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39話【無茶振新聞部、製作係】

「よっしゃあ!篠川、話分かるじゃない」

「はっ、はぁ」

なんて、ノリで新聞部に入っちゃったけど大丈夫なのだろうか。頭の中で思考の糸が絡み合いグチチャグチチャになっていく。

「篠川、あんたはこのパソコンを使いな」

頭を捻り考え事をしている間にも話は進む。華山はコンピューター室の端の机を叩く。その度に太鼓を叩くような音が響いた。荷物を持ち、椅子に座る。ギィっと音を立てる。


その時、体がいきなり傾き顔はパソコンの画面から天井の方へ向いていた。頬に何かを感じてを近付けるとそれは、人の指だった。手の次に、顔の上にもう一つ顔が現れた。それは、華山の顔。色白の卵型の顔に鼻筋の通った高い鼻、大きい瞳に二重瞼。誰がどう見ても美人の顔が目の前にある。

「なぁんでふか?」

頬を掴まれうまく声が出ない。


「今から、私が集めてきたニュースを使って10分以内に原稿をまとめて」と、無茶振りな注文をされる。そして、俺の手にメモ用紙と写真屋の名前が書かれた紙袋が手渡された。

「集めたニュースの情報はそのメモ用紙にあるから。あと、その写真はパソコンのファイルにも同じ奴が入ってるから確認して。使い方は、分かる?」

パソコンの使い方の事だろう。元会社員を舐めるなよ!なぁんて心の中で叫びながら俺は頷きメモ用紙に目を通して行った。


大体の内容を把握した後、キーボードを打っていく。隣の方ではショートカットの女子生徒が原稿の修正を行っていた。俺が見ていると、その生徒はいきなりペンを投げ大声で叫んだ。

「校新、No.5を作った奴!出てきて!」


校新とはどうやら《校内新聞》の略らしい。そのNo.5を製作した気の弱そうな男子生徒が椅子から飛び降り、ショートカットに近付いていく。

「ねぇ、おかしいでしょ!?なんで写真の位置が文章の前にあるの?これじゃあ、前の記事の写真と勘違いするでしょ?やり直し」

新聞記事を丸め、床に投げ捨てるとショートカットは男子生徒を追い払った。


(ヒェェェェ。コェェェ)

ブルブルと震えながら、俺はアイコンをクリックした。アイコンをウリックした後またメモ用紙に目を落とす。

《5月9日校内でカラスの死体発見……5月19日吹奏楽部コンクールで銅賞受賞…》

などと、様々なジャンルの話題がメモ書きされていた。

「トップニュースは……銅賞でいっか」

俺は左手を動かし机の上を撫で続ける。(コーヒー、コーヒー)ある筈のないコーヒーを俺は探し続けた。


探している最中、背後を通る生徒の気配を感じた為つい、

「コーヒーお願い」

と呟いてしまった。その瞬間、背後にいた生徒が固まり俺に聞き返す。

「こぉ……ひぃ?」

その瞬間、やってしまったと感じた。

つい、会社の癖で言ってしまった。慌てて誤魔化しに向かう。

「いやぁ、ごめん。コーヒー俺飲むからさ、前寮に入る前に家族とかに言ってて…」

すると、その男子生徒は「あっそ」と言い捨て俺の横のゴミ箱に紙くずを捨てて自分の机に帰って行った。俺は顔を抑え俯いた。

(やってしまった、やってしまった、やってしまった)


しかし、救世主がそこへ突然現れる。誰かが俺の方を叩いていた。振り返ると、オレンジに近い髪色の三つ編み眼鏡少女が財布を持って立っていた。

「篠川君、今から自動販売機で飲み物買ってくるからコーヒーだね?」

俺は、

天使降臨!(エンジェルコウリン)

と心の中で叫んだ。癖が抜けない大人って辛いなぁ、と改めて感じる。コーヒー代を三つ編み少女に渡し俺は頭を下げた。

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