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58話【新聞部大騒ぎの大スクープ!?】

無理やり、連れて帰ろう。そう言うのはとても簡単な事だった。

けれども、考えを現実にするのには苦労する。

相手が拒めば、連れて帰る手段は無くなってしまうだろう。



「下手に手、出すのも良くないだろうし、少しの間は我慢しよ~ぜ」

誠は俺の首に手を回し、肩を組んだ。誠の肩が俺の肩にコンッ、と当る。骨と骨が接触して肩に衝撃が走った。まるで電気を体に流されたかのよう。

「いってぇ」、と顔をしかめる篠川に冷たい視線を送りながら誠は、口を開く。

「裏切ったら許さねぇからな」

「わかってるって!誠、誠~息が苦しい!」

俺は顔に血が昇って来るような気がして、口を開け大きく息を吸い込んだ。俺の首に誠の腕が絡まり、気管を締め付けている。

「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」

怪力の人間っておっそろし~。首を抑えて誠にとびかかる。床を蹴って、大ジャンプ。が、誠は反射神経が良い為ヒラリとかわし、俺の顔面は床に(刺さっていないが)刺さる勢いで落下して、強打してしまった。


鼻を強打して、手で押さえる。

「っ~~~」

「バカだなぁ。変な事するからだろ?」

顔を真っ赤にしながら、俺は怒鳴り散らし、鼻を抑えて床に寝転がった。バタンッと音を立て、木の板の床に身を投げ出す。冷たい床が体温を奪っていった。

「しの、床汚い」と、誠は俺の隣にしゃがみながら床を触り、手についた埃を見せつけた。


「別に、汚れてもいいけど」

俺が起き上がると、誠は埃を払ってくれた。白いシャツの背中には、灰色の綿のように柔らかい埃が髪の毛を巻きつけながら、張り付いていた。

「お前、身だしなみくらいきちんとしろよな」

「オカンかよ」

誠の頬をつねりながら、言い返す。プウッ、と頬を膨らませ掴む皮膚をなくさせようとするが、横から篠川に抑えられ、空気を吐き出してしまった。ブフッ、と吐き出す誠があまりにも滑稽で吹き出してしまった。


「笑ったな!」

誠は俺の頭に頭突きをして、教室の中へ逃げ込んだ。その時、俺らは教室の中の出来事をすっかり忘れていたのだった。


扉を開けた視線の先には、あの少女が腕を抑えて席についているのが見えた。虐めは、終わったのか…。美和は席について微動だにせず、テキストを読んでいる。

誠が背後から入って来る気配を感じ、振り向くと、

「何があったのか、さっき聞いた___外、来いよ」

誠に手招きをされ、廊下に出る。中とは空気が違い、少しひと息つくことが出来た。


「さっきまで、アイツ、虐められてただろ?」

ああ、と俺は頷く。誠は廊下の壁に体を預けながら、話してくれた。


___________________


床に倒れた少女は、腕を倒れた拍子にひねっていたようだ。それが原因で、うなっていたのだ。

身を守るために、手でかばったらしい。


それを見た、奴らは自分たちがしてしまったと感じ、離れたと言う事だ。奴らは、怪我をさせず気が付かれない虐めをする予定だった。


が、予定が狂ったために撤退せざるをえなかったのだ。

でもまた、それが少女を笑いものにしてしまった。皆笑った。


「アハハハハハハ」

「プッ・・・フフッ」

「ギャハハハハハハ」

「クスクスクス」

教室は笑いに包まれていた。人を、馬鹿にした笑いに____

少女は目に涙をためていた。

怪我をしてまで、笑いものにされて生きていかなければならないの?

心の中の何かが音を立てて壊れた気がした。


その時、彼女は理性を失ったのかも知れない・・・


放課後


俺はいつも通り、原稿を仕上げ華山の机に提出を終え次の原稿に取り掛かっていた。

キーボードを打っていく。ふと窓の外を見るとほんの一瞬だったが、何かが落下していくような気がした。

しかし深くは考えなかった。なにかカラスなどの動物が急降下していったのだろう。そう思っていた。


しかしそれから、10分もたたないうちに下は大騒ぎになっていた。

夕方のカラスのように皆、騒ぎまわっている。

表情をゆがませながら、ある生徒はカーテンを開けていた。

その騒ぎにイラついているのが、俺にもわかった。

俺も、立ち上がりその生徒が開けたカーテンの隙間から身体を入れ、鍵を外し窓を開けた。

開けた窓から身を乗り出し、外を確認____


生徒の目つきが変わっていた。

「スクープよ!みんな、裏庭にカメラとメモ帳を持って集まって!」

窓の外を見た生徒の目つきが皆変わっている。

俺はポケットにメモ帳とペンを押し込み、階段を駆け下りていった。

何も知らない俺達他の部員は頭の上にはてなを浮かばせながら、裏庭に集合した。ザザッザザッと、落ち葉の積る裏庭に新聞部の生徒たちが集合すると、裏庭は一杯になってしまった。幸いなことに、野次馬は居ない。

「キャーーーーーー!」

甲高い悲鳴が上がり、人ごみの中から部員の一人が飛び出してきて、そのまま裏庭から去っていく。

「何があったんだよ!」


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