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75話【キオクトキオク】


華山は気がつくと、雪のベットに頭を乗せて眠ってしまっていた。

顔を上げると白いベットだけが残り空になっていた。

布団は捲られたままの状態。

「雪君……」

帰ってしまったんだ、やっぱり。

私の事覚えているのだろうか。

元の世界に帰ったら、忘れてしまっているのだろうか。

それでも好き。


雪は自宅のベットで目を覚ましていた。

薄いグリーンの掛け布団が体にかかっている。

斜め右を見るとカーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。

小鳥の囀りが聞こえてくる。

「俺、夢みてたの?」


今までの……ん?

あれ?俺なんか、夢で色々あったみたいだけど思い出せない。

ふと、布団をめくってみるとなぜか制服を着ていた。

もしかすると、昨日そのまま寝てしまったのかもしれない。

雪はベットから抜け出て、プラスチックの箪笥から着替えを取り出した。

今日は日曜日だ。


白いカッターシャツを脱いだ時、左手に黒い痣のようなものがある様に見えた。

ん?と首を捻り、目に近づけてみると、「ずっと好き」という言葉が書かれていた。その瞬間、喪われていた全ての記憶がまるで映像を見るかの様に頭の中に流れ込んできていた。


眠っていた間の出来事も、頭の中に流れ込んでくる。

そして最後の映像を見終わったとき、ブワッと目から涙が溢れてきた。

「俺、大切な事忘れてたんだ。大切な思い出、忘れてたんだ____」

大切な事、華山凛という少女を忘れてしまっていた。


雪はハッ、として後ろを向き背中を鏡に写してみる。

そこには傷があった。

「俺、刺されたんだった」

そしてまた、映像が流れてくる。

凛が手術中も祈ってくれていたんだ、手術の成功を。


雪は慌てて服を着て、部屋を飛び出した。

携帯をポケットから取り出して華山のアドレスを探す。

(華山、華山、華山……)

『は行』の項目を見るが、華山の文字はない。

雪は頭を掻き毟り、番号を必死に出そうとする。

思い出せない、大切な人なのに。

華山の住所……!寮じゃねーか!


階段を駆け下り、ドアを開け、自転車に乗り漕ぎ始めた。

寮まで猛スピードで走っていく。

ギコギコ、と音を立てながら坂を駆け上がる。

息を切らしながら走った。

なんで忘れるんだ!

俺のバカァ!


寮は目前だった。

「もっと早くすすまねぇのかよ!このオンボロ!」

と自転車に叫びながら雪は漕いだ。

そして寮へ到着すると、寮の階段を駆け上がって行った_____




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