48話【意思あるロボット】
右手を閉じたり開いたりしてみる。
「動いた」
足の関節を曲げてみる。
「固くない」
砂時計が渡されたことで、停止していた俺の中の時間が戻って来たのだ。まるで意思のあるロボットの様だが・・・。電池を交換しなければ動く事の出来ない、ロボット。占い師にちゃんと人間扱いされているのかが気になって仕方がない。
「俺、人間なのでしょうか・・・」
ポケットの中の砂時計を見つめる。占い師は、「・・・」と黙り込む。
その時、日和が篠川の背中を押していた。
「篠川っ!」
うわっ、と驚きふらつき、咳き込み、むせる。「ゲホッ、うぅぅっぅ」、とうなりながら篠川は振り返り、日和の頬をつねった。占い師は、どさくさに紛れて撤収。
「危ない」
すると、ぷぅっと顔を膨らませながら日和は言い返す。
「別にちょこっと、押しただけ」
「お前の『ちょこっと』と俺の『ちょこっと』とは、全然違う」
日和は、「おなじです」と言い返そうとしたとき、ハッとひらめき、
「リトルおじさん、でしたね」
り、リ、リトっ・・・ル!?リトルおじさん!?小さいおじさんだと!?
「俺、身長低くないからな」
「その、意味ではありません。直訳してはいけません。『=』を付けて見た目は中学生、中身は___」
「パクリだろ」
「いえ、引用です。見た目は中学生、中身は___!?」
篠川は日和の口を押えて、黙らせる。バタバタと、日和は暴れながらどさくさに紛れて、篠川の手を噛み続きを話そうとする。必死に止めるが、そこをまた、日和が話しそうになり、制服を引っ張り寮へ無理やり帰還した。
「ゼェゼェゼェゼェゼェ・・・。日和、諦めたか?」
「いっ、いえ。篠川は、見た目は中学生、中身はおっ・・・!?」
また篠川に口を塞がれる。また口から手を放し日和は、続きを言おうとする。
「篠川は、見た目は学生、中身はオ・・・」
「アーアーアーアーアーアーアーアーアー!」
篠川の良くやる技だ。聞いてほしくない単語が発せられるとき、このように音を重ねてくるのだ。
「いい加減、諦めろって!」
その時、華山が二人の間に入り込み引き離した。
「うるさい。音量MAXの曲に勝る喧嘩だったわよ!」
そういって、イヤホンを見せつける。すると、日和は、
「アハハ。彼氏様に買っていただいたウォークマン自慢ですかぁ!?」
「そんなこと、一言も言ってないでしょ?この曲、キーが高いから結構響くんだけど、そこにあんたたちの怒鳴り声が入って来て幼稚園の大合唱みたいだったわよ。お蔭で、曲が台無しだったわ」
日和は華山のイヤホンを耳に、押し当て曲を聞いてみる。
「・・・・」(確かに、キーが高いから普通の声なら聴こえないかもな)
「・・・・」(なるほど、確かに聞こえませんね。ええ、これ以上でかい声となると___)
「ねぇ、わかる?どれだけ、うるさかったか」
「はい、確かにデカかったかと思いますが、音量を上げればよい話では?」
「MAXっつったよね?人の話聞いてる?」
日和は小さくなる。
「共同生活なんだから、ね、周りの事考えて」
「はい」
全く、と呟きながら華山はイヤホンを耳に戻し、冷蔵庫からキンキンに冷えた飲物を取って上の階の部屋へ戻っていった。
「只今、休戦中なだけでまだ決闘は終わってませんから」
そういって、日和もバックの中から隠し持っていたアイスを取り出し、自室へ帰っていった。俺は冷蔵庫を覗き、缶コーヒーを取り出して自室へ戻った。




