真逆な2人
「ボクはヒナタ。君は?」
私の救出してくれた白い魔法使いが言った。
「マリカです。
あの、ヒナタさん、助けてくださりありがとうございました」
「ヒナタでいいよ。
それより間に合ってよかった〜」
ぎゅっ
「っ?!?!」
!?!?!?!?!?!
何が起こったのか、わからなくなり
今の状況を把握するのに5秒はかかった。
……だ、抱きしめられてる!?!?
「ひ、ヒナタさんっ!?!」
「ヒナタでいいって。
本当に出戻りにならなくてよかった。
マリカレベル1だから、少し掠っただけで即出戻りだったんだよ?」
いや、うん。わかるよ!私が激弱なのは。
すごい所で助けられたのは!
でも、今の状況に私の心臓がもたないよっ!?
「っ///////」
「ごめん、ごめん
なんか久しぶりすぎてさ」
あまりにもテンパる私を見てヒナタは笑って、ゆっくりと私の体を放してくれた。
…ん?どういう事だ??
「久しぶりって、どこかで??」
会ったことあるっけ??
「うん。
…というよりも、妹によく似ててさ」
「…妹??
そ、そうなんだ」
仲良しなのかな??
私の場合らお兄ちゃんと抱き合うなんて考えられないもん。
「うん。
そういえば、マリカはプリーストの試練で
東の村に来たの??」
「うん。そうなの。ここ東の村って言うんだ。
なんか初心者クエストだから大丈夫って思ってたけど、あんなにレベルが高いモンスターっているんだね…」
これじゃ、現実世界へ帰るのは無理に近い気がした。
「…マリカは現実世界戻りたいの?」
「え?そりゃ、帰れるならすぐに帰りたいよ?」
それはもちろん帰りたい。
ヒナタはそう思わないのかな??
「そっか。」
ヒナタの手が薬草に伸びて、プチッと1枚取った。
「帰りたいけど、
でもその前にやらなきゃいけない事があるんだ」
ヒロヤ君を現実世界へかえしたい。
私がやらなきゃ。守ってあげなきゃって
「やらなきゃいけない事??」
「うん。私より先に現実世界にかえしたい人がいるの」
ピロロローン
ユウヒさんからメッセージです。
会話の途中、ウィンドウがでてきた。
「ユウヒ…??」
ヒナタが今まで見せた事の無い、渋い顔をした。
メッセージが来たけど、これどうやって見れるの??
よくわからず、ウィンドウをタッチしてみる。
“メッセージを削除しますか?”
「違うっ。え〜っとどうやるんだろ??」
“メッセージを削除しました”
「っ!?!?!?」
け、消しちゃった!?
ユウヒに怒られる
「アハハッ。マリカ読まずに消しちゃうのは
よくないよ〜」
「いや、その消すつもりじゃなくて、」
笑うヒナタ。
私は怒られるって思って、そんな余裕ないのにっ
シュッ
「やっとついた。
おせーっぞ。アホマリ
…何でコイツと一緒にいんだよ」
目の前に現れたのはユウヒとヒロヤ君。
どうやらユウヒの瞬間移動でここに来てくれたみたい。
ユウヒの冷たい視線がヒナタをとらえた。
「知り合いなの??」
「あーうん。ボクとユウヒとは腐れ縁でね〜」
「ヒナタそれ以上言うな。
マリカは何でコイツといんの?」
…そんなに毛嫌いしなくてもいいのに。
「助けてもらったの」
「助けなんていらないクエスト…
じゃねぇな。コレ。
なんでコイツが出現したんだ…?」
ユウヒは横たわっている狼モンスターをみた。
あ、よく見ればこのモンスターHP残ってる。
…気絶してるのかな??
