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海皇やるのも楽じゃない  作者: 坂鷹孝佐
5/17

会議に参加します!

5話目です。

今回は3800文字と長めです。

最後までお付き合いいただけると幸いです


「……っ!」


「あっ……お目覚めですか? 海皇様。ノックしてもお返事がないので、心配になって……」


「ん、ああ……そうか……」


 まだ寝ぼけているが、とりあえず返事をする。意識がはっきりしてくると、周りの様子が分かってきた。


 俺の部屋にはカルラの姿があった。勝手に入ってきたのだろうか。そうだとしても、寝てた俺が悪いから何も言わないでおこう。


「お昼の食事をお持ちいたしましたが……どうなさいますか?」


「もうそんな時間か。ありがとう、いただくよ」


 そういえばフロストに部屋を案内させてから、俺は直ぐに寝てしまったんだった。まだ朝早い時間だったはずだが、何時間ほど寝ていたんだろうか……。いや、それはどうでもいい。今は空腹が我慢できない。寝ておきて直ぐに昼飯というのは何だか変な感じだが、この際なんでもいい。


「それでは、少々お待ち下さい」


 カルラはそういうと、部屋の外に向かって合図を出した。すると、十数人ほどの魚人がそれぞれ料理を持って入ってきて、俺の前にある大きなテーブルに並べだした。なるほど、この人達は召使い的な立ち位置なんだな。


 たくさん並べられた料理は見たことない食材ばかりだったが、中には地球の食べ物に似ている物も混じっていた。さらには食器までそっくりだ。フォークやナイフ、スプーンなど……これって宇宙共通なのか? さすがに箸はなかったけども。


 なぜかカルラも同じテーブルで食事をしている。しかし俺のとは別の料理だ。おそらく、いつもここで2人で食べているのだろう。


 美人との食事は心躍るが、だからと言って食べているときに会話をするのはマナーが悪い。2人で向かい合って黙々と食べ進めた。


 食事は直ぐに済んだ。元々食べるのは速い方だし、お腹も空いていたから、飲むように食べてしまった。中々美味だったから、平凡なものしか食べてこなかった俺にはもったいない気がしてならない。


 カルラは先ほどの召使いに食器を片付けさせ、俺の方へ向き直る。


「それでは海皇様、今日の夜の会議はよろしくお願いしますね」


「ああ、分かった」


 さて、何を話すか……と言っても昨日の夜に歩きながら考えてたし、大丈夫だろう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 今更気づいたのだが、この世界の時間の単位は地球と全く同じだった。しかし、自分がそう感じるだけで、本当は違うのかも知れない。だが、それを確かめる術はないし、このままの方が都合がいい。


 とにかく、この世界の事をよく知るためにするべきことは、海皇の役を演じ続けることだ。タイミングをみてこの神殿を抜け出して地上に出たい。


 今は『玉座の間』で幹部達を待っているところだ。カルラ曰く5人来るらしいが、いくら幹部だけを集めると言っても少なくないか? 1人はフロストだろうが、他はたったの4人だ。

 

 そんなことを考えていたら、扉がノックされた。


「入れ」


 俺がそう言うと、また自動で開いていく。便利だなこれ。


「失礼いたします!」


 フロストが言うと、5人の魚人が入ってきて、俺の前にひざまずく。


「海皇直属精鋭隊副司令官、フロスト!」


「精鋭諜報部部長、ザーレ!」


「精鋭防衛隊隊長、リバル!」


「精鋭狙撃部隊隊長、アルテア!」


「精鋭突撃部隊隊長、ダンパー!」


「以上、精鋭隊隊長5名! 参上致しました!」


 おおう、コイツらが俺の精鋭隊なのか! そうか! いちいち名乗りを上げるのか! うーん、中々気持ちがいいじゃないか。


「海皇様、揃いましたよ」


 カルラが横で囁く。あ、そうだこれで全員か。変なところで感動してしまった。


「顔を上げよ。そして席に着くがよい」


「「はっ!」」


 前もってカルラに準備させた机につかせる。


「それでは、会議を始めます。最初は諜報部からの報告です。諜報部部長ザーレ様、お願いします」


 ザーレと呼ばれた男が立ち上がる。比較的身長が低いな。


「はい。私からは焔皇軍の動きについて報告させて貰います。前回は海底都市スティアに攻め入られようとしましたが、領海に入られることはなく、地上での撃退に成功しました。それによって、向こうの動きは収まりましたが、これはおそらく、一時的に兵力を蓄えようという算段でしょう」


 ザーレの声は少し高い。見た目もまだ若いようだ。


 たしか、この話は前にカルラからも聞いていたな。とりあえず気になるところを聞いてみよう。


「それで、その後の様子は? それに兵力の差はどれぐらいだ?」


「はい、今のところ目立った兵器の開発などは見られませんが、その分、兵士の頭数を増やしているようです。兵力は……おそらくあと1年もすれば、超えられてしまうかと」


 ガタッ 

 

 突然、ザーレの向かい側に座っていた大きな男が立ち上がって叫んだ。


「ザーレ! お前は我が軍が、奴らに負けるというのか!?」


「リバル様! 落ち着いて下さい!」


 カルラが直ぐに止めに行く。しかし、リバルは不満そうに顔を歪めたままだ。ザーレも身長が低いのに、さらに縮こまってしまった。ここは俺が止めるしかないな……。


「リバルよ。ザーレは私の質問に答えているのだ。お前と話しているのではないぞ」


「っ! こ、これは失礼しました……」


 言いながら、席に着くリバル。コイツは大男で短気なのか。確か防衛隊の隊長だったはず……。大丈夫なのか?


