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34話【日和ファンクラブ】

授業が終わると、日和はふらりと教室から出て行った。俺は、その事に涼達との話に夢中で気がつかなかった。


日和が教室から出ると、また、あの生徒達に周りを身動きが取れないように囲まれてしまった。赤い上履きの少女達。リーダー格の少女は大きめのセーターを着ていて元々膝丈のスカートを太ももの所まで持ち上げている。


「この間は、どうだった?楽しかったでしょ?」


と、茶髪を揺らしながら日和に笑いかける。しかし、それは悪意に満ちた笑顔。友人や、恋人と話す時のような笑顔ではない。


「楽しいわけ、ないじゃないですか」

日和はスカートの汚れを払い落としながら、淡々と話していく。

「中はとても冷たく、暗く臭う場所でした___」

面白くない、とリーダー格の少女がいい払い仲間に耳打ちする。頷いた仲間達は、日和の腕を掴み奥の暗い個室に閉じ込め、洗面所でバケツに水を汲み、個室の上の隙間から中へ流し込んだ。


日和は、閉じ込められた時この自体を予想して隅に寄っていたため、水が肩のあたりに少しかかるくらいで済んでいた。

「ふぅー」

と、小さく溜息をして鍵を開けようとしたが、開かなかった。外側から力が……。そう、考えた日和は中で待機する事にした。遠くから新たに水を汲む音がした為また、隅に寄って。


予想通り、上から水が降ってきた。中に置いてあるものは全て水浸しになっている。

「まったく、知能が1歳児以下です」

と、呟きながら水を避けながら進み、もう一度ドアに向かって体当たりをした。すると、扉はいきなり外側に開き日和は転けそうになる。その時、背中を仲間の奴らに押され床に倒れてしまった。早く、起き上がらなねば、と思うが体が動かない。その時、背中に重みを感じ顔をあげるとそこには、笑みを浮かべた少女がいた。


「バカ……。体当たりに夢中になってバランス感覚なくしてんじゃねーよ」

そう言って、日和を蹴り上から水を掛けてきた。

「うぐっ」

耐えていたが、水の冷たさに声を発してしまった。それを見た少女達はバケツリレーをして日和に水を掛け続ける。

「あぅ……」

視界が水で歪んでいく。その時、「何するのよっ」と叫ぶ声が聞こえた後、体が何者かに体を持ち上げられていた。美和、だ。セミロングの生徒は美和を背負いその場を後にして行った。


残された生徒は、唖然としてその場から動く事ができなかった。


日和は濡れた制服を脱ぎ、美和に借りた上着を着て保健室へ行き、服が乾くまでの間借りた服を着ることに。美和に上着を返し、礼を言う。

「ありがとぅ。助けてくれて……」

すると、鼻の下を人差し指でこすりながら美和は笑い日和の手を握って教室へ帰って行った。教室に戻ると、『仲間』が待っていてくれた。


「みんなぁ……」

日和は、篠川に抱きつき転倒させる。それを見た周りの“男子生徒のみ”ブーイング。

『みんなの、日和だー!』

『抜け駆けを今すぐやめて、日和ファンクラブ(日和様愛しています)に入れー』

などと、叫んでいる。顔を真っ青にした篠川を見た日和は、

「どうした?具合悪い?」


俺は、

「心が……痛い」

と呟きその場にしゃがみ込んだ。背後から、涼や誠に襲われても無反応で。

「ガラスの、ハートがぁ…」

涼に「超合金のハートじゃねぇのかよ」とツッコミを入れられるが立ち直れなかった。心臓を抑えながら、涼の足にしがみつく。呆れた誠は篠川の頭を撫でながら、日和ファンクラブにベーと舌を出して威嚇する。


戦いの火蓋が切り落とされてしまった。

『篠川友人倶楽部VS日和ファンクラブ(日和様愛しています)』、終わりの見えない戦いの火蓋が……



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