31話【クビはギリギリセーフ!?だといいな・・・】
終わった……。床に膝間付き、頭を抱える。スマホの画面が省エネの為暗くなっていく。
「どうすりゃ、いいんだよ……」
その時、またスマホの画面にLI◯Eのメッセージ通知が表示される。俺は、半分諦めつつメッセージを読んでいった。
《今、残業中の同僚に確認してもらってその書類を削除して貰ったから》
誠は、天使だろうか……。目の前に光が見えた気がした。俺は、スマホをデスクの上に置き改めて課長のパソコンへと送信を済ませた。
「これで、いいんだよなぁ」
急に体の力が抜け、俺は椅子にドカンと座った。その衝撃で、椅子が動きバックする。これで、やる事は全て済んだ。
パソコンの電源を切り、机の上を整理する。書類をファイルに挟み、スマホをまた手に取った。すると、
《メッセージが届きました》
という表示が出ていた。メールフォルダを開き、確認する。差出人は、占い師の男からだった。時間を計ったかのようにピッタリだった。
俺は、内容を確認していく。
《篠川さん、貴方のご希望にこれからも沿うつもりですがもう一度、戻りませんか?リセット生活は、まだ続いていますし。もう、戻らなくていいのでしたらご連絡下さい。こちら側が対応して、契約を終了させていただきます。手数料などはかかりませんので安心してください。》
との事だった。確かに、『向こう側の世界』へも戻ってみたい。俺は、返信ボタンを押してメールを打ち始めた。携帯のキーボードを指で動かし打っていく。そして、決定ボタンを押して送信した。
内容は、《戻らせて下さい》の短い短文のみ。メッセージ送信中の画像が消え、送信完了の通知が届く。そのあと、時計を確認して会社をスタスタと出て行った。
電停に着いたのは、11時58分、日付が変わる2分前だった。時刻表を確認すると、終電も過ぎていた。力つき、近くにあったベンチに座り込む。辺りを見渡すが、自動販売機らしきものは見つからず、売店も閉まっていた。
短く舌打ちをして、バックから空になったペットボトルを取り出す。容器の中には、少しだけ液体が溜まっていた。それも飲み干すと、手元には何も無くなった。
こんな事ならば、もっとスピードを上げていれば……。などと、あとから後悔しながら電停を出てタクシーを探した。
すると、運良く見つかり、俺はタクシーに乗り込んだ。
『お客さん、何処までですか?』
運転手の問いかけにも答えられず、俺は微動だにしなかった。運転手は、首をひねりながらハンドルを切った。




