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90話【赤いローブのボッタクリ女】

ふと、篠川は上着のポケットから砂時計を取り出す。

残りは3分の1くらいだろうか。

元々所持していた砂時計は、10個。

1つは砂が落ちきり、華山に渡し、盗まれ、しかし1つは占い師がプレゼントしてくれた。

初回のみのオプションで1パックを頼んだため、1個オマケが付いてきた。


名付けて「ハーちゃんの得々パック♪」である。

ネーミングセンスを疑うような気がするが、そこは触れないでおく。

ハーちゃんは占い師が同僚から呼ばれる時のあだ名だ。


「まだ、時間はある……」


チリチリ、と砂が下のガラスの中に流れ落ちていく。



篠川は携帯電話をポケットから出し、


「あー、占い師!」


《はいはいはーい♪こちら、うっらないしデェーす!》


「今さ、リセットの合計金額いくらになってる?」


《はーい♪すぐに確認しまぁす______》


すると甲高い声は小さくなり、紙をめくる音が聞こえてきた。

報告書か何かだろうか。


《ん………10……取り替え出張費が…………》


篠川は占い師の計算の終わりを待つ。

カチャカチャ、と音がなり計算機が働いているのがわかる。

暫く待つと、タンッと心地よく音がなり、


《えっとですね、砂時計のセットが1千万円になります。そして、取り替え出張費が500万円、その他のサポートで300万、ですかね》


「ゲェッ!そんなにするの!?」


《安い方ですよ。安心してください、割引してますから♪約200万ですかねぇ♪高い所であれば、既に億超えてますから♪リセットが終了次第、お支払頂きます♪えっとですね、今現在で1千600万ですぅ♪》


篠川は火の車である。

リセットはとても金がかかる事なのだ。

口から魂が抜け掛け、篠川は電話に耳をピッタリとつける。


《で、ですね。リセットが終了する頃には高過ぎて、逃げちゃう人も居るんです♪あ、私は貴方を何処に居ても見る事ができますので〜。ま、逃げるはそっちの意味じゃないんですよぉ〜___________自殺ですかね。退職金で払う場合もありますよ》


ビィイイン、と空気が張り詰める。

篠川の頬を汗が流れ落ちていく。

ピチッ、と皮膚に汗が当たり跳ね返る。


「自殺………」


ゴクリと喉を鳴らし、口の中の生温い唾を流し込む。

占い師は暫く間を空けてからまた、話し始める。


《そうなんですよ、そういう場合ご自宅はこちら(占い師))が権利を頂きます。そして、いろいろ売って、しっかり返して頂きますし、銀行の預金の方も………》


篠川は口を開け、「あ・・あ・・・」と呟く。

心の中の言葉が口から今にも溢れ出しそうだ。

そして、


「冗談じゃねぇーよ!そんな事までするのかよ!」

《死んだ人間の物は契約した我々の物です》


ブルブル、と拳を震わせながら頭を下へ向ける。

ありえねぇよ。

やり過ぎじゃないのか!?

こんな事、許されるのか!?


《話を戻しますね。お支払の方は、毎月1千600万と新たに追加した分とを分割で引いていきますよ、口座から。もし、そちらに金額に満たない量しか入っていなかった場合、寮の方へ直接出向きます》

「………はぁ」


ほんと、ため息が出るような金額である。

しかし、占い師はもう1つ、つけ加える。


《で、ですね。お支払方法はソレだけではありません。Bプランですが、こちらのモニターに協力していただくと全て0円に出来ます………で、ここだけの話ですガァ、稀にボッタクリの詐欺師が私の同僚からも生まれるンです。ボッタクリは、先程提示した金額の5倍程かかります_____》


いきなり、篠川の目の前に光で出来た掲示板が出現した。

ジリジリ、と画面が揺れながら何かを表示する。

そこには『ボッタクリの見分け方』と書かれていた。


___________________

{ボッタクリの見分け方}

・赤いローブを着用

・女性の確率が高い

・やや長身{かも}

____________________


その表の横には見た目のサンプル画像が貼り付けられ、自然と目がそっちへ動く。

見覚えが無い占い師だ。

サンプル画像は『赤ずきん』のようなフードに、足首まで隠れるような丈のローブ。

同じく赤い無地の、フラットシューズを履いており、大きなフードの隙間からは長い黒髪がだらり、と垂れ下がる。

ローブの裾には白い糸で小さく花の刺繍が施されていた。


「ふーん。そうなんだ……、まぁ教えてくれてありがと」

その時、

「ねぇ、」という声がして、振り向けば先程まで話題になっていた赤いローブの女が夏の暑い日にも関わらず長い分厚いローブを着込んで立っていた。

ローブから伸びた手には紫色のネイルがされていた。


「……丁度、やって来たよ」

《お気をつけて》


占い師はすぐ、電話を切ってしまった。

舌打ちをしつつ携帯電話を片付けた。


「リセット、しませんか?」


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