45話【じゃんけんに必死になるオジサン】
扉を閉めて、上履きでパタパタと音を立てながら掃除場所へ戻る。事務室の扉を開けて美和はモップを手に持った。また、床をゴシゴシと磨いていく。
喉のあたりを擦りながら、美和は空気を吸った。その時、事務室の扉が開けられ来美が入ってきた。
「美和!片付けてきなよ。さっさと部活行くよ」
来美の背後にゴミ袋をまとめる篠川が見えた。(エッセン◯ャル〜野郎!)心の中で叫びながら「うん!」と言って掃除用具を片付けて手を洗い、カバンを持って部活に向かっていった。
篠川はゴミを纏め終えると、
「じゃんけんするぞー!」
と叫び、部活組を覗いたメンバーでゴミ捨て当番を決める決戦を始めた。「じゃんけんぽん!」というお決まりのセリフを言い、思い思いの手を出す。
勝負は延長戦に縺れ込み、勝ち抜けしたメンバーが様子を眺める。篠川は、最終決戦まで残っていた。相手は、涼だ。
「最初はぁ!グー」
握った拳に左手を乗せて体の横まで引いてきて、前足を踏み出し真剣勝負。
『じゃんけん!』
絶叫に近い声を上げながら、左手から右手を引き抜き相手との間にも手を出す。
『うぉぉぉぉぉぁ!』
たかがジャンケンに、ここまで気合いを入れる奴がいるだろうか。周りにいた生徒は、呆れながら帰っていく。
2人はあいこを繰り返しながら、毎回大きな動きでジャンケンをする。そして、勝敗は5分後に決まる。
ガクンっと、篠川は床に跪いた。目の前では涼がハハハ、と笑っている。第19回戦目で篠川はグー、涼がパーを出し、長かった戦は終了した。
勝者は鞄を持ち、帰っていった。篠川はゴミ袋を持ちゴミを捨てに行った。
「次は、絶対勝つ」
メラメラと、闘志を燃やしながらゴミ袋を運ぶ。ゴミ捨て場に着くと、足で扉を押し開け思いっきりゴミ袋を投げつけた。
ガサッガサッ、と音を立てながらゴミ袋は箱の中にinした。が、篠川はまた床に跪く。
「脱臼………」
肩が外れてしまった。
「痛い痛い痛い痛い」
痛みに顔を歪めながら、歳だなと感じる。なんとか肩をはめ直し立ち上がった。
無理は禁物なこの体に苛立ちを覚えながら、寮に帰っていった。
「痛っ」
次は、膝間接が痛み始める。オジサンハ、ツライヨ……。(帰ったら、栄養ドリンク飲まねぇと死ぬぞ、これ)学生の生活の大変さに驚きつつ、寮へ歩き出した。
校門を出て、コンビニに寄り道をして食料を調達。その際、俺はまた、
「煙草……」
と呟いてしまった。驚くコンビニ店員の顔が目に映る。やってしまった。癖がなおんねぇよ。
「いっ、違うんです!たまたま、目に煙草が入ったので……」
睨みつける店員の目が、獲物を狙う鷹のようで恐ろしく、結局何も買わず寮へ逃げていった。




