79話【アイスは、やはり……】
三つ編みメガネと俺は、ブハァーっと溜息をついていた。全校生徒の2分の1などとんでもない数である。
「どうすれば、売れるのやら…」
食堂の机に突っ伏して、タブレットに内容を打ち込んでいく。三つ編みメガネも、タブレットにガチャガチャと大きく溜息を吐きながら打ち込んで行った。記事の内容は大体決まったものの、題名が思いつかない。華山の言う、レギュラーを狙った選手の犯行とでも書けば売れるかも知れないが、確証は無いのだ。
「アイス、買ってもらうならば何にします?」
三つ編みメガネはにっこり笑って、俺を見つめる。答えないといけないのかな、と思い口を開くと、
「やっぱり、ハーゲン◯ッツですよね!一個250円ですよ!」
と、腕をブンブン激しく動かし、口を魚のようにパクパク動かして、「ハーゲン◯ッツ」を何回も復唱していた。さすがに篠川も苦笑い。別に、ハーゲン◯ッツじゃなくても良いんだけれど。まぁ、高いアイスだしそれでも良いかな。
「5円チョコが、50個も買えるんですね!爽ですと、買ってもお釣りが来ます」
三つ編みメガネ、アイスがとっても好きなんだな。と、それだけしか篠川には伝わらなかった。結局は、奢ってもらえたらどれでも良い。
俺たちは、記事を6時前には終わらせ、コピー機にかけていた。三つ編みメガネは、
「ハーゲン◯ッツが掛かった大決戦ですっ」
と意気込み、ガンガンコピーしていった。新聞が、1枚5円で買えるため、50枚売れば一個ハーゲン◯ッツが買えるわけか。4000円稼ぐ予定って事になるのかな?それに、部費を入れて6000円。??1200人分売らなければいけないのか!?
頭の中がショートしていく。三つ編みメガネは目を見開き、
「わわあ!大丈夫!?頭から煙出てるんじゃない!?故障しちゃった!?」
篠川は俯いた頭を持ち上げ「だいじょうぶ」と呟き、手を机に置いて立ち上がった。
そして、タブレットの電源を落とし鞄の中にしまう。
「ふわぁ。そろそろ帰るわ」
三つ編みメガネははい、と返事をして腕時計で時間を確かめ、画面に目を戻した。
そしてまた、キーボードを打ち作業を続けた。
外はもう、真っ暗で虫の声がしている。
「もう少し、頑張ろ」
売店でチュロスを買って、口に咥えて作業をしていく。
ほとんど売り切れ、残っていた味のよくわからないチュロスを買ってみたのだが……
案外美味しかった。
頬をピンクに染めて、キーボードを打っていった。
「ふわぁ」
大きく欠伸をして、俺は寮へ向かって歩き出す。
パタパタ、と靴の底で音を立てながら、進んで行った。
「新聞部、だりぃ」




