺のベッドのカーテンを開くシュウ。体を起こしたまま、改めて周りを見渡してみる。
するとシュウとは別の人物が視界に入った。白衣を着ているが……コイツは誰だ? そう思っていると、その男が自ら名乗った。
「私はこの病院の院長をしている者だ。君達が路上で気を失って倒れて居るところに、ちょうど通りかかった人がここへ連絡してくれたのだ。そこで、この病院で一時的に君達の介抱をすることになったわけだ」
「路上で……気を失って居た……?」
そんな馬鹿な。俺達は外には出てないはず……。
「分かるよ、タクヤ。僕も最初は戸惑ったんだ」
「シュウ、お前は何か知ってるのか……?」
「うん。僕はタクヤより早く目覚めたんだ。そして、この院長先生と話をしていたんだよ」
「そうなのか……じゃあ、俺の身に何が起こったのか、教えてくれないか?」
「その事なんだけど……」
そう言って院長の顔を見るシュウ。何だ? 話しにくいことなのか……?
「君達の身に何が起こったのか……それはこちらにも分からないのだ。先程述べた君達を見つけた通行人に話を聞いたのだが、君達は急に現れたと言うのだ」
何だって……?
「道を歩いていたところ急に空間が歪み、君達が虚空から現れてきた……と言うのが正確なところだ。これだけならまだ問題は無いが……」
は? 空間が歪む? 虚空から現れた? どう考えても異常じゃないか。そう思ってシュウの方を見るが、何も反応しない。
「1番疑問なのは、何故君達が全員気絶していたのかということだ。飛ぼうとした瞬間に何かの間違いが起こったのかね? 彼にはその記憶もないらしいが……君はどうなのだ?」
俺の方を向いて院長が聞いてくる。しかし、俺だって記憶が曖昧なのだ。
「いや……俺も何が起こっているのかさっぱり。そもそもここは何処だ?」
「先程も言ったが、この街の病院である。君達はこの街から北に向かう道で発見されたのだよ」
「はあ……んじゃあここは何県だ?」
院長は不思議そうな顔をする。いや、話が通じないから質問を変えただけなんだが。
「剣……? ここに剣など無いが……」
はあ? 嘘だろ? 日本人じゃないのかこの人?
「タクヤ……君の言いたいことは分かるよ。でもね、どうやら僕達はとんでもないことになっているみたいなんだ」
「どういうことだよ?」
「それは……あ、院長先生、女子の方をお願いしても良いですか? 彼女たちも起きる頃かと」
「うむ、そうしよう」
そう言って院長が部屋を出た後。俺はシュウの言葉を待つ。
「そうだね……タクヤ、君は異世界を信じるかい?」
「ん、まあ地球が存在するぐらいだし、多少は有り得ると思うが」
この質問に意味はあるのか?
「もしも、そこに自分が飛ばされたとしたら、どうする?」
そこで、俺はシュウの言わんとすることを察した。
「は? お前、何言ってるのか分かってるのか?」
「そう、大真面目だ。恐らくここは……」
異世界──。口に出してはいないが、シュウの言いたいことはそういう事だろう。
「ちょっと待てよシュウ、落ち着いて考えてみろよ。お前は頭が良いだろ? 今言おうとしてることは馬鹿げてるぞ?」
「僕も未だにそう思うよ……でも取り敢えずここが地球じゃないことは確かだよ」
「何でだよ!」
「外を見てごらん。今は夜の空が見えるはずだよ」
何だと……? そう思いながらも窓に駆け寄って外を見る。
「別に何もない……だろ……?」
真っ暗な夜空に浮かんでいたのは大きさの違う3つの月。
「……!? な、何だよあれ!?」
「分かったかい、タクヤ。ここはもう僕達の知っている世界じゃないんだ……」
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その後、俺達は一緒に居た女子3人と合流しようと、別室へ向かった。シュウが言うには、リンカやホノミ、ミズカが居るらしい。この5人で遊んでいたら、急に皆倒れてしまったと。
アイツらは無事なのだろうか。そう思いながら女子達の部屋のドアを開けるシュウを見る。
中に入ると、そこにはベッドに座った3人の女子達が居た。
「あ、シュウ君に……タクヤ!」
「2人とも起きてたんだ~」
「……よかった、皆無事ね」
なんだ、コイツらは平気そうだな。
「私はこれで失礼する。今日の所は早く寝なさい。ではまた明日」
そう言って部屋を出て行く院長。
「さてと……シュウ、どうする?」
「うん、僕から説明するよ」
「「「??」」」
顔にクエスチョンマークをくっつけた女子がこちらを見る。しかし、コイツらは現実を受け止められるかね……。
この話は佐上君が海皇になってあたふたしている頃の話です。紛らわしくてすみません。
しっかし難しい。人数ミスった感半端ないです。セリフは今後多くなるし、余計に分かりにくく……また説明が多くなります……。
次回 街へ