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27話【救ってくれてありがとう。】

砂時計を探すが、全く見当たらない。どこへ行ったのだろう。俺は、占い師に電話をかけてみることにした。


トイレの個室に入り、占い師の電話をかける。19回ほど呼び出し音が鳴った後に、電話に出た音がした。


『はいはいはーい!占い師でぇす』


コイツ、酔ってる。昼間っからノンでんのかよ!占い師は、今日は本来休業なのだ。

その為、今日は朝から酒場に。夕方から、ビアガーデンに参加の予定。


「あのぉ、砂時計を無くしてしまったのです」


俺が、ほぼ諦めた感じで問うと、


『えっ?無くしタァー?困りますねぇ、その場合は、きぃてぇまわってぇくださぁい』


相当、酔っ払っているようで話にならない。

俺は、イラつきながら電話を切り個室を出る。

ドアを閉めて廊下へ出て、辺りを見渡す、が。


「どうやって、探せっつうんだよ!誰が持ち去ったのかワカンねぇのによ」


誰かが持ち去ったと決めつけているが、正解をいう付いている男篠川。(俺の砂時計(じんせい)をかえせ!)などと叫びながら生徒たちに聞いて回る。


まずは、女子生徒。丸渕眼鏡をかけた三つ編み少女だ。


「なぁ、砂時計見なかったか?」


俺が話しかけた途端、ビクンと震えて走っていってしまった。え?なんで?そこへ、その子と同じ赤色の上履きを履いた生徒が現れる。どこの学年だ?こりゃ。


「無駄無駄。アイツ、極度の人見知りだから。話しかけても、シカトよ!」


リーダー格の少女が靴下を濡らして立っている。何があったんだろ…。追求はしなかったがソイツラの話を聞いた。


「アイツ、あだ名は……なんだっけ?めーちゃん!」


めーちゃんと言う名前かと思いきや、それは仲間を呼んだだけだった。リーダー格の少女に『めーちゃん』と可愛らしい愛称で呼ばれた少女が口を開く。


「………だんまり」


しばらくの沈黙の後、「だんまり」という言葉を発した「めーちゃん」はササッと集団の中に紛れていった。(だんまり、か)


「そう、「だんまり」。あんまりにも喋らないから私がつけたあだ名なの。だから、聞きたいことがあるなら私達に言って。なんでも答えるわ」


ドンっと胸を叩くリーダー。俺は、こいつらの方が情報量が多そうだと判断して聞いた。


「砂時計、見なかったか?」


俺の質問に戸惑った生徒たちは、一斉に首を振った。なんでも答えるのでは?生徒たちは、「役に立てなくてごめんなさい」と手を振り何処かへ行ってしまった。もう、諦めようと思った時、さっきのグループから一人飛び出してきた。


そして、俺のコソッと耳打ちする。


「あのね、砂時計なら誰かが持っていくのを見たよ。学年が違うから、誰かわからなかったけど。男、のように見えたけど。じゃあ!」


その生徒は、そう言いい終わると走っていった。そして、また集団に混ざり見えなくなった。


「持ち去った、か」





日和は、他のクラスの生徒に呼び出されていた。数人のグループに囲まれ、身動きが取れない。赤色の上履きの生徒達。リーダー格の生徒は、仲間に指示を出し日和の腕をつかませ誘拐していた。


「やめてっ……ください」」


暴れても、暴れても、離して貰えない。一体、こいつら何が目的なんだ。掴んでいる男子生徒の足を蹴り、腹を蹴りと技を繰り出すが抑える力は弱まらなかった。


と言うより、技が弱かったのかもしれない。

日和は、そのまま連行されて行きトイレに連れて行かれていた。いくら暴れても、離してもらえない。手を噛んだが、離してもらえる事はなく殴られてしまう。


「っ………なにが、目的?」


リーダー格の少女は、洗面台に腰掛け日和を見つめる。足を組み、頬杖をつく。


『何が目的?………………』


しばらくの間、少女は考えてある、結論を出す。


『楽しむ事が目的なの』


その少女の台詞の後、仲間達は嫌がる日和の腕を掴み一番奥の用具入れに日和を無理やり、押し込みドアを閉めてガムテープで塞いでしまった。


暗い用具入れ。狭い……狭い………。

足元には、バケツやたわしなどが散乱しており臭が気になった。

濡れた用具が制服に当たり、どんどん濡れていく。


「出してください」


それでも、冷静を保った。叫んだら負けだ。終わりになってしまう。楽しむために虐めをする人間には負けない。


確か、この用具入れは外側へ開くタイプ。だから、このドアを蹴れば開けられるかもしれない。





________脚力のある人間のみができる技ではあるが。


日和は、筋力が途轍もなく弱く喧嘩でも、即死だった。『敗北の女王』とまで言われてしまう。


いくら蹴っても、ドアは開かなかった。音も、大きくない。音が鳴らない。『ドカン』とも、『バン』ともならない。『コンッ』の程度だ。


ノックよりも小さな音で助けを求めたのだ。その為、誰も気がつかず一人戦っていた。ドアを開けたい、ドアを開けたい。


助けて……!!


制服は、ドンドン濡れていく。湿った制服は、少し臭う。もう、耐えられないよ……。このまま、掃除の時間まで一人なの?気がつかれないの?


その時、トイレの入り口に走ってくる音がした。声も、聞こえる。


「_________なんか、さっきから変な音がするって言ってるぞ!」


「_________聞き間違いじゃなくて?」


天使降臨!天使降臨!天使降臨!……と心の中で叫んでいた。聞こえてくる声は、多分篠川。え?篠川!?


「俺は、外で待ってるから美和が見てこいよ」


良かった、犯罪に行かなくて。なんだか変な事でホッとする日和(ひより)。その時、目の前に光が現れた。白い閃光に包まれる日和、目の前にいるのは天使?救世主?


目の前には、知らない女子生徒が立っていた。だぁれ?篠川はどこ?


「あなたが、日和さんね。私は、美和。篠川君の同級生」


「はっ………はぁ」


知らないセミロングの生徒が事情を説明する。どうやら、通報があったらしい。日和は足場に気をつけながら外に出た。


ほんの数十分だけど、何時間にも感じてしまった。篠川が、救出に来てくれた。嬉しさに、涙が込み上げて来る。


「篠川ぁ!助けに……来てくれてありがとぉう」


涙を流しながら、床にしゃがみ込んだ。濡れた制服なんて気にならなかった。


「ありがとう」


もう一度、その言葉を日和は口にした。




俺の砂時計は?


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