パーティを組みましょう
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「…んっ」
目を開けると白い天井。
……あったかい。
あ、ここはベットの中か。
私やっと現実世界に戻ってきたんだね。
今日は土曜日だし、もう少し寝よっかな
変な夢であんま眠れた気がしなくて…
「あ、マリちゃん起きた?」
「…アホマリ」
「マーリカ!」
いや、どうやら夢じゃないらしい…
ここはゲームの世界なんだ。
ヒロヤ君、ユウヒ、ヒナタの声が聞こえる。
「…何でみんなここにいるの?
てか女の子の部屋勝手に入るなんて最低っ!」
……あっ!待った!!
もしかして寝顔とか見られた!?
最悪だぁーーー
「ん?昨日みんなでこの部屋で寝てたよ?」
無垢な笑顔のヒロヤ君に衝撃の事実を知らされ、なんかもうイヤだ。この世界。
「にしても相変らず色気ねぇよな、お前。
昨日あんだけ迷惑かけたんだから、
俺を楽しませるようなサービスぐらいしろよ」
「う、うるさい。セクハラ反対!」
「セクハラって色気ないお前にした所で
なんも得ないだろ?」
むっかつくー。
朝からこの男はなんなのよ!!
目覚め悪すぎでしょっっっ
「マリカ怒らない、怒らない。
ユウヒあれでもずっと心配してて、
マリカの隣にずっと一緒にいたんだよ」
「え?」
怒っている私に、
ヒナタが宥めるように話しかけてきた。
「おい、ヒナタ余計な事言うなよ」
……そういえば私どうなったっけ??
魔法使いすぎて、眠くなってきて?
あれから私どう帰った??
どのくらい時間がたったの??
「マリちゃん疲れちゃって、
ユウヒにおんぶされて帰ってきたんだよ?
2日間ずっと寝ちゃってて
僕心配でマリちゃんとずっと一緒にいたんだ~」
ヒロヤ君が心配そうに話しかけてくれる。
「2日間?!?!」
寝てる間にそんなに時間が過ぎてたの?
それでいて私、ユウヒにおんぶって…
私とした事がっっ
泣きたいーっっ
「さてとマリカも起きた事だし、
ボクはパーティメンバーを集めてくるよ」
そういってヒナタは部屋をでて行った。
…そういえば、私いつ着替えたんだろう?
今着ているのは真っ白のロングワンピース。
寝間着なんだと思う。
「あ、アホマリ」
「何よ?」
てかアホマリが定着してきてるんだけど…
「昨日手に入れた防具、それ装備しろよ?
データ化されてるから、
杖を出すときみたいにすれば勝手に着替えが終わる」
「あ、なるほど」
さっそく防具を出した私。
水色の光に包まれて私は新しい防具に身を包まれた。防具って言われると鎧みたいなイメージに聞こえるかもしれないけれど、実際は普通の服となんら変わりがない。下もスカートなのに防御力が高いという、さすがゲームの世界だ。
そしてデザインも可愛い。
服が好きな私にとっては唯一嬉しいことかもしれない。
それから私たちは
部屋を出て朝食を食べ、大きな掲示板の所へ向かった。
ヒナタによるとここが待ち合わせ場所らしい。
「マリカ―」
「あ、お兄ちゃん」
手を振るお兄ちゃんを見つけ駆け寄った。
「フウタさん、今日はよろしくお願いします」
ヒナタがペコっと頭をさけた。
「マリカの友達なら協力しなくちゃな」
それからメンバーと呼ばれる人が2人加わった。
「アキラ、ジョブはガーディアン、土属性」
ぶっきらぼうな言い方をした大きな男の人はアキラさん。大きな盾をもっていた。
ガーディアンって初めて聞いたけど、味方を守る職だと初心者の私でもすぐにわかった。
てか、盾はデータ化しないのかな?
重くないの??
「私は呪術師のツバキ。属性は風。女の子がいるなんて嬉しいわ~よろしくね」
じゅじゅつし…??
