世界の仕組み
10話目です!
本日3連続投稿!
「お邪魔しまーす……」
扉を開けると、そこにはとても広い空間があった。入って右手には椅子や机などが多く並び、そこに様々な格好をした人達が座っている。正面には受付らしき窓口があり、左を見ると売店がある。何を売っているのか気になるな……。
「取り敢えず、受付に行こう」
そう言って堂々と真ん中を通るシュウ。
「いらっしゃいませ、本日はどのような……あら? 皆さんあまり見ないお顔ですね……ここのギルドは初めてですか?」
受付嬢が首を少しかしげて問いかける。営業スマイルは最後に決めてきた。
「はい、そうです」
シュウは全く物怖じせずに話す。本人は緊張しているというが、その割には行動が大胆だ。
「はい! 当ギルドのご利用、ありがとうございます! それでは、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「えーとですね、ここの5人でパーティを組みたいのですが、ここで手続きをすれば良いんですか?」
「はい! パーティ編成ですね、少々お待ち下さい!」
そう言って奥に入っていく受付嬢。すると、今度は横から声をかけられた。
「おっ、兄ちゃん達見ねぇ顔だな! 新入りか? 心配すんな、ここは新入り大歓迎だ!」
「ありがとうございます。あなたは一体……?」
「おう、俺はこのギルドを経営してる者だ。職員からはギルド長と呼ばれるが、本名はジルスだ。気軽に呼んでくれ!」
「ジルスさんですね、よろしくお願いします」
「おうよ!」
シュウが1人でジルスの相手をしている間、女子はその成り行きを見守っていた。俺はと言うと……。
「へー、ここは食べ物を売っているのか……そう言えば食料がねえんだよな……」
「ん? そこのあんちゃん、ここは初めてかい? それならサービスしちゃおう!」
そう言って女性の店員さんが袋にパンのような物を入れて渡してくれた。仲間の分も入れてくれたから、袋がデカい。
これって美味いのか……? 見た目は普通のパンだけども。
「ここで食べても良いし、家でひと工夫するのもありだね! これからもよろしくな!」
中々気前の良い女性だった。次も寄ろうっと。
そうこうしているうちに、受付嬢に呼び出される。
「では皆さーん、準備ができましたので奥の部屋へどうぞー」
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「それでは、説明を始めますね」
小さなテーブルを6人で囲み、話をする。
「私達の住んでいるこの街は『アンク』と呼ばれます。ここは主に中層階級の人達が生活しています。と言っても駆け出しの街と呼ばれるほど平和な街なので、危険はほとんどありません」
「それでは、皆さんは今現在どの階級に属するか、ここで判別したいと思います。階級は凡そ7つ、下から『平民』『特民』『貢献者』『冒険家』『貴族』『勇者』『英雄』となります。これは身分証明書の備考の欄に載ります。この階級は職業も要素の1つとしてカウントされます。ギルドの依頼を受けるなどして、一定の基準を満たせば、昇格できます。中層階級は主に『特民』から『冒険家』までですね」
ここまで一気に話す受付嬢。慣れているのか全く淀みがない。
「それでは、皆さんの身分証明書の提示をお願いします」
それぞれに手元に紙を出し、受付嬢に差し出す。
「ふむふむ……なるほど、皆さん魔法体質のようですね。これなら皆さんは『特民』と言ったところですね。まだ依頼をこなしてませんので、これからどんどん依頼を受けて昇格していってください」
まあ、妥当だな。
「えー……まず、パーティ全員が魔法を使えることは中々強みです。何故なら、魔法使いはほとんどの武器に対応可能で、さらには応用も簡単です。無属性魔法の代表格、『強化』を覚えてしまえば、魔法を打ち込むだけでなく、武器を持って自身の体と武器を『強化』し、接近戦に特化できます。ですので、魔法使いは大体の人が魔法剣士や、魔法拳闘士など、それぞれが得意な職業へジョブチェンジしますね」
「へぇー」
ジョブチェンジとかあるのか……そう思いながら、魔法使いであるシュウを見る。
「僕はまだ分かんないかな……」
「そうですか。ジョブチェンジしなくても、魔法のみを極める人も居ますので、じっくり考えてみて下さい。しかし、このパーティですと、戦闘になった場合に前衛2人、中衛無し、後衛3人となって、あまりバランスがとれていません。魔法使いは主に後衛からの回復、援護射撃などを行いますが、前衛が少ないので敵に突破されると、接近戦に持ち込まれ不利になりやすいです」
詳しく教えてくれる受付嬢。皆話を聞いて頷いている。
「とまあ、パーティ編成の際に注意して欲しいのはそこですね。次に戦闘後についてお話しします」
これは俺も聞いておきたい。パーティ編成については俺は大体予想がついていたから、少しつまらなかった。
「戦闘後、敵を倒すと死骸からドロップ品が出ます。そのドロップ品をギルドに持ち帰ると、物に応じてこちらで買い取ります。ドロップ品が多くても、それぞれに個人ストレージがありますので、ある程度の量は持ち帰ることができます。そしてちなみにですが、木は斧で切ると木材としてドロップします。土はスコップで掘ると、同じくドロップしてアイテムとなります。ドロップ品は落ちてから一定時間経つと消滅しますが、ストレージに入れたり、任意でアイテム化したりすると、消えることはありません」
何だか本当にゲームみたいだな。知らないうちにゲームの世界に入ってしまったんじゃないか?
「それと、戦闘は常に死と隣り合わせです。属性の相性によってはダメージがかなり変わります。急所に当たれば即死だって十分有り得ます。なので、日頃から魔法や肉体の鍛錬を怠ってはいけません」
まあ、これは現実だからな。ヒットポイントなんて無いよな。
「即死……? 怖いよーホノミちゃん!」
「…………私達が強くなれば良いのよ、ね?」
その通りだ。強くなればその分、生きやすくなる。
「分かりました。ありがとうございます受付嬢さん」
「ルリサです。そうお呼び下さい」
さて、これからどうするか。晴れてパーティを組めたし、次はあれだよな……。
「あ、そうだすみませんルリサさん、ここに練習場ってありますか?」
「はい。売店の横の通路の先にありますよ!」
「よしきた、魔法の練習だな?」
「そうだよ、皆の魔法とかを確認しよう」
「杖や剣などはレンタルできますが、どうしますか?」
「あ、お願いします」
よーし、遂に魔法か……何だか楽しくなってきたぞ。
私の処女作が遂に二桁。まだまだ至らないところもありますが、これからもどうぞよろしくお願いします!
次回 これぞ魔法




