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60話【美弥ちゃんと割れた心の涙】


警察車両は校舎を赤く染めながら、遠ざかっていった。

向かい側の校舎の吹奏楽部の生徒達も練習を放り出し、警察が帰っていくのを見届けた。

その中に楽器を抱いて泣いている生徒がいた。

遠くからでは分からないが、男子生徒のように思える。


白いシャツを涙で濡らしながら、生徒は泣き続けた。

親しい仲だったのだろうか。

その時、背後から俺の背中を何者かが押していた。

背中に力が加わり、よろけ転びそうになる。

振り返れば、隣のクラスの生徒がぽつんと立っていた。


「なんの用だよ」


その生徒を睨みつけながら、問う。

後ろで結んだ癖のある髪の毛は真っ黒で、少し匂いがある。

ヘアスプレーでもしているのだろうか。

「私ね、美弥ちゃんと仲良かったの」

何を言いだすかと思えば、そんな事か。


「私ね、美弥ちゃんがずっと虐められてるのは知ってた。私も虐めてた」


短文を繋ぎ合わせたようなセリフを続けていく。

慎重に言葉を選んでいるようにも思えた。


「そっか……」


俺は鞄を取り、教室から出ようとした。

関わりたく無い。

もう事件の事を忘れたい。

しかし、少女は行かせてくれなかった。

「だから謝りたい。私は謝りたい。ごめんね、初めてあったのに……」

俺の足はいつの間にか走り出していた。


教室を飛び出し、現実逃避。

今の現実を受け入れたくなかった。

忘れよう、そう思っていたのに。あいつのせいで……。


廊下を上履きで蹴り、駆けていく。

音が壁に当たるたび、跳ね返った。

「もう、悔やみたくないのによ!」

階段を3段飛ばしで、大股でジャンプしながら泣きながら、顔をクシャクシャにしながら降りていく。

目を瞑り、涙を堪えようとしたが流れ落ちていった。

隙間から廊下の蛍光灯に反射した雫がポロポロと金平糖のように流れ落ちていく。

割れた心に涙が滲みた。

「虐めは…………なんで消えないんだ」





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