72話【2人でカラオケへ】
篠川は部活帰り、玄関にて華山の姿を確認した。(リア充…)自転車を押す雪と並んで歩いている。しかし、寮とは反対方向だ。
「どこ行くんだ…?」
しかしながら、後をついていくつもりは無かった。どうせ、非リアさんにとって辛い事しか待ってないだろうし。フゥ、とため息をついて鞄を持ち2人に背を向けて歩き出した。篠川が寮へ帰った頃_____
「ねぇ、凛。カラオケ行く?」
雪は凛の鞄を受け取り、籠に入れて凛に問うた。凛は目を輝かせ、大きく頷く。雪は笑いながら凛を自転車に乗せ、漕ぎ出した。雪にとって小学校以来の二人乗りで、凛にとっては初めての二人乗りだった。久しぶりの二人乗りでもフラつくことはなく、安定した運転だった。カラオケは、凛は初めてだ。今まで生きてきて、一回もそういう所に行ったこと無かった。
「カラオケの後、プリ撮ろうか」
プリクラも、凛にとっては初めてだった。カラオケは2時間程楽しんだ。交代で歌を歌ったり、一緒に歌ったり。始め、マイクの電源が入っていなかったり、選曲しようとして10分もかかったりと戸惑っていたものの、楽しむことができた。
「雪くんは、カラオケとか何回めなの?」
「んー、よく仲間らと行くから100回は超えてるかもな」
100回ぃっ!?同い年とは思えない。どうしてこう、人と人の間に差ができてしまうのだろう。不思議すぎる。UFOより不思議すぎる。ソファーに脚を乗せ、選曲していく。ピ、ピ、という電子音が心地よく、楽しかった。ふと、雪が隣に座っている凛を見たときソファーに脚を上げて機械をいじっているため、スカートが上がり、捲れて中が見えてしまっていた。
(ぬわぁっ)慌てて顔を逸らし、壁に貼られたドリンクのポスターを見る。(あっ、駄目だ)顔を真っ赤にして雪は制服のネクタイを掴み、緩める。脚をあげて顔を埋める。隣から凛の心配する声が聞こえてくる。
「雪くん?」
慌てて脚を下ろし、ドリンクに口をつける。
「なんでもない‼︎あっ、曲決めた?」
話題を逸らし凛の視線を外させようとしたが、凛は雪を見つめたまま機械をつつき始めた。「何にする?」と聞かれ、「好きなのでいい」と慌てて答えた。




