44話【美和の過去ー後編ー】
「この学校には、居られない」
美和は、そう判断して学校を退学。その後、今の学校へ裏口入学。とくに怪しまれることなく生活してきたというのに、こんな男に知られてしまうなんて。
美和は悔しかった。なんで、みんなはそうやって気楽に暮らせるのよ。
私は、苦しんできたというのに。
美和はいつの間にか、篠川に頭を撫でられていた。
「なっ!この歳になって、撫でられるなど_____」
篠川は美和が振り払おうとしても、サッと避けてまた撫で始めた。
「やめてよっ!恥ずかしいから」
美和はしゃがみ、部屋を出て行った。
「美和は、エッセン◯ャルだったなぁ」
それを聞いていた美和は、顔を赤面させて手を洗いに向かった。「ぅぅぅぅぅうう」と、唸り声をあげながら蛇口をひねる。
「なによ、なんで、シャンプー______」
手洗い場の石鹸を握力で捻り潰しながら、窓から見える篠川を睨みつける。
窓を雑巾で擦っていた。頭を抱え、美和はその場にしゃがみこむ。
「弱み、握られちゃったかも。うっ……」
なぜか、吐き気が美和を襲ってきた。喉に何かが引っかかっているような。胃も、ムカムカする。
壁にもたれかかり、美和はしゃがみこんだ。
「吐き気する……お腹も、変な感じするし」
腹部を撫でながら、治まるのを待ったが全く治らない。逆に、吐き気がもっと酷くなっている気がする。息苦しくなり、空気を吸い込むと腹がクプッ、と音を立て吐き気が酷くなった。
「うぅぅ……」
体を少し動かすだけでも辛かった。「気持ち悪」呼吸が荒くなり、しんどい。
喉に、なにか丸いボールが引っかかっているような感じだ。
「睡眠、不足かな」
よろよろ、と美和は立ち上がりグループのメンバーに伝え、トイレに入った。吐き気がするのに、吐けない。
逆に、胃がムカムカする。
「苦しい…」
よろよろ、と立ち上がり個室を出る。
「気持ち悪い……」
喉に何かが上がってくる感じがした。放っておけば、治るだろうか。
鏡で顔を確認すると、蒼白になっていた。
「嘘……」
その間にも、吐き気は酷くなった。
気がつくと、保健室だった。
吐き気は少々マシになっていた。横になっているからだろうか。
横になっていると、バクバクという心臓の動く音が聞こえてきた。
「ふぅ……」
体を起こし、伸びをする。
少し寝ても、吐き気はまだ完全には収まっていなかった。
「ちょっと、楽になったなった」
美和はベットから降り、保健室を出て行った。
「吐き気、なんだったのかな。疲れ、かな」




