3話【今は居ない友人】
『篠川!』
何処かで、俺の名前が呼ばれている。しかし、睡魔に襲われ体を起こすことができない。
『篠かわぁ!』
耳元で何かが弾ける音がして、俺は目を覚ました。
「へっ!?」
半開きの目に飛び込んできたのは、中学時代の教師。2年前に亡くなったはずの、数学教師だった。
「瀧本先生………。なんで生きてる……?」
瀧本は、ハァ〜と溜息をつき、
『篠川、お前の夢の中で俺は殺されたのか?』
いつもの、瀧本。なんでだ?確か、心不全……。俺は、夢を見ていたのか?瀧本は、死んでいなかったのか?
しかし、辺りの景色がおかしい。右には、斎藤涼、左に大河誠。どちらも、中学2年の時の同級生である。
『おい、篠川。滝センの授業で寝るのはマズイぜ』
誠が、ケラケラとバカにしたように笑っている。誠は、今北海道にいるはずだ………ここにいるはずが無い!涼だって、高校でバイク事故で他界している。
「涼、生きてたのか!?」
頭の中は、グチャグチャだ。
『篠川、ヒデェなぁ。俺は、お前の脳内で殺されてんのか?』
篠川は、ケタケタ笑いながら俺の頭にチョップをお見舞いした。(イッテェ……)でも、俺に触ることができているから幽霊では無いはずだな。