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ヒカリの王国  作者: SHINON
2/11

属性試験


ーーーーーーー

ーーーー

ーー



「ヒロヤ君、ついてきてる?」


「マリちゃん待って!」



なんか弟ができた気分。



光の輪をくぐるとそこはセントラルの路地裏。



絶対ジルのやつ場所間違えたでしょ?

案内人というやつが来ないんだけどっっ



路地裏から大通りに出て、

かれこれ10分は歩き回ってると思う。

ヒロヤ君とは話す時間ができて仲良くなったけど、

肝心の案内人がいないと

私はチュートリアルのまんまだ。

このままじゃ羽をすぐに見つけられないじゃない……



にしても、何かジロジロと

人に見られてる気がするんだけど気のせいかな……?




ドスッ



「す、すみません。前見て歩いてなくて」


「……わりぃ」



フードを深くかぶった男とぶつかってしまった。


……これ絶対ヤバイやつじゃん。



「……ヒロヤ?」



フードの男がヒロヤくんの名前を呼んだ。



「え?ヒロヤ君の知り合い??」



ヒロヤ君をみるとフードの男が怖いのか、私の後ろに隠れてしまった。



「……出戻りか?」


「出戻り?」



出戻りって何?

ジルも出戻りがどうのって言ってたけど……



「……死んではじまりの丘にかえること。

お前そんなのも知らないのかよ」


「しょ、しょうがないじゃない!

私はさっきこの世界に来たばっかなの」



そっか。

1度死ぬと、記憶は死の直前しか残らないんだっけ。

ヒロヤ君この人の事忘れちゃったんだ……



「……素人かよ」




今更だけど私ってこの世界じゃ

不利なプレイヤーなんじゃないのかな……



「それで?

素人は何してんの?ヒロヤ連れて」


「素人じゃない!私はマリカ」


「はいはい。マリカは何してんの?」



この男ムカつくんだけどっ

投げやりな態度といい、いきなり呼び捨てしてくるとかっ!!



「アンタに関係ないでしょ

フードを深く被って顔を見せない不審者には話しません」


「不審者とかよく言うわ。

ったくしょうがねぇ」


「……え?……嘘でしょ」



フードをとった男の顔は




……あの西島君だった。




「……西島君」


「へぇーよく知ってんじゃん

でもこの世界の俺は西島じゃなくてユウヒだ

覚えておけよアホ」



あの大好きな西島君が……こんな男だったなんて……。


ん、待てよ。

西島君って本名ユウヒって言うの!?

知らなかったし



本名が知れて嬉しいけど、

あの爽やかイケメンは腹黒イケメンだったのね……


ショックすぎる。



西島くんのHPのゲージの隣に“ユウヒ”と表記された。

どうやらプレイヤーの顔と名前を知ると出てくるみたいだ。



「マリちゃん虐めちゃダメっ」


「おい、ヒロヤ叩くなって。

ったく俺があんだけ色々教えてやったのに

忘れやがって」



ヒロヤ君がユウヒの足をばんばん叩いたのだった。



「それで、アホマリは何してんの?」


「アホマリって何よっ!もう」



コイツどんだけ私をバカにした気が済むんだろ…


まぁいいや、羽の情報とか聞けたらいいか。



「はぁ。これから属性試験を受けに行くんだけど

案内人がいなくて、まだ受けてないのよ」


「え?それはおかしいなぁ……

よし、俺が場所教えてやるよ」


「え?」


「……なんだよ?」


「……変な路地裏連れてかない?騙してない?」


「はっ。誰がお前みたいな色気もない女を襲うかよ」


「何よそれっ!」


「いいから、早く来いよ」


「わっ!ちょっと引っ張んないでよ!