「それで、ザーレよ。今の時点ではどうなのだ?」


「は、はい……現在は我が軍の敵ではありません。やはり前回の痛手が尾を引いているようです」


「それならば何故、1年で勝てなくなるのだ?」


「それがですね……奴らは魔道士を多く雇っているのです。その魔道士のほとんどは火属性か土属性の魔法を使うのですが、稀に雷属性や風属性の魔法を使う者も存在しており、我々への対抗手段として手厚く育てられているのです。今はまだ少ないですが、増え方が尋常じゃないので、もはや猶予はないかと……」


「なるほど……我らに有利属性を持つ魔道士の急増か……」


「発言、よろしいですか?」


「何だ、フロスト」


「魔道士を育てると言っても、我々のように海に強いわけではないでしょう。今までと同様に、危なくなったら海に逃げればいいのでは?」


「つまり、戦場が海であれば魔道士など問題ではない、と?」


「その通りです」


 たしかに、それも一理ある。俺らは海でも呼吸ができるからな。と言っても俺はまだ海に出てないけど。


「この神殿に入られたらどうするのだ? 海の底にあるとはいえ、ここには空気がある。攻め込まれないとも限らないぞ」


 とりあえず気になるのはここら辺だな。


「そこは我が防衛隊にお任せ下さい!」


 おっ、リバルが乗ってきた。責任感は強いようだな。


「ふむ……お前がそう言うのであれば良いだろう」


「次に、我が軍の兵士の募集についてですが、現状の報告をお願いします」


 カルラが次へと進める。すると、ザーレの隣にいた女が立ち上がった。


「精鋭狙撃隊のアルテアでございます。我が狙撃隊は、魔法狙撃型7000人、物理狙撃型3000人の総勢10000人。前回の負傷者は0人、損害はありませんわ」


 アルテアという女は優雅に話す。見た目もお姉さんキャラだし、髪は金髪のロングヘアだ。


 ちなみにカルラは黒髪のショートヘア。顔も可愛い感じで、対照的だ。


 さて、狙撃部隊については分かった。次はその向かい側に座っていた男か。


「精鋭突撃部隊隊長ダンパーです! 我が軍は剣士3000人、槍使い2000人、斧使い2000人、近接魔法使い3000人の総勢10000人です。前回の負傷者はおよそ1200人、全員回復済みであります!」


 ダンパーとやらは典型的な熱血男だな。こういうやつは勇敢で頼りになる。


 それにしても近接魔法使いなんてのも居るのか。おそらく、バフとデバフ要員だろうな。んで、次は……


「精鋭防衛隊隊長リバルです。」


 うん。知ってた。


「我が軍は前衛隊8000人、後衛隊7000人の総勢15000人であり、前回の負傷者は960人、現在は回復済みです」


 リバルは落ち着いたみたいで良かった。


「以上より我が精鋭隊は問題ありません」


 フロストがあっさりと締めくくった。


「それでは、新しく精鋭隊の募集はしなくても良いと言うことになりますが、海皇様、いかがしますか?」


 ふむ、ザーレの話を聞く限りでは、兵力はもっと大きくした方が良さそうだ。しかし、あまり多く兵士を募っても、戦えなければ意味がない。精鋭隊の総人数は35000人。漢字にすると三万五千人。……あれ? クッソ少なくね? 兵隊がこれだけなわけないよな? しかも医療部隊とか補給部隊とかはどうするんだ?


「うむ……しかし一般兵士はどうするのだ?」


「一般兵は精鋭隊を中心に動いて貰います。彼らはすべての海から募るので、人数が膨大です。なので精鋭隊を派遣して、彼らを指導、育成し、戦力にしていきます」


 カルラがすらすらと答えていく。


「前回の戦いは一般兵の負傷者も少なく、被害はほぼありません。医療機関や、物資も充実していますので、兵士が増えても対応できますが、いかがでしょう、海皇様」


 なるほどな。精鋭隊と一般兵に区別されるのか……よかった、いくらなんでも少なすぎると思った。それよりもカルラが成長している……! なんか感激。


「わかった。精鋭隊については、現状維持とする。しかし一般兵は随時募集し、焔皇軍との戦いに備えて、どんどん育成せよ」


「「はっ!」」


「それでは皆さん、お疲れさまでした。解散です。この会議のことは、精鋭隊の方々にもお伝えするよう、お願いします」


「では、頼んだぞ」


「はい! 失礼しました!」


 最後もフロストがそう言って部屋を出ていく。かくして、俺の海皇としての初会議は幕を閉じた。


今回も読んでいただきありがとうございます!

とても情報量が多い回になりました。

読みにくいことこの上ないくせして、エ〇ルさんのセリフを……ゲフンゲフン


これからも頑張って進めようと思いますが、変なところがあれば、容赦なくご指摘下さい。



次回 改装します!

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