35話【停学】
終わりの見えない火蓋が切り落とされ、クラスが対立していた。
しかし、何か疑問が残る。
「そんなに、日和を好きなならば虐められている時何故、助けなかった?」
篠川の質問に、生徒達は黙り込む。(勇気がないんだな……)
次虐められるのは自分かもしれないという恐怖で助けられないんだ。そんな奴らに、とやかく言われるのはどうかと思うが?
「じゃあ、篠川は日和を助けたのかよ!」
1人の生徒が叫ぶと、周りの生徒もさっきまで言い返せなかったくせに叫び始めた。
俺が拳を握り締め前へ踏み出そうとした時、涼と誠が俺の腕を抑え動きを止める。そして、首を振って俺の前に立った。
「美和、が日和を助けたよ」
涼が机にもたれ掛かりながら、答える。すると、叫び声は大きくなる。
『じゃあ、篠川は何もしてないだろ!美和が、全部やったんだろ!?』
顔を真っ赤にした誠が俺の腕から手を離し、小声で呟いた。
「…しばらく、会えねぇかもな。もう、俺我慢できねぇ。言われてばかりで悔しい」
「あ"あ"!?どういう事だよ、誠」
しかし、誠は何も答えず前へ進みファンクラブの奴らの前に立った。そして、
「お前らさ、さっきからグチグチうるせぇから耳障りなんだよ」
誠が奴らに話すと奴らは、拳を振り上げ襲い掛かってきた。
しかし、奴らは『オタク』だらけの為力は強くなかった。
誠は攻撃を全て避け、オタク達の腹部に拳をぶつける。
体力の無い奴らは倒れ、腹を抑えた。
激しい痛みに、立ち上がれないほどに殴られてしまった。
「おっ……覚えてろよ」
そう言って、会員達は逃げるようにして目の前から消え去った。
一難去って、また一難。
オタク達が去ってから数分後、入れ替わるようにして生徒指導部のあの教師が飛び込んできた。
「誠!ちょっと……」
突然呼ばれた誠は、状況を把握できずその場に立ち竦む。涼が誠の手を握り、行かせまいとする。
が、生徒指導部の教師は教室に入り誠の手を取り出て行った。
「誠!」
「誠!」
俺と涼が誠の名を呼ぶが、帰ってこなかった。(嘘だろ……)追いかける事もできたが、何故か走る事ができなかった。
放課後、教室で待っていると顔を真っ青にした誠が帰ってきた。
額には汗をかき、微かに体が震えていた。
俺たちは、誠に近づき「どうだった?」と聞く。すると、
「あっ……、ごめん」
それだけ答えると、荷物を持って飛び出していった。
涼と顔を見合わせ「……かもな」と想像して意見をまとめた。そして俺らは震えた。
しかし、2人で「それは無いだろ」と考えを打ち消し荷物を持って帰宅した。
寮に戻ると、宿題を済ませ涼にLI◯Eする。
《まさか、殴ったくらいで停学とかなんねぇよな》
俺たちの考えはこれだった。もう、これしか頭に浮かばなかった。涼も、
《わかんねぇよ》
とだけ話して、とくに話す気にもなれず携帯の電編を切った。
誠に直接聞くという手段もあったが、さすがに悪いと思いやめた。
____涼
携帯を握り締め、ベットに寝転んでいた。しばらく誠に会え無いと思うと悲しい。
「なんでだよ、なんで正しい事をして停学なんだよ……」
その時、携帯が震えた。画面を見ると_____
《ごめん、停学になったから明日から一緒に行けねぇ》
本当に、停学になっていた。何でだよっ!!!なんで、誠が停学なんだよ!
____誠
生徒指導室に誠は連れて行かれた。なんで……。暗い部屋の電気を点け、部屋の真ん中の椅子に誠は座らされた。
「なんで、殴ったのですか?怪我したらどうするのですか?」
「イラついたから、だよ。友達が悪く言われたから。そしたら、手が出てた」
その後は、黙り込み何も答えなかった。
「殴る事は悪いって知ってますよね?」
「……」
「先の事を考えて行動しましたか?」
「……」
答えたくなかった。
答えて仕舞えば、俺だけが悪いと言っているような気がしたからだ。
「じゃあ、先生。どうすれば良かったのですか?」
すると、教師は「うっ……」と言い何も言わなかった。
何も解決策を考えず、良し悪しだけを区別する教師は大嫌いだ。
「解決策を、教えてください!言葉だけで全てが解決できないんです!だからって、暴力を使うのは間違っていたかもしれません。けれども、どうスレばいいんですか!?」
誠は、机を蹴り上げた。ガコンッと音を立て机が動く。顔を真っ赤にした教師は誠に、
「停学!停学!3ヶ月間、停学っ!」
そう叫び、書類を書くと教室から消えていった。
「停学……かよ」




