67話【雪くんが巻き込まれた!?】
「雪君、何言ってるの?」
愛羅は目を見開き、笑みを浮かべる。しかし、雪は舌打ちをして愛羅に背を向けた。
「私雪くんの彼女だよ。彼女でもないアイツにそれを渡さないで」
しかし、雪は愛羅に目もくれない。華山は首に掛かったネックレスを見つめていた。
「雪君、それ頂戴。私の首にかけて」
雪はまた、舌打ちをした。その音は今までとは違い、一番大きかった。
そして、一番響いた。
「汚い心の奴がこれをつけても、これは輝かない」
そう言って、雪君は華山を連れて逃げ出した。茶色い髪に汗が乗っている。
心臓の鼓動が早くなる。ドクドク、と音を立てはち切れそうだ。
こんな事、初めて……。顔が火照っていく。
けれども、神様は意地悪だ。本当に、意地悪だ。もっと雪君と一緒にいたいのに。
華山の体は薄くなっていった。
「凛……」
雪は驚き、何が起きているのか理解できなかった。
華山が、消えていく。消滅していく。
「雪、くん……楽しかったよ」
足の力が抜けていき、涙で目が一杯になった。
「凛、なんで_____」
華山の下半身はもう、光の粒になっていた。体が軽くなった気がする。
「私は、帰らないといけないの。ここに私は居るべきじゃない」
口に入ってきた髪の毛を手で払いながら、精一杯の笑顔を見せた。
そして手を伸ばす。細い白い腕を雪に向かって伸ばした。
でも、もう上半身も消えかけている。雪は桜色の唇をギュッと噛みながら、一歩足を踏み出し消えていく華山の胴に手を回した。
「ありがと」
声も掠れ、実体が無くなる恐怖が伝わってきた。この世界に居たいよ。
「帰る、の?」
雪が寂しそうに呟いた。そして、華山は小さくなり姿を完全に消してしまった。
雪は今までの出来事は、夢だろうか。と思った。カコッ、という音が足元で聞こえたかと思うと見れば、黄色い砂が入った砂時計が落ちていた。
「凛………」
ハッ、として足元を見れば雪の体も消えかけていた。足がもう、膝まで消えてしまっている。凛、教えてくれよ。なんだよ、これは。
雪の体もまた、光の粒になって薄くなっていった。
「凛と、同じ事になってる」
目の前が白く光り、眩い光に目を細めていると光は大きくなり、目が眩んだ。
そして閉じていた目を開くと…。
そこは、校舎の中だった。薄暗い夕方の校舎。夢でも見ていたのだろうか。頭をかき、ふと隣を見れば凛が隣に倒れていた。
「凛!凛!凛!」
雪は叫び続けた。俺は、俺は何をしてしまったんだ。隣で凛が目を少し開けていた。
「雪、くん」




