部屋を探します!
4話目です。
タイトルを変えました。
それと、少し長めにしてみました。
翌朝。海底神殿の中を夜な夜な徘徊していた俺は、ついぞ自分の部屋を見つけることはできなかった。理由としては、ここが広すぎるうえに、まるで迷路のように入り組んでいるからだ。仮にも海皇の拠点だから侵入しにくいようにだろうが、それにしてもデカい。
昨夜分かったことは、神殿内部は階層構造であり、窓は一切ないこと。海底にあるならそれはそうだ。そして自分はまだ1階から3階までしか探索できていないということ。
そして1階に部屋はなく、大きな迷路ゾーンであること。2階は書庫や武器庫がほとんどで、3階から兵士達の部屋があるということ。ちなみに今は次の階へ続く階段を探している。
それと、あの大広間は2階と3階を跨いでふきぬけであり、『玉海の間』という名前であること。恐らく縦の大きさからして、4階も跨いでいるはずだ。
すなわち、4階も存在しており、目算6階建ての神殿だと言うことも分かった。なぜ6階建てと言うかというと、1階の広さは凡そ600メートル四方で、2階は凡そ500メートル四方、3階は凡そ400メートル四方だと言うことが分かり、必然的に最上階は100メートル四方の6階建てとなっていることが分かったからだ。しかし迷路ゾーンは計測するのに時間がかかった。誤差も出ているだろう。
あくまで予想だからハズレても良いけど。外から見ると階段状のピラミッドみたいに見えるはずだ。ん? そんな建物、地球にもあったような……名前なんだっけな。
そんなこんなで未だに徘徊中で、そろそろお腹も空いてきた。精神的にも疲れてきたし、自分の部屋に行きたい。しかし、肝心の4階への階段が見つからない。うーん、中心にあると思ったんだけどな……いつまでもうろうろしてたら、兵士達に見付かりかねない。いや、見付かってもいいけどさすがに驚かせてしまうだろうし……。
あ、いい作戦思い付いた! 誰かに連れてって貰えばいいんだ! うーん、しかしどうやって案内して貰うか……普通に頼むのは駄目だな。怪しまれることこの上ない。『今、俺の部屋を探してんだけど、何処にあるか知らない?』とか王様に聞かれたら、誰だって『は?』ってなるよ。絶対。
そこは上手い具合に騙すしかないな……。どうしようか……。
「これは海皇様! おはようございます」
「……ん? あっ、おうフロストか」
突然後ろかけられた声に反応が遅れたが、振り返って返事をする。一瞬素が出てしまったが、まあいい。タイミングがいいな、フロスト!
「はい。兵士達の様子を見に来ました。海皇様はどんなご用事でしょうか?」
自分から聞いてくれるとは! さすが優秀だな!
「おお、そうだ。お前に用事があるのだ」
「私に……ですか。分かりました。なんでも言いつけ下さい、海皇様」
「いや、実はな……」
よし、ここから話を持っていくか。
「……うーむ、この場所では少し言いにくいな。私の部屋にまで来て欲しい」
「……! それは個人的な話でしょうか……?」
「まあ、そういうことだ。とにかく……」
「承知しました。それでは参りましょう。海皇様のお部屋でよろしいのですね?」
「ああ、そうだ……」
俺がそう言うやいなや、フロストは歩き出した。いやに物わかりがいいな……ありがたいことだが、少し心配だ。
今のでバレてないだろうか……そもそも部下の後ろをついて行く王様っているのか?いや、そんなこと思っても仕方ないな。今は道のりを覚えることに専念しよう。
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「着きました。海皇様」
あれからフロストについていくと、あっさり自分の部屋に着いた。名前はそのまんま、『海皇の間』だった。そして予想通り6階建てだったし、道順も覚えた。最初からこうすれば良かったな……。後悔先に立たず。
「ご苦労だったな。さあ入れ」
言いながら扉を開けると、そこには中々広い空間があった。
ここが自分の部屋なのか……後でじっくり観察しよう。それよりも今はフロストをどうやって追っ払うか……。ここまで案内させておいてどうかと思うが、背に腹はかえられない。
とりあえず俺は椅子に座り、フロストも座らせる。
「それでは海皇様、用事というものは……」
「うむ、それについてだが」
適当にカルラのことにするか。その方がボロが出ないだろう。
「昨日の夕方にカルラが来てな。今後のことを話したのだ。確か、あの報告書はお前がまとめたんだったな?」
「は、はい!何か問題でもございましたか……?」
恐る恐ると言った表情で聞いてくる。そんなに怯えなくていいんだが……。
「いやいや、逆だ。よく手短に、分かり易くまとめてくれたな。カルラには、お前に礼を言うようにと伝えたぐらいだ」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「わざわざここに呼んだのも、このことを言いたかっただけなのだ。すまないな、手間を取らせてしまった」
「いえいえ、海皇様からの直々のお褒めの言葉、身に余る光栄でございます! これからも精進して、お役に立つ所存です!」
「うむ、頑張ってくれ給え。話はそれだけだから、下がってよい。今日の夜の会議も頼むぞ」
「はい、承知しました!失礼いたします!」
そう言ってフロストは部屋を出て行った。きちんと一礼していくあたり、とても行儀がいい。
「ふう~……」
やっぱり自分の部屋と決められた場所は落ち着くな。
ここまで長かった……と言ってもそこまで時間は経ってないはず……。しまった、急に眠気が……いや、もう寝よう。仮眠をとって会議に備えよう……。
俺は椅子に座ったまま、眠り込んでしまった。
今回も読んでいただき、ありがとうございます。
見通しが甘く、タイトルを変えてしまいました。
紛らわしいことをしてすみません。
次から会議です。
次回 会議に参加します!