55話【新聞部部長の代理の俺が妄想を記事に書き起こし未遂】
華山は廊下を歩いて行った。科学教室へ歩いていく。
「空気が違う……」
窓から差し込む木漏れ日に華山は照らされていた。
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今の華山は、休学届けが出ている事になっている。これは占い師が裏で手配してくれた。華山はこれで、思う存分楽しめるわけだ。現実を心配する必要はない。
しかし難題が一つ、残っていた____
夕日が差し込む新聞部の部室、コンピューター室。機械が並べられた他の教室とは違う雰囲気を醸し出している。そのコンピューター室では複数の生徒が集まり、新聞を製作していた。
ガガガッガ、とコピー機が音を立て新聞を量産していく。その新聞は3年生が掲示に向かった。篠川はパソコンのキーボードをひたすら打ちまくり、原稿を製作していく。
華山が居ない今こうなる事が理解できてはいたものの指示者が居なくなり、少し捗らない気がする。華山の剣幕に皆、焦っていたというか……
「先輩、休学って体調不良でしょかね?」
「うーん、新聞部に燃えてる人ですし毎日参加したい精神溢れる人ですから、ズル休みは無いでしょうね。まぁ。只の体調不良でしょう」
メガネの三つ編み少女が、静かに分析していく。隣では女子生徒が《真面目に》三つ編みメガネの話を聞いていた。
(ハハッ……半分ズル休みだがな)
ニヤニヤ、笑いながらキーボードを打っていると背後から声がした。この音程、この妙にガサついた声。まちがいなく、三つ編みメガネだ。
「何?」
篠川は回転椅子を床を蹴って動かし、三つ編みメガネの方へ振り向いた。半分聞いてはいたが、やはり華山についてのアンケートだった。
勿論、本当の事は答えられない為、適当に流しておく。少し不満そうだったが、そのうち諦めアンケートも自然消滅していた。
「ふぅー。あっぶね。喋ってたら、俺は華山に回し蹴りされて殺されるとこだった」
回し蹴りを考えていると、あの瞬間が頭をよぎる。ダメだよ、考えちゃ。うん、ダメだ。オジサン、逮捕レベルだ。パトカーに乗ってサヨナラの人生にはなりたく無い。
頭を抱えてふと、画面を見ると原稿を打っていたはずが、さっきまでのストーリーが文字として画面に打ち出されていた。
「クハッ!俺、何やって……」
慌ててマウスを動かし、その部分を切り取っていく。本当に、危なかった。本当に、もしこれを送信していれば生きて帰れる保証は無いと思う。
「要らない部分」を削除し終えると、篠川は原稿を製作して行った。