呪いって事だよね。
「モンスターの守備力を下げたりする、支援魔法の職種だよ」
ユウヒがボソっと私にだけ聞こえるような
小さい声で教えてくれた。
…わからないの、わかったんだ。
お姉さんのツバキさん。
そしてなりより、女性プレイヤーに会えた事に嬉しかった。ツバキさんとはすぐに意気投合して、お互い友達申請もした。
これならいつでも連絡が取れるし、
買い物も一緒にいけるわねってツバキさんが言った。
「えーと、さっき話したように
羽はこのヒロヤに譲ろうと思う。
いいだろみんな?」
「あたりまえじゃない。
こんな小さい子にこの世界で生きていくのは難しいわ」
「了解した」
ツバキさん、アキラさんの意見も聞けて一安心の私。だけど腕を組んで私達の様子をみていたユウヒはどこか気に食わない様子だった。
「まずは、アキラが前に出てターゲットに。
ツバキとボクが後衛で。
俺は前衛のほうかなー…」
ヒナタとアキラさん、お兄ちゃんが何やら作戦会議を開いてるけど
……正直全くわからないや。
あーぁ。
こんなんなら私もRPGやっとけばよかったよー
「マリカちゃん、マリカちゃん」
「え?ツバキさん?どうしたんですか」
手招きされて少し離れた所にいるツバキさんの所へ向かった。
そういえばツバキさん
作戦会議に加わってないな。何でだろ?
「コレあげるわ。
私風属性だからコレ装備できないのよ。
でもデザインが可愛くて捨てられなくて、ずっとデータ化してたの。
似合う子にあげようって思ってて
マリカちゃんにどうかな??」
そう言って私にくれたのは
群青色の石がついたネックレスだ。
現実世界の人気ジュエリーショップに売ってそうな、可愛いデザインで
ワンポイントで群青色の宝石がついているのだ。
「わ〜綺麗!可愛いっっ」
「ふふふ。喜んでもらえてよかったわ。
さっそくつけてみてよ?」
「あ、でも私お金がっ」
「そんなのいいわよ〜。
仲良くなった記念にね
ささ!私がつけてあげるわ」
ツバキさんに言われるまま
私はネックレスをつけてもらった。
「ほら!やっぱり私の目に間違いないわ
マリカちゃんにとても似合ってる!」
「ツバキさんありがとうございます」
お洒落を一緒に楽しめる友達ができてすごく嬉しい。
私もツバキさんに似合うアクセサリーみつけたら
今度プレゼントしよう。
「マリカー、ツバキーちょっと来てくれ!」
お兄ちゃんの声が聞こえた。
「早く行こっか!
これ以上待たせてフウタを怒らしたくないし」
「そうですね」
私とツバキさんは早足でみんなのもとへ戻った。
「まずはパーティだね」
ピロロローン
いつものようにウィンドウが出てきた。
ヒナタさんからパーティを招待されました。
パーティに加入しますか?
私は“はい”を選択した。
ふと、ユウヒの方を見ると
彼の前にもウィンドウが出てる。
だけど、いつになってもユウヒがパーティに加わらない。
「ほら、ユウヒも入ろうよ?」
手が止まってるユウヒに話しかけた。
そんなにパーティに入るのが嫌なの??
「…はぁ。しょうがねーなぁ」
しぶしぶだけど、
ユウヒは私を見てパーティに加わった。
作戦はこうだ。
まずガーディアンのアキラさんが前に出てモンスターのターゲットになる。
ガーディアンはHPと防御力が高いから、その特性を活かすらしい。
アキラさんがターゲットになっている間にら魔道剣士のお兄ちゃんが敵を倒す。
後ろでツバキさんが補助魔法でモンスターを弱め、ヒナタが攻撃魔法をする。
私とヒロヤ君はさらにその後ろ。
ほぼ狙われる心配もないだろうって配置についた。
万が一、HPが足りなくなったら各自回復薬を使用するけれど、それでも足りなくなったら私が支援魔法を使う事になった。
私の魔法は暴走するから、なるべく使わない方針だとヒナタが言った。
…って、完全足でまといだ…
ちなみにユウヒは何かあった時に動くってことでフリーらしい。
てかアイツの事だ。
作戦なんてイヤだって言いそうだし。
でもパーティにいるだけでもいいって
ヒナタもそう思ったんだと思う。
「じゃあみんな準備はいい?」
「おーけー」
「もちろんよ」
「……ったく、早くしろよ」
各自両手で四角形を作った。
掲示板に表示された廃墟に手を合わせる
「GO」
7人は瞬間移動したのだった。