ヒロヤ君行くよー」



あの大好きな西島くんに腕を引っ張られても、

イマイチときめかない。


あー私の夢よ

西島くんはもっと素直で

王子様キャラなんだからさ

こんな性格悪い西島くんを出演させないでよ。


ユウヒに連れられて私たちは街中を歩いた。



ーーーーーーー

ーーーー

ーー



「ついたぞ」


「へぇ……ここなんだ」



おしゃれな建物内ばかり並んだセントラルだけど、一つだけ古ぼけた建物があった。

そこが属性試験の場所らしい。



「あぁ。ここのオヤジに属性試験させられる。

まぁ現実世界でいう心理テストみたいなもんだけど」


「わかった。…ちょっと行ってくるよ」



正直、1人で古ぼけた建物に入るのはちょっと怖いけど、ここにいても何も変わらないしね。

私は古びた扉に手をかけた。



「マリちゃん待って僕も行く!」



私に抱き着こうとしたヒロヤ君だけど、それをユウヒに邪魔された。



「お前はダメだ。出戻りだとしても属性はもう決まってるだろ」


「……うん。」



ヒロヤ君はもう属性が決まってるのか。


ヒロヤ君の為にも早く終わらせないと。




キィィィ



私は扉を開けた。




「…失礼しまーす」


「……」



何も反応がない。



……埃臭いなぁ。

薄暗いし、本当にここであってるの??


暗い中少しずつ目が慣れてきて、

そこにはたくさんの本。

本の壁と言っても過言じゃないくらいの量がある。


こんなの一生かかったて読み切れないでしょ……



「やぁ、お嬢さんいらっしゃい」


「ぎゃあっ、出たオバケっっっっっ」


「全く失礼なお嬢さんだなぁ」



いや、だって急に現れてくるんだもん。

驚くでしょ普通。



「属性試験かな?」


「は、はい」


「じゃあそこに座って

まずは属性について説明しようか」



ちょっと汚らしいソファに案内された。



「わしの名前はゼンじゃ」



……ゼンとは、また古風な名前だな。



「ま、マリカです」


「マリカか。案内人から属性についてどこまで教わったんじゃ?」


「それが……案内人さん来なくて」


「え?それは真か?」



お爺さんの小さい目が見開いた。



「はい」


「おかしいのぉ。ジルちゃんが転送したんだからやっぱりアイツのミスかのぉ」



この人ジルを知ってるんだ。



「まぁ、まずは魔法についてじゃな。

この世界には魔法が存在する。

魔法には種類があって、

呪文を唱える攻撃力魔法、または仲間の能力をあげたり、回復をする支援魔法。それから魔力を込めて武器を巧みに操る物理魔法。

この3つじゃ」


「へ、へー」



こういう話ってゲームじゃよくある話なのかな?



「それから、魔法の源は何か知ってるか?」


「……知りません」


「自然じゃよ。

自然の力を借りてわし達は魔力を得る

炎、水、風、土、光、闇

この6つの属性に別れる。

まぁ血液型みたいなものさ」


「は、はぁ」


「人を器として、

その器にどれだけ自然の力を取り込めるかで魔力の強さが変わる。

この世界で生きていくためには大きなうつわが必要なのじゃ。

お嬢さんの場合はそうじゃな……」



ゼンさんがじぃっと私を見つめた。



「おぉ!Aランク。そこそこじゃの」


「Aランク?」



それはいいのか、悪いのかわからないんだけど。



「階級もしらないのか」


「……すみません」



ゲーム初心者なんだからしょうがないでしょっ



「ランクは上からSS、S、A、B、Cの5つ。お嬢さんは普通サイズじゃな」



普通かよ。ちょっと期待しちゃったじゃん!



「魔法を使うには道具が必要。

それはまたジョブセンターに行った時に聞いておくれ。

それではマリカお嬢さんの属性試験を始めようか」



ついに試験が始まる模様です。





「まずはこれを持っておくれ。

紐の部分を持つんじゃよ」



渡されたのは麻でできた紐。

その先には透明な石がついていた。


これは水晶かな?



