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海皇やるのも楽じゃない  作者: 坂鷹孝佐
12/17

特訓

12話目ですね。

先の話も見据えているのに、この投稿の遅さ。

ぼちぼち頑張りたいと思います。


「よし、もう1度剣を構えろ」


 ジルスは何事もなかったかのように、平然と指示をする。


「あんたらにも、この技……『強化』を覚えてもらう。なぁに、剣に己の魔力を込めるだけだ」


 うーん、そう簡単に言うけどなぁ。


「ふっ……!」


 ふぬぬ……力を込めて握れば何とかなるだろ……!


「ダメだダメだ! それじゃ魔力は伝わらんぞ!」


 デスヨネー。じゃあどうすれば良いんだよ!


「おら、そっちの嬢ちゃんを見てみろ」


 リンカを……? そう思いつつも顔を向ける。


「…………」


 なんだ? アイツただ構えて目を閉じてるだけじゃないか。


「見てな、兄ちゃん。来るぞ」


 何が来るんだよ……と思ったその時。なんとリンカの持つ剣が薄く輝きだしたではないか。


「なっ……! リンカ、お前っ……!?」


「……えっ!? ちょっ、何よ!」


 リンカが目を開けて声を出した瞬間、剣の輝きは失われた。


「あ、あれ? お前の剣、光ってたよな? 魔法に成功したんじゃないのか?」


「そ、そうなの? 確かに何だか手が暖かいけど……」


「おう、嬢ちゃんは上手くいってたな。そこの兄ちゃんが邪魔をしなければ、だがな」


「ぐっ……!」


 やはり今のが成功なのか。くっそ、ここでもリンカに後れを取るとは……!


「あんたらはそこで頑張ってな。俺は他の3人を見てくる」


「おう」


 そう言ってジルスはシュウの方へ向かっていった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「よーし、こっちの兄ちゃんはどうかな?」


「あ、ジルスさん。その……言われたとおり、自分の魔力を感じようとしたんですけど……」


「よく分からないって顔だな」


「はい……。僕の心臓の鼓動や、周りの空気の流れは何となく感じるんです。けれど、そこからどうすればいいのか……」


「ふむ、それだけ感じれば上出来だ。自分と周りの空間にどんな流れがあるのかを、感覚で掴む。それが魔法を使うコツだ」


「はい……! もう少し頑張ります!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「そこの嬢ちゃん2人も、調子はどうだ?」


 ミズカが地面にバッタリと倒れながら応える。


「全っ然分かんない!」


「……私はなんとなく分かったわ。自分の中に流れる血とは別に……何か他のモノがある気がする」


「おっ、いいねぇ、そっちの長い髪の嬢ちゃんは飲み込みが早いな。茶髪の嬢ちゃんは……そうだな、杖とにらめっこしてもダメだぞ?」


「にらめっこじゃないです!」


 今度は体を勢いよく起こすミズカ。


「わははっ、そうかそうか! ま、もう少し座ってな!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 俺は剣を片手に考えていた。どうすればこの剣に魔力を流せるのか……。他の3人の様子を見る限り、魔法を成功させたのは今のところリンカのみ。どうしてアイツだけが……?


「ねぇタクヤ! 今あたしの剣光ってる?」


 目を閉じたままこちらに聞いてくるリンカ。


「それぐらい自分で確かめろよ……。あと光ってない」


「あれ、おかしいなぁ。さっきと同じようにやったのに」


 ……ただのマグレかよっ! 危うく口に出すところだった。


「よーし! お前ら、全員こっちを向け!」


 ジルスが叫んでいる。なんだ、何をするんだ?


「今から俺が魔法を放つ! それを見て魔法の技術を盗め!」


 なっ、何を急に言い出すかと思えば……。それが出来れば苦労はしないんだよ。こちとら全く魔力を感じないんだぞ?


「それじゃあ見てろよ……!」


【炎魔法:ブレイズボム】


「おらあっ!」


 ジルスの裂帛の気合いと共に、空へと火球が撃ち出させる。それはとても高く飛んで、一瞬光って大きな爆発を起こした。その衝撃波と強い熱がビリビリと体に伝わってくる。


 ……いやいや! なんだこの威力は!? 流石ギルド長に就任しているだけはある。じゃなくて、これは初心者に見せる技じゃねぇだろ!


 すると、ギルドの中からルリサが飛び出してきた。


「ちょ、ちょっと! 今の魔法を放ったのは誰ですか!?」


「げっ、しまった……」


「ああー! ギルド長! 何をしてるんですか! まさか魔法を放ったのはあなたじゃないですよね!?」


「あー、その~……。おう、俺だ」


「開き直らないで下さい! いくら屋外に練習場があるからって、あんな魔法はダメですよ! ていうかそもそも練習場での上級魔法は禁止です!」


 やっぱり上級魔法だったか……。【炎魔法】って言ってたからもしやと思ったんだよな。


「そう堅いことを言うなって、ルリ。若い者を育てるのに多少の無茶は必要だろ?」


「必要じゃないです! それにそろそろお昼ですから、朝に仕事に行った人達が帰ってきます! ギルド長も受付を手伝って下さい!」


「分かったよ……。それじゃな、兄ちゃん達! 頑張れよ!」


 そう言いながらギルドの方へ戻っていくジルス。


「あ、そう言えば、ギルドルールで『練習場において上級魔法、またはそれに匹敵する威力の攻撃を行った場合、罰金を課す』というのが有りましたね。てことで、ギルド長のお給料から罰金分を引いておきますね!」


「ええっ! な、なあルリ、それって見逃してもらうのは……」


「ダメです」


 笑い顔が妙に怖かったと、後にギルド長は語ったという……。



そろそろ海皇パートに戻る……かも知れないです。

もうちょっとタクヤ君パートにお付き合い下さい。

そう言った割に、まだまだ未解決の問題が山積みなんですけどね……。


次回:実情

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