「ボクがあのモンスターから助けたんだよ。
そんなに心配してたんだったらユウヒが付いていればよかったんじゃないか?」
「…心配なんかしてねーよ」
「ユウヒは口が悪いけど、根は優しいやつだからマリカ大目に見てあげてね」
「おい、ヒナタうるさい」
王子様スマイルをヒナタにされてしまえば
さっきまでのイライラした感情はなくなってしまった。
「…コイツにトドメは刺さない方がいいな。」
「ボクもそう思って寸止めしといた〜
こういう狼君は集団で街を襲ってくると思って」
…そうだったんだ。
可愛そうだからとか、そういう理由じゃなかったんだ…
「マリカ、もしかして現実世界にかえしたい人ってこの子?」
「うん。ヒロヤ君だよ」
私の背後に隠れたヒロヤ君。
「へ〜。やっぱりマリカは優しいね。
ボクに良い取り引きがあるんだけど、してみない?」
「取り引き?」
「辞めとけ、コイツの取り引きなんてろくなもんじゃない」
後ろではユウヒが文句ばかり言っている。
なんでユウヒはこんなにヒナタの事嫌がるんだろ??
昔なにか二人の間であったのかな??
「まぁ、ユウヒも聞いてよ?
実はさ羽、1つみつけられそうなんだ」
「えっ!?」
「……」
こんな早くにヒカリの羽情報が手に入るなんて。
ユウヒは無反応だけど。
「それで明日ぐらいに、
狩りに行こうと思っていたんだ。
だから明日、パーティのメンバーにマリカとヒロヤをいれるね」
パーティ……?
パーティピーポーのパーティじゃないよね??
「…あの、パーティってなに?」
「そっか。マリカ初心者なんだよな。
パーティってのは一緒にクエストするグループみたいなもの。
みんなで協力してクエストを攻略するんだ」
ユウヒなら、そんなのも知らねーのかよアホマリって言ってたよね。
ユウヒを知ってるからヒナタがすごく優しく感じるよ……
「そうなんだ。すごく解りやすかった。
あ、でも私もヒロヤ君もバトル1度もしたことなくて…足引っ張ると思う」
「大丈夫。俺のパーティ強いから。
じゃあ、まずは基本的な事を教えるよ」
それからヒナタからバトルについていろいろ教えてもらった。
各プレイヤーの上のあるゲージ。
これはHPといいプレイヤーの体力みたいなもの。モンスターから攻撃を受けるとゲージは減り全体の10%を切ると赤色になり警告音がなるみたいだ。
そしてゲージが0になるとプレイヤーにヒビが入り砕けてはじまりの丘に強制送還される。
だからHPが減ってきたと感じたら薬草か支援魔法で回復するそうだ。
もっとお兄ちゃんにゲームの事教えてもらうべきだったな。
それから属性には
優勢と劣勢があることを教わった。
炎は水に弱く風に強い。
水は炎に強く土に弱い。
土は水に強く風に弱い。
風は土に強く炎に弱い。
と、じゃんけんのようなルールがあるそうだ。
そして例外として光と闇。
これは互いに与えるダメージが大きく、受けるダメージも多いのだそう。
ただ光と闇の属性を持つ者はあまりいないらしく、なにより扱うのが難しいそうだ。
「基本的な事はこんな感じかな。
どう?わかった?」
「うん。わかりやすかった!」
ヒナタは爽やかな笑顔で言った。
キュンっと
私が西島君を思う似た感情がした。
これはイケメンマジックだな
てか西島君=ユウヒなんだっけ
なんであんな口が悪いんだろうか。
ヒナタを見習ってほしいっ
「…それで?
そんな貴重な情報を提示してまで
俺たちに求める交換条件ってなんだよ?」
黙っていたユウヒが口を開いた。
「それは、もちろん」
ピロロローン
ヒナタさんから友達申請がきました
目の前にウィンドウが現れた。
「ボクと友だちになってよ、マリカ?」
「え?それだけでいいの?」
ヒナタが出してきた交換条件は
思っていた以上のもので、
寧ろ私なんかでいいの?って
驚きが隠せなかった。
「うん。ボクはそれだけで充分」
ニコニコするヒナタに
ユウヒが嫌そうな顔をしている。
「…お前何企んでるんだよ?」
「な〜んにも〜」
陽気なヒナタに対し、ピリピリしてるユウヒ。
この2人は対照的だ。