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54話【殺人鬼は自殺未遂のリセット者になったそうです】

華山は、風に揺れるスカートを抑えて屋上から下を眺めていた。

「本当に、飛び降りるつもりかよ?」

「そうしたいです。そろそろ行かないと、野次馬が集まってきましたね」

ジリッと、足をずらし華山は前へ出る。あと、数歩で落ちてしまう。


「死ぬな」

華山は、また笑い篠川の方へ手を振った。

「ありがとう。本当に、楽しかった。悪い子でいるのも楽しかった…」

俺は華山に向かって手を伸ばした。華山はブンッ、と回し蹴りして篠川を蹴り飛ばしフェンスの向こうへ押し戻した。顔面を蹴られ、痛みに耐えながらもフェンスにもう一度駆け寄った。


「行くな・・・」

華山は、あきれながらも篠川の方へ向き直った。

「野次馬が、もうやばいんですけど。早くいかないと」

「行くなっつってんだろ!今の生活に満足していないならば、リセットすればいい。人生をやり直してくればいい」

華山は目に涙を浮かべて、突っ立っていた。「りせぇっぉと?」と呟き首をかしげる。頭を動かした瞬間、目から涙がこぼれ落ちた。


篠川は、華山の手を取り掌に砂時計を乗せた。

「っ・・・なにこれ。グシュッ」

「リセットするカギ。まぁ、リセットした体験を文芸部にでも話して小説でも書いてもらって新聞に載せれば、ちょっとは売れるだろ」


その瞬間、部長としての目に変わっていた。計算機を取り出し、何やら計算を始める。ブツブツと呟きながら、計算を終えると・・・

「やってくる。リセットしてくるよ!戻って、やり直して来る」


華山は砂時計を握りしめ、目を瞑った。その瞬間、華山の姿は眩い光に包まれ光の粒になり、サァーーっと消えていった。

「行っちまった」

「そうですね。帰ってこられたら篠川さん口止めしておかないとまずいですよ」

いつの間にか、占い師が隣に立っていた。腕を組み、ウンウンと頷いている。

「わかってる。口止めか・・・」

ん?待てよ、文芸部へ情報を提供するとか何とか、俺言わなかったっけ?額から汗が流れ出る。


_______________

華山はゆっくりと、慎重に、目を開けた。そこは学校の廊下だった。光が差し込んでいる。いつもの学校_____


目の前には中学生の教室があった。寝ぼけて、教室を間違ったのだろうと思い踵を返し廊下を歩き出した。その時、後ろから「呼びきり」で名前を呼ばれ華山は飛び上がってしまった。


「凛!」


いままで呼びきりで呼んでもらったのは、1年間だけしかない。まさか本当にリセットしてしまったのだろうか。

1年という短い期間だったが、嬉しかった。たしか凛、と呼んでくれたのは、


「沙織!」


沙織という少女だけである。本当に帰って来てしまった。中学時代に。篠川、ありがとう。


「いやぁ、探したよ。次移動教室だから、凛知らないでしょ?」

「うん、沙織ありがとう。全然、知らなかったよ。次は何の教科?」

「ん?化学」


良く見れば、沙織の手には科学の教科書が抱かれていた。聞かなくてもわかったことだ。沙織に申し訳なく思いながら、スクールバックから科学の教科書を取り出した。


(懐かしいよ___)



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