77話【写り込んだ、心霊写真!?(雪凛まだあった)】
「先輩、カレシですか?」
いきなり新聞部の生徒に話しかけられ、ビクンッと体が動いた。
華山はもう一度雪のいた場所を見つめたが、そこには人の影すらなく真夏の太陽が照らすだけ。ジリジリ、とアスファルトが焼けユラユラと地面が揺れる。
華山はデジカメを持った右手の甲でそのツインテールの生徒の頭をコツン、と叩き、
「みんな〜!いい写真撮れたら帰るからね!」
と大声で叫んでスタスタと、歩き出した。
先程の生徒は、「教えてくださいよ」と言いながらカメラのシャッターを切った。
1時間後には全員が約束の場所に集合して、コンピューター室で編集を始めた。
キーボードを打つ音が響き、デジカメの写真を印刷する機械からも音がする。
その時、ある一人の少年が大声をあげていた。
華山はその生徒に近づき、「うるさい」と注意して写真を奪い、目を見開いた_______
篠川はその頃、新聞部の机にうつ伏せになって仮眠を取っていた。
グカーグカー、と鼾をかきながら夢の世界で変な生物と共に変なダンスをしていた。変な生物は兎のような魚のような形をしている。
しばらく、篠川はダンスを続けていた。
華山が奪った写真には、笑顔で写る少年の姿があった。
白いシャツに灰色のズボンの制服を着ている。
間違いなく、雪くんだった。
夏の太陽に照らされる笑顔には、見覚えがある。
その写真を華山は制服のポケットにササっとしまい、生徒たちに指示を出す。
「さっさと仕上げて!さっきの写真は私が貰うから、みんなはそのまま作業を続けて」
そう言って華山は椅子に座り、キーボードを打ち始めた。
どうして、どうして、雪くんが写真には写り込んでるわけ?
心霊写真じゃない筈だし……。
でも、これはとってもとっても大切な思い出なんだ。
そう言ってポケットから写真を取り出し、生徒手帳に片付けた。
なんで、なんで、写り込んでるのよ!と呟きながらキーボードを打つ。
その声は部屋の端にまで届いていた。
何処にいた生徒にも聞こえているだろう。
生徒たちはブンッと振り向き、華山を見て、苦笑い。
それでも華山にとっては世界で一番大切な宝物でもあるが………。
一体どうやって写真に、写り込んだのか、知りたいようで知りたくないようで、心の中は複雑化していった。
不思議なこともあるんだな、と思いながら華山は大きく欠伸をした。
篠川はやっと顔を上げ、パソコンの画面を見つめた。
打ち掛けの新聞の記事が画面上に表示されている。
マウスを動かし、キーボードを打ち作業を再開させた。