それからゼンさんは六角形の形をした版を出してきた。角には6種類の属性が書いてあった。



「まずは紐を垂らして、水晶をこの中心部に」



言われたとおりに六角形の中心に水晶を置いた。



「……土よ、我に力を与えよ。この者マリカの属性試験を始める。彼女に優れた属性を我に教えたまえ」



「な、なにこれっ!?」



水晶が動き出し、振り子のように揺れ始めたのだ。


……これが魔法なの??



そして水晶の動きが少しずつ遅くなりはじめ……






……あれ?





止まらないんだけど!?!?


どーなってんのゼンさん!?




「なんじゃ、コレは……

水晶が止まらぬ

初めてじゃ……」


「え、いや、聞きたいのは私だよっ」



さっきから水晶は水の文字と闇の文字を行ったり来たりを繰り返している。


……止まる気配ないんだけどコレ。



でも出来るなら、闇の魔法使いってよりも

水の魔法使いの方がいいなー

闇っていうと悪役なイメージ強くない??



「もしかしたら、君は……」



ゆっくりとゼンさんが話し始めた。



「今の時点では水、闇、両方とも同じくらい優れているのかもしれないね……」


「は、はぁ。」


「マリカお嬢さんの場合は、魔力を鍛えていくうちに決まるのかもしれぬな。

今は未熟な魔力かもしれぬが、1人前になった時にはお主の属性が決まるじゃろ

人1人1属性しか扱えないのがこの世界のルールじゃから

今は両方の魔力を鍛えてみなさい

そのうち解ってくるはずじゃ」



……それは私が特殊だと言いたいのかな??




それからゼンさんにお別れの挨拶をし外に出ると新鮮な空気が肺に入ってくるのがわかった。


あの部屋健康上よくないよね。


……にしても、水と闇属性ねぇ。

ゲームの中だとはいえ、魔法なんて本当に使えるのかな??



「あ!マリちゃん〜」


「おっヒロヤ君おまたせ。ゴメンね、待たせちゃって」



笑顔で駆け寄ってくるヒロヤ君。

今の私の癒しはもうヒロヤ君しかいないよっっ



「……ったく。おせぇよ。どんだけ話し込んでんだよ」


「げっ。ユウヒもいたの?」



フードを深くかぶったユウヒが壁にもたれながら私を待っていたらしい。



「いちゃ、わりぃのかよ」


「べ、別に」


「はぁ……。それで属性なんだったの?」


「あぁ、えっと。水と闇」


「は?バカにしてんの?」



苛立った声を上げたユウヒ。その声を聞いたからなのか、ヒロヤ君が私の後ろに隠れた。



「もー。そんな事ないから。怒らないで。ヒロヤ君が怯えてる」


「……わりぃ。

それで詳しく話きかせろよ」



それから私はゼンさんとのやり取りをユウヒに言った。




「……そんな事ってあるんだな」


「うん」


「まぁお前自身水がやりたいなら、

まずは水からやって見ればいいだろ

特に光と闇魔法は扱いが難しいって言うし。


さて次はジョブセンターだな」



なんだかんだで、ユウヒは面倒見がいいのかジョブセンターまで案内してくれるようだ。



「そういえばユウヒの属性は?聞いてなかった」


「炎。まぁSSだけど」


「は?!SSなの?!」


「お前とはちげーんだよ」



SSって私かなりすごい人と今話してるの!?



「うっ……言い返せない……」


「ヒロヤ、お前も教えてやれよ」


「えっとね、僕は土属性でSランクだよ〜」


「っ!?!?!?」



そんな天使のような笑顔でなんていう強さ。




「え?ちょっと待った!

もしかしてこの3人の中で私が1番弱いの!?」


「待ったも何も、お前が1番弱いに決まってんだろ

今更かよ、アホマリ」



……くっそぉ。

絶対鍛えてユウヒより強いところ見せつけてやるんだからっっ



私たち3人はジョブセンターへと向かった。


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