表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/303

38話【先輩との取引】


息を切らせ、体育館を出るとさっきまでなかった壁にドシンッとぶつかった。

「っ・・・いってぇ」

床に尻もちをつき、腰を強打する。全身に電気が走ったような痛みに襲われた。下に垂れた顔をゆっくりと持ち上げるとそこには、華山が驚いたような表情をして立っていた。手には紙束を抱えている。


「華山・・・」

「しっ!篠川!?」

俺を見て、紙を抱く腕に力を入れる。その瞬間、俺の勘が働き華山の持っていた紙束を奪い取った。取り返そうと華山が手を伸ばして来るが俺は身を翻し内容を読んでいく。

[中2男子生徒、門から落下!下には女子生徒が!]

「おいっ!華山!なんだよ、この記事。俺が悪者じゃねーか」

俺が叫ぶと、華山は握る力が緩んだ手から新聞を引き抜き、

「悪者でしょ?無茶して、落ちて危うく怪我させるところだったんだから」


そういって新聞の束を抱えべぇー、と舌を出し華山はパタパタ走って学校中の掲示板に記事を張り付けていった。

「げぇ。どうすりゃ、いいんだよ」

顔を曲げながら何となく、華山の後を追った。そして、追いかける途中の掲示板の前で足を止め記事を読む。


{遅刻したため、正門が閉じ中へ入ることが出来なかった中学2年男子、Sは正門を乗り越えての侵入を試みるも、バランスを崩し真下にいた同じく中2女子Hの元へ落下する。二人とも、けがはなかったものの大惨事になる可能性もあったと思われる}


パクパクと口を動かし、記事の内容に驚いていた。しかも、顔はモザイクをされいるものの良く見ればわかるような、写真も載せられている。

「華山・・・!」

俺は再び走り出した。キュッキュッと床と上履きがこすれる音を立てながら、走った。大体、華山の逃げ込む場所は見当がつく。息を切らしながら、予想していた新聞部の活動部屋、コンピューター室の扉を開け放った。


すると、そこには華山の姿はないものの新聞部の生徒は集まっていた。何処かに、隠れてい居るのだろう。近くにいたパソコンを打つ、眼鏡の地味な男子生徒に声をかける。

「ここ、新聞部だよな?」

俺の問いかけに男子生徒は頷く。質問は続いた。

「部長は?」

「華山先輩」

「いま、何処にいるかわかる?」

「記事を貼りに行ったまま30分帰ってないです」


男子生徒は、喋りながらもキーボードを連打していた。それも、超高速で。ガチャガチャとキーボードを打つ音の方が答える声よりも大きかった。なんだか、字幕放送を担当するテレビの裏を見ている気分だ。


「いつ、帰ってくる?」

「そうですね・・・いつも部活の終了間際に肩を落として帰ってきますから、5時半くらいかと」

エンターを何回か押しながら、俺の質問に真面目に答えてくれた。と言う事はまだ1時間は待たなくてはならない。マジカ。それならば、探しに行った方が早いかもしれない。俺は男子生徒に礼をって部室の扉に手をかける。


しかし、俺より先に扉を向こう側から開ける人間がいた。

「おまえっ!」

セーラー服を着た、どこからどう見ても美人な生徒。ネームプレートには「華山」の文字が書かれている。

「華山!返せ、俺の記事」

状況が読み込めず、アタフタしていた華山だったが、


「そう・・・そうか。待ち伏せして記事を取り返す作戦ね。なかなかやるじゃない。でも残念、記事は校内すべての掲示板にに貼りまわって来たから」


「だったら、さっさと剥がして来いっ」

「ならば、この計5人しかいない新聞部に入ってくれれば記事をすべて剥がしてもいいわ」

内容が読み込めなかった。いや、でも・・・。

「入ってくれたら、全記事を真っ赤なウソでしたって撤回してあげる。どう?」

簡単に、部活を決めていいのだろうか。でも、名誉の為に、日和と俺の。どうせ、後で抜ければいいんだ。

「入ってすぐ抜けるとか、なしだから。1年間頑張ってもらいます」

まぁ、いいか。



「新聞部に入部します」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