61話【謎の少女と俺】
今、虐めは3万件程ある。多いのだ。美弥もその中の1人だ。
「自殺、なんで……」
鞄の中にはこの事を記事にする為のメモが入れられている。
こんな物と、一緒に帰る気にはなれない。
仕方なく、渡り廊下を通って2年の教室まで向かった。
廊下には明かりはなく真っ暗。
電気を探し点けても、切れかけの蛍光灯はチカチカ、と点滅を繰り返している。
不気味な雰囲気漂う廊下を通り、教室まで到着した。
しかし案の定鍵がかかっている。
「チッ」
鍵穴に爪を入れたりしてみたが、全く効果はない。
針金でもあれば、開けられたかもしれないがあいにく持ち合わせていない。
扉を蹴るが、開かない。
物理的破壊しか方法はないのだろうか。
まぁ、怒られるのでやりませんが……
「くっそーー」
職員室まで行って開けてもらうのもアレだよなぁ。
面倒くさいが一番だし。
「どうすりゃ良いんだよ」
その時、廊下の向こうから足音が聞こえ始めた。
(先生が来たかな?)
そう考え、足音が此方へ到着するまで待つ事にした。
ペタペタペタ……
あれ、なんだか裸足で歩いているような…
暗闇の中から姿をだんだんと現してくる。
「誰だよ……」
前髪をダラリ、と垂らし此方へ向かってくる。
黒いセーラー服を着ており変だ。
黒いセーラー服は冬用で、今は夏。
皆、半袖で露質が多くなる時期にも関わらず、スカートは足首まであり、長袖。
「うぅぅぁぁぅあぅぅあうぅぅあうぅ」
という唸り声と共に、少女は此方へ近づいてくる。
ペタペタペタ……
幽霊、という言葉が似合いそうな少女だ。
まぁ悪戯だと思うが。
俺は気にせず、メモを置くのを諦め帰る事にした。
また今度でも構わないからな。
来た道とは反対の階段から1階へ向かう。
2つ階段がある。北階段と、南階段。
階段を降りて行き2階まで来た時、ふと振り返ると1つ手前の階段を降りてきていた。
俺は階段を降り、階が変わるごとに振り返っていった。
その度に、少女は身を隠した。
隠れ切れていなかったが。
1階の靴箱の前に立った時、少女は靴箱に身を隠し此方を見ていた。
さすがに寮まで来られるのは困るし。
「帰らないの?」
俺が呼びかけると、ビクンッと少女は体を震わせた。
よく見れば、俺より身長が高い。
高校生かな?
前髪が長すぎて、見た目の身長が小さく見えるなぁ。
しかし、黙り込んだままだ。
「…………」
「帰らないと、校門閉まるよ」
「…………」
俺はあまりにも黙り込む為、少女に手を振りさっさと別れ、1人になった。
その方が、安心する為だ。
校門を出て、振り返るとまで玄関に突っ立っていた。
一体、誰だったのだろう。
2年生じゃないのかな?
明日からは休みだし……月曜日に聞こうかな。




